2011年3月8日火曜日

TBS「冬のサクラ(3/6)命が尽きる、その時まで」見ました

 萌奈美は、祐と琴音と一緒に病院に来ていました。琴音は祐に尋ねます。「私はママに、何をしてあげられるのかな…」琴音の心は、萌奈美の元へ帰りました。
 院長は、病院から山形へ向かおうとしていました。そこへ女(理恵)が来ます。そして、「山形へ行くの…あなたの事は、私が一番分かっているは…もう、萌奈美さんの事なんか好いじゃない…」と言います。すると院長は「お前に何が分かるんだ…」と言って、病院内で女を殴ります。それを見ていた病院の従業員たちは、唖然とします。そして、病院中に噂が流れます。
 安奈は家に帰ってくると、その事を肇に話します。肇は「あの院長、そのうちとんでもない事をしでかしそうだ…」と言います。

 萌奈美は今後の事を考えていました。
 琴音が萌奈美に「この病院に入院したら、またサクラを見に来るのが大変でしょう。私は、もう子供じゃないから、毎週会いに来るから…」と言います。祐も「良かったら、そうしませんか…」と言います。
 そこへ院長がやって来ます。そして、土下座をして「嘘をついた事は僕が悪かった…東京に帰って来てくれ…三人で一緒に暮らそう…」と言います。
 すると琴音が「ママはここに入院するんだって…ママにとって特別のサクラの木があるんだって…好いでしょうパパ…」と言います。萌奈美は院長に「もう、家には帰りません。」と言います。院長は「それなら仕方がないな…琴音、今日は帰ろう…」と言います。琴音は「ママ、また来るから…」と言って、二人で帰ります。
 萌奈美が祐に言います。「あの子が、あんな事を言うなんて…」(私は、ママに何をしてあげられるか心配…)

 萌奈美は医者から、病気の説明を受けます。医者は「今から病気が進むと、手足のしびれやいろいろな症状が出てきます。やりたい事があったら今のうちに…」と言います。
 萌奈美は聞きます。「残された時間は…」すると医者は「それは何とも…今のうちに遣りたい事を…」と言います。
 萌奈美は想います。「命のともしびが、少しづつ消えている事を私には感じられた。」

 院長が家に帰ると、母親と言い合いになります。
 母親が「あなた、病院で理恵さんを殴ったそうね。あなたたち、そんな関係だったの…これ以上、私を失望させないで…お父様の顔に泥を塗らないで…」と言います。
 院長は「お母さんまで、僕を否定するんですか…僕はお母さんの言うとうりに生きて来た。勉強して、医者になって、病院の後を継いだ…」と言います。院長のその様子は、ますます異常が感じられます。

 萌奈美の病院では、病室で医師が萌奈美に話しかけます。「娘さん、確りしていますね。」すると萌奈美が、どうしたら好いか分からない表情で「先生、私ちょっと変なんですけど…私、先生が言われた事が分かりません…」萌奈美に失語症の症状が現れ始めました。

 肇が祐の荷物を持って、東京から山形へやって来ます。そして、肇は祐に言います。「兄ちゃん、一つだけ言っとく事がある。失語症ってあるだろ…もし兄ちゃんが、萌奈美さんに言っときたい事があるなら、早く言った方が好いよ。もうすぐ萌奈美さんは、兄ちゃんの言う事が分からなくなるから…」
 祐は「本当にそうかな…言葉で伝えた方が好いのかな…」と言います。すると肇が「それはそうさ…僕は生きているうちに、母ちゃんに会いに来なかった。一言、ありがとうと言っておきたかった…兄ちゃんには、そうはなって欲しくないんだ…」と言います。

 祐は医者に会って、萌奈美の病状を聞きます。
 医者は祐に「石川さんは、失語症が出て来始めました。そのうち、会話が難しくなります。今はやりたい事をやらせてあげて下さい。」と言います。そして祐は、萌奈美の外出許可を取ります。
 祐は萌奈美の病室に行って「明日、外に出ませんか。外出許可をもらっておきました。」と言います。萌奈美は、嬉しそうに「明日、晴れると好いな…」と言います。

 その夜、祐は友人の警官から電話をもらいます。
 「お前の父ちゃんと言う人が来ている…お母さんに、線香を上げさせてくれと言って…」そう言って、祐の友人の警察官は、祐の父親と電話を変わります。
 祐は「今更何をしに来た。もっと早く来られただろう…僕は会わない…帰ってくれ…」と、日頃温厚な祐が、怒りをあらわにして電話を切ります。しかし祐は、母の介護をしている時の母の様子を思い出します。祐の顔を見て「雄一さんでしょう。」と言った言葉を…
 祐は急いで交番に行きます。そして、父親に「名前を聞かせて下さい。」と言います。父親は「片岡です。」と言います。祐が「名前は…」と聞くと「片岡雄一です。」と答えます。
 すると祐は、父親に「オレはあなたと話す事はありませんけど、母はあると思うので…線香をあげて下さい。」と言います。
 父親は仏壇に線香をあげると、祐と話します。
 父親は「百合さんと出会ったのは、山形の工事現場に単身赴任で来ていた時でした…僕にとっては大切な人でした…時が過ぎ、僕は東京へ戻りました…それからだいぶ過ぎてから、君を産んだと聞かされました…弟さんの父親じゃないけど…君には苦労を掛けてすまなかった…風の便りで、百合さんが亡くなった事を知りました。せめてお線香だけでもと想いやって来ました。百合さんは、大切な人だった。心の底から愛しているから口に出せないと言うか…残念だけど言えなかった…」と言いました。
 祐は「母は、あなたの名前だけは、ずっと覚えていました。」と言います。父親は「そう…ありがとう…」と言います。

 院長は身支度をして、琴音の寝顔を見ます。そして出かけようとすると、母と会います。母は院長に「もう寝るは…」と言います。院長は母に「体には気を付けてね、母さん…」と言って家を出て行きます。

 祐の父親は、祐の家に泊まっていました。祐が起きて、父親の所に行くと、蒲団がきちんとたたまれていました。そしてその上に「ありがとう、お元気で」というメモと預金通帳が置いてありました。祐は、その預金通帳を見ながら、父の言葉を思い出します。「心の底から愛しているから、口に出せないというか…」
 祐は肇に電話をします。「やっぱり萌奈美さんに伝える事は止めるよ。萌奈美さんが苦しむから…」

 院長が行方不明になります。予定されていた手術は中止となります。院長の母は善後策に追われます。そんな院長の母に、理恵が近寄ります。
 院長の母は理恵に「あなたには止めてもらいます。私はずる賢い人が一番嫌い…二度とこの病院に近寄らないで…」と言います。

 萌奈美と祐は外出します。そして、あのサクラの木を見に行きます。
 萌奈美が「冬のサクラ…まだ春は先ですね…」と言います。すると祐が「必ず春は来ます。」と言います。そして「萌奈美さん、約束しましたね。また、このサクラを見るって…一緒に見ましょう。春になったらまた見ましょう。満開のサクラを見ましょう。」と言います。萌奈美の心には安らぎがありました。
 祐は萌奈美に「冷えるといけないから、戻りましょう。」と言います。
 萌奈美は祐に「祐さん、今日はどうしてもやりたい事があって…」と言います。

 院長が山形の病院に来ます。そして、萌奈美と会おうとしますが会えません。受付で、外出許可が出ている事を知ります。院長は祐の家に行きますが、誰もいませんでした。院長は、萌奈美と祐を探し回ります。院長の目は異常としか思えませんでした。

 萌奈美と祐は、祐の家に戻って来ます。そして萌奈美は、祐の為に料理を作り始めます。まだ記憶が戻らない時に聞いたあの言葉を…
 「好きなおかずは何ですか」「肉じゃがかな…」
 萌奈美は祐の為に、一生懸命に作ります。しかし、思うように手が動きません。そして皮むき機を落とします。祐は「萌奈美さん、やっぱり無理はしないで下さい。」と心配そうに言います。萌奈美は「大丈夫、祐さんこっちに来ないで…」と言って、懸命に作ります。
 祐は出来あがった料理を見て「覚えてくれたんですね。」と言います。すると萌奈美が「あの時、作れなかったから…」と言います。
 「いただきます。」「どうですか。」「うまいです。」「良かった。」二人は会話をしながら、楽しそうに食事をします。
 そして萌奈美が「考えたんです。私は祐さんに何が出来るかって…これくらいしか出来ないんです…これが私の人生です。良かった、最後に祐さんに会えた事が…これが私の祐さんへの精一杯の気持ちです…」と言います。祐は「ありがとう。オレ、忘れません…」と言います。
 祐は食事が終わると、早咲きのサクラを求めに、花屋に行きます。そして、花屋の女性に早咲きのサクラをもらいます。祐は女性に「ありがとう。これ病室に飾ろうと思って…」と言います。女性は「本当に大切な人なのね。」と言います。でも女性には、祐への想いがありました。

 祐のいない家に、院長がやって来ます。萌奈美は、祐がいない間に気分が悪くなっていました。そして、玄関の物音に祐が帰って来たと想い、心を奮い立たせるのですが…そこに現れたのは院長でした。
 院長が「萌奈美、迎えに来たよ。」と言います。萌奈美は「あなたの元には戻らない…」と言います。院長は「なぜだ…僕だけの為に生きて欲しかった…あの男が現れるまでは問題なかった…」と言います。すると萌奈美が「それは違う…私には勇気が無かった…それを祐さんにもらったの…」と言います。院長は「どうしても僕の所には戻らないんだな…」と言います。萌奈美は「はい。」と答えます。
 すると院長は、メスの様な鋭い刃物を出して「あの男には絶対に渡さない。」と言って、萌奈美に襲いかかろうとします。ちょうどそこへ祐が戻って来ます。祐は院長に「いい加減にしろ、萌奈美さんは限られた命を必死に生きようとしているんだ…」こう言いながら、萌奈美から院長を引き離します。院長は「お前に何が分かる。萌奈美を愛しているんだ…」と言います。すると祐は「だったら萌奈美さんの事を分かって下さい。あなたが萌奈美さんを本当に愛しているのならば…」と言います。院長は「萌奈美への愛は、君には負けない…」と言います。そして院長は帰って行きます。
 萌奈美は、緊張に耐えられなくなって倒れます。祐は萌奈美を病院に連れて行きますが、萌奈美の様態は悪化していました。そして、心停止に陥ります。萌奈美の蘇生処置が始まります。祐はその様子を耐えながら見ていました。
 ここで、萌奈美のナレーションが入ります。「命のともしびが、少しづつ消えて行くのを私は感じ始めていました…」と
 祐のもとへ肇がやって来ます。祐は肇に「オレどうしたらいいか…オレ、やっぱり無理だ…萌奈美さんが本当に消えてしまうなんて、耐えられない…生きててほしいんだ…オレ、院長に頼んでみる…手術してもらえるように…」と言います。
 この続きはどうなるのでしょうか。次が楽しみです。

 今回は、物語に少し展開がありました。祐の父が現れ、祐は母と父の愛があって産まれた事が分かりました。祐の父親もそれなりに好い人である事が分かりました。そして親子と言うか、血のつながりと言うか、父の言葉「心の底から愛しているから、口に出して言えなかった…」に、感ずる物があったのか、萌奈美に対して、自分の気持ちを言わない事にしました。祐の気持ちの優しさが描かれていました。
 それから、院長の母親も常識的な人である事が分かりました。ただ、院長の母親は、世襲のプレッシャーというものをあまり理解していなかったようです。世襲をする二世や三世には、自分の意志とはかかわらず、周りからは「やれて当然」という目で見られます。その期待に答える為には、相当のプレッシャーが掛かると思われます。政治で言えば、地盤・看板・鞄がすでにあるから選挙には有利で、羨ましがられます。でも世襲議員に対しての期待はそれだけでは済まないのです。親である大政治家と常に比較され、大臣は当たり前で、常にその上を期待されます。このプレッシャーに耐えることが出来ずに、消えて行く世襲議員は少なくありません。
 医者の世界も同じ事です。まず、実力で医者にならなければなりません。そうしなければ、親の病院を継ぐ事が出来ません。親の病院を継いでも七光りと言われます。それに負けないだけの力を付けなければなりません。そのプレッシャーはやった者でないと分からないと思います。院長の母は、こんな事が起きるまでは、上手く育てたと思っていたのでしょうが、院長のメンタルな部分までは分かっていなかったのです。時にはゆとりを持たせてやるべきだったのでしょうが…でも、これは結果論かもしれません。誰も院長の母を責める事は出来ないと思います。
 それから琴音ちゃんが、大人になりましたね。この時期の子は、育て方が難しいと思います。でも、目と目を合わせて、ちゃんと話せば理解は早いと思います。日頃の関係が重要なのかもしれません。
 肇は、ただ、母親を憎んでいたんじゃ無かったんですね。やっぱり祐の弟です。そして、兄への想いが美しいですね。好い弟です。
 萌奈美も祐に、精一杯の思いやりを見せます。自分にはこれしか出来ないと思い。動かない手で、祐に肉じゃがを作ってあげます。こんな小さな幸せが、本当の幸せだと思います。ただ、長続きしない、一度だけの思い出は淋しいですね…

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