2011年3月28日月曜日

TBSの「冬のサクラ(3/20最終回)春は必ず来る」見ました

 祐は肇に自分の想いを打ち明けていました。
 「分かっていたのに、最後の瞬間が来る事に耐えられないんだよ…」
 肇には、兄の想いが分かっていてもどうする事も出来ません。そして、「兄ちゃん、疲れているからもう寝なよ。」と言います。

 院長宅では、院長と母親が口論をしていました。そして院長は「僕は好きで医者に成ったんじゃない…親が作った地位と名誉を守る為に…でも、どうでもいいよ。どうでもいい…」と言います。やはり、院長の生い立ちには、世襲のプレシャーが重くのしかかっていたのです。

 祐は院長のもとへ行き、自分の想いを伝えます。
 「お願いがあるんです。萌奈美さんを手術してあげて下さい。」と祐が言うと、院長は「萌奈美を何でオレが手術しなければいけない…君の為にか…」と言って、手術を断ります。

 祐は肇のアパートに戻っていました。そして、院長から手術を断られたことを伝えます。祐は自分の想いを口にした後、肇に「オマエには分からない…」と言います。肇は祐に「兄ちゃんも、院長と同じ事をしているんだよ…こんな事をしている間に、萌奈美さんの所へ行ってやれよ…」と言います。
 祐が居なくなると、肇は安奈に「兄ちゃんの話、ちゃんと聞いてやればよかった…」と言います。安奈は「お兄さん、分かってらっしゃるわよ。」と答えます。

 祐が病院に行くと、萌奈美は夢を見ていました。そして気がつくと「夢を見ていました…サクラが遠くへ行く…サクラが見たいから頑張ろう…あのサクラが満開に成るのを見るのが私の道しるべです…あのサクラを見に連れて行ってくれてありがとう。大切な思い出に成りました。」と言います。祐は「あのサクラを絶対に見に行きましょう…」と言います。
 そして、萌奈美のナレーションが入ります。「人は何の為に生きるのでしょうか。生きている限り探し続けます。」

 祐は肇に伝えます。「オレ、やっぱりどうかしていた。でも、オレ大丈夫だから…」

 祐は、病院で医師に「春まで生きられない…生きる希望を見つけてあげて下さい…」と言われます。

 萌奈美の病室に、琴音と義母がやって来ます。そして琴音が「ママ……」と話しかけますが、萌奈美は琴音の話している事を理解できません。その様子を見た義母が、萌奈美の事を察して、琴音を萌奈美から遠ざけます。
 萌奈美は義母に「時々、聞こえる言葉の意味が分からなくなる時があります…それが理由で電話をしませんでした…」と言います。義母はそれを理解していました。そして「航一のこと、ごめんなさい…」と、萌奈美に詫びを入れます。こうして、二人は和解しました。

 祐が萌奈美の病室に遣って来ました。琴音と義母は、もう帰っていました。
 「今日は、好い天気ですね。」
 「さっき、義母と琴音が来たんです…会話の内容が分かりませんでした…娘の言葉が分からないなんて…」萌奈美は、自分の想いを祐に話します。
 祐は、そんな萌奈美を気遣って、明るい表情で「僕、調べたら、文字で書いた方が分かるそうです…」と言って、文字盤を萌奈美の前に出します。そして、何時もの表情で「大丈夫です。」と言います。

 義母が琴音に、自宅で寄り添うようにして話していました。
 「琴音ちゃん、ママあんまり具合が良くないの…だから、私たちがママを支えなければ…
 人生て、思いどうりに行かないの…でも、人は苦しい事をバネに変えることが出来るの、あなたの中にも絶対にあるわ…」

 祐は病室の窓から外を見て「ここから見る空は、小さいですね…」と言います。萌奈美は「夕暮れの空って寂しいですね…」と言います。
 祐は萌奈美に、外の世界を見せてやろうと思い、医師に掛けあって外出許可を取ろうとするのですが、「外出先で様態が悪くなったら命にかかわる…」と言われ、外出許可は取れませんでした。
 萌奈美は、琴音に手紙を書こうとするのですが、ペンを握る事が難しくなり書けませんでした。

 院長は自分の病院で、偶然に女(理恵)と会います。
 院長が理恵に「何をしている…」と言うと、理恵は院長に「萌奈美さんに捨てられたんでしょう。撚りを戻さない…」と言います。すると院長は「僕は一人でいい…」と言います。理恵は「いつかは愛してくれると思ったのに…」と言って、用意していたナイフで院長を指して逃げて行きます。
 院長の傷は意外と重く、出血が止まりませんでした。医師たちは懸命に治療をするのですが、手術をするには大きな問題がありました。それは、院長の血液型がOH型という特殊な型だったからです。院長は荒んだ気持ちをあらわにして「僕の血液型はOH型だ…血液が足りない…日本に数十人しかいないんだ…無理と分かっているだろう…」と言います。しかし、医師たちはあきらめませんでした。
 医師の木村の頭に、ふと肇のことがよぎりました。以前、患者の手術をする時に、OH型の血液が無くて、肇の血液を使って手術をした事を思い出したのです。木村は肇に電話をします。

 祐が萌奈美の病室に来て「萌奈美さん、分かりますか…萌奈美さんに見せたいものがあるんです。」と言って、屋上に連れて行きます。
 萌奈美は「病院で、こんな夕日が見られるなんて…」と言って喜びます。そこへ花屋の女性と友人の警察官が、祐が頼んでおいたサクラの花を持ってきます。
 祐が「萌奈美さん、オレ何の役にも立てなくて…」と言うと、萌奈美は「もう充分にしてもらっています。」と言います。
 二人は、病室に帰る途中のロビーで、偶然に院長の事件をテレビで見ます。萌奈美は琴音を心配して動揺します。しかし、萌奈美はもう動けません。萌奈美は「どうして何も出来ないの…」と言います。祐は「オレが東京に行って、様子を見てきます…」と言って、萌奈美を落ち着かせます。

 肇は木村医師から知らせを受けると、直ぐに病院に駆けつけました。すると院長の母に、息子を助けてくれと言われます。その顔に肇は、自分の母を感じます。そして医師として、患者を助ける事を決意します。肇の血液を輸血して、手術が始まります。
 祐は手術室の前の廊下で、琴音に「大丈夫。絶対に助かるから…そう信じるんだ…」と諭します。そして、手術は無事に終わります。
 肇と祐が帰ろうとすると、院長の母親から呼び止められます。「稲葉さん、ありがとうございます。いろいろあったのに…」と言われます。肇は「オレは、院長の事は嫌いです。でも、助かってよかった…院長の事を待っている患者さんたちがいます…」と言います。
 院長の母親は、肇の目を見て「航一の父親は、山形出身なんです。何かご縁があるのかもしれませんね。」と言って頭を下げます。この事は、院長と肇の特殊な血液型から感じ取った、母親の感の様なものからでした。
 肇も、院長の母親の言葉に何かを感じ取ったのか、病院の外に出ると「オレの家族は、兄ちゃんと母ちゃんの三人だけだ…」と言います。そして「オレが素直に輸血出来たのは、兄ちゃんのせいだよ。自分の事より人の事ばかり考えている、兄ちゃんを見て来たからだ…」と言います。祐は「オレは、何の役にもなってない…」と言います。すると肇は「兄ちゃんだって、萌奈美さんの救いになっているよ…」と言います。

 萌奈美の病室に看護師がやって来ます。そして「稲葉さんからファクスが届きました。」と言って、差し出します。院長の手術の成功の知らせでした。それを見た萌奈美は、嬉しそうに「よかった…」と言います。そして看護師に「私、いつまで頑張れますか…」と尋ねます。それは萌奈美が終わりの時を感じ始めていたからです。

 院長の病室では、母親が院長に「あなたを助けてくれた人たちに感謝しなさい…萌奈美さんに求めるだけではなく、許すのも夫婦です…」と言って諭します。

 翌日、祐は萌奈美の病室に行くとサクラの木の写真を見せます。そして「今日から毎日撮って来ます…」と言います。これは、萌奈美に生きる意欲を持たせる為の思いやりからでした。
 一日、一日と日が過ぎて行き、病室の壁に張った写真が増えて行きます。ふきのとうの写真やサクラのつぼみが膨らむ写真が…
 萌奈美の様態が悪くなって行きます。祐には辛い想いが続きます。
 萌奈美は祐に「祐さん疲れてますね…」と言います。そして「私、疲れたみたいです。今日は寝ます。」と言います。祐は「また来ます。」と言って病室を出て行きます。萌奈美は「祐さん、ありがとう」と言います。
 祐は病院から帰る途中に萌奈美の言葉「いつかあのサクラが咲くところを見てみたい。祐さんと一緒に…」を思い出します。そして、何か予感のようなものが…祐は萌奈美のもとへ戻ります。

 萌奈美は病室の窓を開け、夕日を見ていました。そして、自殺の衝動が走りました。しかし、体がいうことを聞かず出来ませんでした。
 萌奈美は、祐の忘れたカメラを見つけて、カメラの中の映像を見ます。そしてその中に、以前自分が撮った映像が含まれている事に気付きます。
 そこへ祐がやって来ます。「萌奈美さん…」萌奈美は祐に「空が見たくなったんです。これ以上頑張れない気がして…」と言います。
 祐は萌奈美に「今日、萌奈美さんに見せたサクラは、東京のサクラです。春はまだ先です。嘘をついてごめんなさい。」と言います。そして祐は、自分の想いを萌奈美に伝えます。
 「希望を持ってほしかった…どうしてもあなたに生きて欲しかった…あなたはオレに言いましたよね。「ささやかな人生でした」と…みんなそうです。だけど、その人がいる事が誰かにつながっている。生きて下さい萌奈美さん。オレの為にも生きて下さい。」と…
 そして、ここで萌奈美のナレーションが入ります。「人は何の為に生きるのでしょうか。最後の答えを出してくれたのは、あなたです。」

 祐は萌奈美に、生きる意欲が出るようにと外出許可を取ろうとしますが、許可は出ませんでした。そして医師から「治療は、もう不可能です…」と言われます。
 祐は家に帰ると肇に電話を掛けて相談します。「萌奈美さんを家に連れて帰ろうと思っている…」と…
 肇は祐に「兄ちゃん、在宅医療って知ってる…医者が往診して痛みを取ってくれるんだ…でも、簡単じゃないよ…兄ちゃんなら、そう言うと思ったよ…」と言います。

 院長が萌奈美の病室に来ると、萌奈美は眠っていました。院長は萌奈美に話しかけるように独り言を言います。
 「萌奈美、君を苦しめてすまなかった。僕を恨んでいるだろうね。僕は一番になれ、病院を継げと言われて育った…君は幸せな家庭を作るのが夢だった…僕はそれが辛かった…虚勢を張って押さえつけた…そして、君を失ってしまった…人生には取り返しのつかない事があると初めて分かった。
 琴音の事は、心配しなくていい…僕が君の分まで愛して行くから…萌奈美、初めて会った時から、僕は君の笑顔が好きだった…さようなら。」言い終わると、院長は静かに病室を出て行こうとします。その時、萌奈美が「航一さん…」と言います。院長が振り向いて「萌奈美…」と言うと、萌奈美は「さようなら」と言います。
 院長が萌奈美の部屋を出て帰っていると祐と会います。
 院長は祐に「萌奈美の事をよろしくたのむ…」と言います。祐が院長に「萌奈美さんをオレの家に連れて行きたいと思います…」と言います。院長は「萌奈美がそう望むならそうしてくれ…」と言います。祐は「琴音ちゃんにも伝えて下さい…」と言います。院長は「僕は君に、萌奈美を奪われた訳ではない。もう、とっくに失っていたんだ…」と言います。

 祐は萌奈美の病室で、萌奈美に退院をして自分の家に来るように伝えました。萌奈美は「祐さんの家にですか…」と言います。祐は「いやなら好いんです…考えてみて下さい…」と言います。

 院長は自宅に帰ると琴音に「ママに会って来た…一度ママと話したくて…会いに行って良かった…」と言います。そして院長は「琴音は無理に医者に成らなくていいよ…好きな道を歩けばいい…」と言って、琴音に買って来た絵の道具を渡します。

 「あなたは優しい人でした。あなたの柔らかな微笑みが、あなたの静かな強さが、私に羽ばたく勇気を与えてくれたのです。」と、萌奈美のナレーションが入ります。

 肇は、院長から電話で呼び出されます。
 院長は肇に「命拾いしたよ、ありがとう…再就職は決まったか…戻ってくる気持ちはないか…優秀な人材を育てるのは僕の責任だ…僕はいろんな物を失ったが、君に救われた命を患者さんの為に精一杯使おうと思う…」と、心の内を明かします。

 萌奈美は退院して、祐の家にいました。
 萌奈美が祐に「もう淋しくないですね…」と言います。そして、壁に貼ってある祐が撮ったサクラの写真を見て「ありがとう。」と言います。
 二人の新しい生活が始まります。
 祐は「萌奈美さん、もうすみませんって言わなくても好いですよ…萌奈美さんの為に出来る事が、僕には幸せなんです…」と言いながら、萌奈美に食事をさせます。萌奈美は「ありがとう…ありがとう…美味しい…」と言います。二人は幸せでした。

 肇のアパートでは、安奈が肇に「病院には戻らないの…」と聞きます。肇は「院長がいやで辞めたんだから…」と答えます。そこへ祐から電話が掛かって来ます。
 祐が「肇、一つ頼みがあるんだけど…」と言います。

 肇と安奈が、琴音を連れて祐の家に遣って来ます。萌奈美に琴音を会わせれば、生きる意欲が湧いてくるのではないかという、祐の思いやりからでした。
 琴音は萌奈美が作ったレシピ帳を見せながら「これ持って来たよ…」と言います。そして、「今日は、私がママに料理を作るからね…」と言って、安奈と二人で料理を作ります。
 琴音は安奈に「今まで感謝した事が無かった…ママが料理を作ってくれると思ってたから…ママが居なくなるって考えた事が無かったから…」と言います。

 萌奈美は琴音が作った料理を食べると「美味しい。美味しいよ琴音ちゃん…」と言います。琴音は萌奈美に「ママ、今までいっぱい美味しい料理を作ってくれてありがとう。今度は私が作るから…きっとあのサクラが咲くよ。一緒に見ようね…」と言います。

 萌奈美は「私、肇さんにお詫びしなければ…私の事で病院を…あの人にも輸血をありがとうございました。」と言います。肇は「役に立てて良かったです。」と言います。
 萌奈美は「ありがとう…私は何も出来なかった。それが心残りです…」と言います。すると肇は「それは違うと思います。あなたは兄に助けてもらったと言いますが、兄もあなたに救われたのです…兄には、この時間が大切なんです…」と言います。
 この日は、みんなで祐の家に泊まりました。
 祐は肇と二人に成ると話しかけます「春になったら…あのサクラの花が咲いたら一緒に見ようと思った…あの人に見せたい…こんなに春を待ちわびた事はなかった…夜寝るのが恐い…寝ているうちに居なくなったらどうしようかと思うと…」
 あくる日、三人が帰る時に、琴音は祐に「また来てもいいですか…」と聞きます。祐は「もちろん…」と答えます。

 祐は「萌奈美さん、ちょっと外に出てみませんか…」と言って、萌奈美を車いすに乗せて外に出します。萌奈美は外の空気に触れて「気持ちいい…こんな穏やかな気持ちで、もう一度空を見られるなんて思わなかった…祐さんのおかげです。ありがとう。」と言います。
 部屋に帰って来ると萌奈美は「祐さん、ちょっとソファーに座ってもいいですか…」と聞きます。祐が萌奈美をソファーに座らせると萌奈美は「懐かしい…あの時もこんな風に座りましたよね…」と聞きます。祐が「はい。」と答えます。萌奈美が「また、この家に連れて来てくれてありがとう…」と言うと、祐は「いいえ」と言います。
 萌奈美は「祐さんとの思い出は、決して多くはないけど、あなたといた私はいつも自由でした…あなたが大丈夫と言ってくれたから自由に生きる事が出来ました…祐さんに出会えて本当に幸せでした…」と言います。祐は「オレも…オレもです。」と答えます。
 萌奈美は「祐さんは、私の分まで生きて下さいね…祐さんが私に言ってくれたように、あなた自身の人生を幸せに生きて下さい…それが私の願いです…」と言うと、萌奈美はにっこり笑って、幸せそうに祐にもたれかかります。そして萌奈美の意識は薄れて行きます。

 医者が往診に来ていました。診察が終わると医者は祐に「もう意識が戻らないかもしれない。覚悟をしておいた方がいいかもしれない…」と言います。
 祐は萌奈美の手を握りながら祈ります。そして祐が「萌奈美さん…」と呼び掛けると、萌奈美はうわ言の様な声でかすかに「サクラ…」と言います。
 祐は「あのサクラを見に連れて行く…約束したんだよ…だからどうしてもあのサクラを見に連れて行く…待ってて…」と言います。
 肇が祐に「兄ちゃんは良くやったよ…萌奈美さんも分かってくれるよ…後は穏やかな最期を看取ってやろう…」と言います。
 萌奈美の最期の時が来ました。
 萌奈美はベットの上のサクラを見て「サクラ…サクラ…咲きましたよ…約束しましたよね、一緒に見るって…待ちわびた春が来たんですよね…祐さんありがとう…」と言います。萌奈美の目から涙が流れていました。
 祐は「萌奈美さん…萌奈美さん…あなたの笑顔をもっと見たかった…あなたの声をもっと聞きたかった…オレは…オレはあなたを愛しています…愛しています…愛しています…」と言います。これが祐の初めての告白でした。
 こうして萌奈美は、息を引き取ります。安らかな死でした。

 葬式の時、祐は会場の後ろの壁にもたれかかって放心状態でした。葬式が終わると祐のもとに琴音たちがやって来て「いろいろとお世話になりました。母にサクラの花を見せてくれたんですね…最期まで母をありがとうございました…」と言います。琴音はすっかりおとなになっていました。
 院長が「萌奈美の顔が微笑んでいた…幸せな最期だと思う…ありがとう…」と言って、祐に深々と頭を下げました。
 花屋の女性が「萌奈美さん、祐ちゃんに感謝していると思うよ…」と言います。
 肇が「兄ちゃん、泊まって行きなよ…」と言います。安奈も「一人では寂しいですよ…」と言います。しかし祐は「今日は、一人でいたいんだ…」と言って帰ります。
 肇は安奈と二人に成ると「オレ、石川病院に戻るよ…院長が、兄ちゃんに頭を下げるところを見てそう思った……ついでに結婚しよう…兄ちゃんと萌奈美さんを見て分かったんだ…大切な人とは、ずっと一緒にいる事が好いって…」と安奈に打ち明けます。

 院長は、刑務所に入っている理恵に面会します。
 院長が理恵に「萌奈美が亡くなったよ…最期はあの男のもとで死んでいった…」と言います。
 理恵が院長に「最期まで羨ましい人…私が持って無かった物を何もかも持ってた…」と言います。
 院長が理恵に「でも、君は生きている…明日は絶望とは限らない…萌奈美が人生の最期に希望を見つけたように…」と言います。

 祐の友人の警察官が、祐に電話をしますがなかなかつながりません。警察官は肇に電話を掛けます。警察官が肇に「祐に電話をしてもつながらない…アイツがいないんだ…アイツ変な事考えてないだろうな…」と言います。肇が警察官に「平気な訳が無いんだよな…辛い時は何でもない顔をするから…」と言います。
 肇は警察官に捜索の依頼をして、直ぐに山形に向かいます。その時祐は、あのサクラの木を見ていました。

 祐が家に帰ると、肇が心配そうに待っていました。
 肇が祐に「どこに行っていたんだ…」と聞くと、祐は「サクラの木を見に行ってた…毎日行っていろいろ考えている…これからどうやって行こうかといろいろ考えている…」と言います。そして、「そんな事が掛け替えのない事なんだ…オレ、萌奈美さんに会えて、今までの自分から一歩踏み出せた…オレが愛した人の為にも前を向いて生きて行きたい…」と言います。
 祐が思い出のアルバムを見ていると、アルバムの中からメモ用紙が出てきます。そこには、「祐さん、私はあなたを愛しています。」と書いてありました。萌奈美からの最初で最後のラブレターでした。
 祐には「私の分まで生きて下さい…祐さんが私に言ってくれたように、あなた自身の人生を幸せに生きて下さい…それが私の願いです…」という、萌奈美の声が聞こえているようでした。そして祐は「大丈夫…オレ大丈夫だから…大丈夫、明日は味方だから…春は必ず来るから…」と言います。
 こうして「冬のサクラ」は終わりました。

 祐、良かったですね。最期に萌奈美さんからラブレターをもらって…それだけが救いだったような気がします。萌奈美さんも幸せな最期が迎えられて良かったですね。自分が生きる事が、祐の幸せにつながる事を知って、精一杯生きたからかもしれません。
 終わってみれば、出て来た人はみんなそれなりに好い人でした。最初は、院長の様子を見ていると、マザコンで嫉妬心が強くて、病的なストーカーの様なものが感じられましたし、院長の母と萌奈美の関係は、典型的な嫁姑問題の陰湿さがうかがえました。でも、心の奥底には、人間としての善良さがあったのです。人は時として、与えられた時間や条件で、変わっていくのかもしれません。これは、誰にもあり得る事だと思います。
 私がこの物語で一番好きだったのは、祐と肇の兄弟愛というか、物の考え方です。現代では有り得ないような事もあったように思いますが、山形という地方都市で、兄弟二人だけで育った絆が、そう思わせるのかもしれません。ただ、清貧の美学というか、日本人のDNAに刻まれた物が、現代に蘇っているような気がします。それが、日本人の琴線に触れるのかもしれません。
 それから、東日本大震災のせいで、放送日が1週お休みになったせいで、2話分を1話にしたせいか、カット回し(場面の展開)が多くて、内容を理解しにくい場面もあったように思います。

 最後に、この物語でもう一つ続編が作れるような気がします。私の勝手な考えですが、5~10年後の物語です。
 祐は、ガラス職人ではなく、ガラス作家として芸術性の高い作品を作る為に、東京で工房を開きます。しかし、いまだ独身です。
 肇は、院長のもとで鍛えられ、若手のホープとして活躍しています。家庭では、安奈と二人の子供に囲まれて幸せに過ごしています。
 琴音は絵の勉強をしようと思っていたのですが、母の死によって医学に目覚め、医学生あるいは研修医となっていました。
 ある時、院長が交通事故でけがをしますが、肇がたまたま地方での学会に出席している為に、輸血が出来なくて亡くなります。
 院長の母は、肇の人柄を信じて秘密を打ち明けます。院長の母は、院長と肇の血液鑑定をして、二人が異母兄弟である事を知っていたのです。そして院長の母は、肇に琴音の力になって欲しいと頼みます。まだ肇は若いので、直ぐに院長という訳にはいかないけれど、理事として、病院の経営に参加して欲しいと頼みます。
 琴音は祐の工房に顔を出し、世間話や悩みの相談などをします。二人には不思議な友人関係が出来ていました。
 こんな設定から物語が始められないでしょうか。
 それでは、またいつの日にか……

 後記

 最終回の掲載が遅れて申し訳ありませんでした。体調を少し崩して、なかなか書けませんでした。すみませんでした。
 
 
 

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