2011年12月30日金曜日

韓流時代劇「風の絵師」第3話掌破刑(後)を見ました



第三話 掌破刑(後)


ユンボクはチャンヒャンの部屋にいました。そこでチャンヒャンの琴の演奏を聞きながら酒を飲んでいました。そして酔いが回って来ると筆を取って眺めていました。絵具を取り出し、紙を準備して絵を描き始めます。曲の旋律に合わせて流れるような線で描いて行きます。ユンボクには明日の無い、今だけの世界でした。ホンドの言う、没我の境地だったのかも知れません。

 ユンボクは、絵を描き終わると、「はあー」とため息をついて、敷いてあった蒲団に横になります。チャンヒャンもまた、満足げな表情をしていました。ユンボクは自分の手を見つめていました。そして一筋の涙が流れ落ちます。しかし、その表情は満足げでした。ユンボクは起き上り、酒の入った徳利をつかんで飲み始めます。

 チャンヒャンは「どうして話したんでしょうか…師匠の事です。」と言います。ユンボクは、酔って虚ろな眼差しで「師匠?…あ~、タンウォン(ホンド)先生の事か…どうしてかな…図画署で問題をお越し、市場で俗画を売るのを見たから…腹を立てるしかない。」と言います。

 チャンヒャンは「それでも会おうと画工を探したのは…もしや…」と言います。ユンボクが「もしや?」と聞き返すと、チャンヒャンは「もしや…守ろうとしたのでは?」と言います。ユンボクは「守ろうとした…」と独り言を言いますが、酔って思考能力が低下していました。

 チャンヒャンは「画工には、師匠が唯一の希望かも知れません」と言います。ユンボクは「希望?…はあ~」とため息をつきます。



 「ダメだ!…いけない!…」ホンドは図画署で、旧友が掌破刑にあっている夢を見てうなされていました。目を覚ますと大きなため息をつき、そばに置いてあった水を飲みます。昔の思い出が蘇って、恐怖にさいなまれているようでした。

 ホンドはインムンと食事をしていました。そこへ、ジョンスクがご馳走を持ってやって来ます。ジョンスクが「どうぞ…」と言ってご馳走を差し出すと、インムンは「お前が来ると料理が変わる」と言います。するとジョンスクが、少しむくれた顔で「お兄様ったら…」と言って、恥ずかしそうに逃げて行きます。インムンは「恥ずかしいのか…」とジョンスクに声を掛けます。ホンドには生気がなく、二人の会話など耳に入らないようでした。

 インムンが「どうだ、王の食前にも劣らないだろう」と言っても、ホンドは上の空で「ああ~そうだな…」と言うのがやっとでした。せっかくのご馳走も食が進みませんでした。インムンは、急に真面目な顔をして「心は決めたか…お前がいてこそ世の中もある…まずは食べてゆっくり考えろ…考えすぎるな…」と言います。ホンドは急に振り返ると「ジョンスク!」とインムンの妹を呼びます。ジョンスクは「はい」と言って、嬉しそうな顔をして現われます。ホンドが「お願いがある」と言うと、ジョンスクは「私に?…」と嬉しそうに答えます。



 ユンボクは、描き殴った絵で散らかったチャンヒャンの部屋で眠っていました。気がつくとすぐに起き上がり、二日酔いで痛くなった頭を抱えて、昨晩のチャンヒャンの言葉を思い出していました。「画工には師匠が唯一の希望かも知れません。」

 ユンボクは、小声で「希望?」と独り言を言います。



 チャンヒャンが、ユンボクの朝食を下女に持たせてやって来ます。「画工…朝食をどうぞ…」しかし返事がありません。チャンスクは部屋の戸をそっと開けます。しかし、ユンボクはいませんでした。部屋は綺麗にかたずけられていました。

 下女が「どうしたのでしょうか…」と言うと、チャンヒャンは「そうね…」と言って部屋に入ります。部屋には、チャンヒャンが琴を奏でている一枚の絵が置かれていました。チャンヒャンは、その絵を見るなり嬉しそうな表情になります。その絵の添え書きには「羽を抜いても鳥は飛ぶのをやめない…弦が切れたとて弾くことをやめようか…目が覚めたとて夢まで消えようか…」と書いてありました。この文章から察するに、ユンボクには多少なりとも希望が残っているようでした。



 ユンボクの父は、図画署の自室で、厳しい眼差しで一点を見つめていました。「…そうすればユンボクの手は助かります。」ホンドの言葉を思い出していました。そして「差備待令画員(チャビテリョンファウォン)の栄光を捨てねばならんか…」と独り言を言います。



 ユンボクは、生徒の制服ではなく、私服で図画署に遣って来ます。宮中では、ホンドが王様に拝謁しようとしていました。内官が「殿下、画師キム・ホンドが参りました。」と言います。王様が「通せ…」と言います。



 王様は、ホンドが持ってきた絵を見ながら「今日だな…」と言います。ホンドは「そうです…祈雨祭(キウジェ)が終われば、掌破刑が行われます。(掌破刑=手を石で打つ刑罰)」と答えます。

 王様は、絵を見ながら「とどめたい瞬間の一つが…心惹かれる時だ…この絵にはその切なさが表れている…誰が描いたのだ…」と聞きます。ホンドは「単なる図画署の生徒に過ぎません。」と答えます。王様は、驚いた様子で「図画署の生徒?」と聞き返します。ホンドは「この生徒は、筆を取れなくなります…刃物で切ったような明瞭な筆遣いと、生きてうごめく線と、切なさまで表現する絵が…見られなくなります。」と答えます。

 王様は「実に惜しいことだな…」と言います。ホンドは「この者の才能があまりに惜しいです。」と答えます。王様は「しかし…王大妃様の心を変えるには遅い…」と言います。ホンドは「遅いかもしれません。しかし…臣はこの生徒を…諦めたくありません。」と答えます。王様は、もう一度ユンボクの描いた絵を見ます。ホンドほどの画師が言う才能を…そして、ホンドを見つめます。



 王様は、宮中内のお堀のそばで、王大妃と通り合わせます。そして一礼をして「今日は何をされますか…私は、七日前に始めた祈雨祭を終わる為に木棉山へ行きます。」と言います。すると王大妃は、「私が七日前に始めた事も終わります。」と答えます。



 図画署では、掌破刑の準備が着々と行われていました。それを見ていた生徒達は、不安に襲われます。

 ユンボクはホンドの部屋で、机を間にして向かい合って座っていました。ホンドはお茶をつぎ「飲め」と言います。ユンボクは一礼して飲もうとするのですが、なかなか飲めません。手が少し震えているようにも見えました。二人の顔は深刻そのものでした。

 ホンドがおもむろに「戻るとは思わなかった…」と言います。ユンボクは、どう答えようかとしばらく考えて「私が描いた絵なので、私が責任を負います。」と答えます。

 ホンドは、慎重に言葉を選びながら「すぐに掌破刑が始まる…」と言います。ユンボクは、何とも言えない表情で「私はどうすればいいでしょう…」とホンドに聞きます。部屋の外では、兄のヨンボクが、目に涙を浮かべながら立ち聞きをしていました。どうしたらユンボクを救えるのか、ヨンボクの心はゆれていました。

 ホンドは「しかし…」と言いますが、その後は何も発せずに、沈黙が続きます。



大商人のキム・ジョニョンは、護衛の女侍を連れて、商店街を歩いていました。そして「檀園(ホンドのこと)なら黙っていないだろう…自分の手でも、弟子の手でもそのまま出すはずがない。必ず何か方法を探すだろう…面白くないか…ついに二人の天才が出会った…」と言います。女侍は「まるで2人と知り合いのようですね」と言います。キム・ジョニョンは「そうだな…そうしておくか…」と言って笑います。



イ・インムンの妹ジョンスクは、市街地の酒場の前に立っていました。誰にも知られないようにかぶり物をまとって…そして、ホンドから頼まれたことを思い出していました。「巳時(サシ)から午時(オシ)に生徒服の者が酒屋に来る…そのものに伝えてくれ…」

そこへユンボクがやって来ます。ジョンスクは、ユンボクを見つけると「あの…檀園先生のようですか…」と聞きます。ユンボクは「そうですが」と答えると、ジョンスクは、かぶり物をとり「よく来られました。この手紙を持って、広通橋(クァントンギョ)のコン氏に…」と言います。ユンボクは「それだけですか…」と聞きます。ジョンスクは「はい…行ってください、お兄様が急げと…」と答えます。ユンボクは「お兄様?…」と聞き返します。するとジョンスクは「はい…檀園お兄様が…」と答えます。ユンボクは、「あっあー、ご家族ですか」と聞きます。ジョンスクは「家族?…」と言うと、何を勘違いしたのか、恥ずかしそうに「いえ、まだ違いますが…とにかく急げとのことでした。お行きください。」と恥ずかしそうに言います。ユンボクは「はい、行きます…」と言うと、その場から立ち去ります。



ユンボクが、広通橋に行くと、男が馬を用意して待っていました。

男は「さあ出発だ…乗って…」と言うと、ユンボクが馬に乗るのを手伝います。ユンボクが驚いて「あの?」と聞くと、男は「平壌に行って、クァク氏に会え…分かったか!」と言います。ユンボクは、わけが分からずに「平壌のクァク氏?…」と聞きますが、男は「しっかり握れ…この馬は、走り始めたら止まらない…」と言うと、馬の尻を手で叩きます。ユンボクは慌てて「待ってくれ…」と言いますが、馬は勝手に走って行きます。



ホンドは、図画署別提のチャン・ビョスクの部屋で「分かったか…」と聞かれます。ホンドは、緊張した表情で「はい」と答えます。チャン・ビョスクは、満足そうに「見つけねばな…いずれにしても誰かの手が切られる…そうだろう」と言うと、煙管にたばこを丁寧に詰めていました。その様子を見て、癇に障ったのかホンドは、鋭い目つきで「楽しそうですね」と言います。チャン・ビョスクは「もちろん…面白いとも…」と言います。

ホンドは、少し語気を強めて「誰かとは?…」と聞きます。するとチャン・ビョスクは、笑いながら「お前も苦しんでいるだろうな…誰かの手でなければ、お前の手を切られる」と言います。ホンドは、皮肉のように「心配してまで頂き、感涙の極みです。」と答えます。



その時王様は、最後の雨乞いの神事をしていました。ユンボクは、馬でひたすら平壌へ向かっていました。

ユンボクは馬で走りながら、ホンドの言葉を思い出していました。

「掌破刑の道具が出れば、必ず使われる…」

ユンボクは、チョンヒャンの言葉も思い出します。「守ろうとしたのでは?…画工には、師匠が唯一の希望かも知れません…」するとユンボクは、馬の手綱を引いて向きを変え、引き返して行きます。その時、図画署では兄ヨンボクが筆を持って、何か考え事をしていました。その表情は、思いつめたものがありました。

図画署では、掌破刑の準備が出来て、画員や生徒達が刑場に集まっていました。インムンは生徒達に「静かにして立っていろ」と言います。

一人の生徒がヨンボクに近づき「ユンボクはまた便所か…」と小声で聞きます。ヨンボクは「すぐに来るさ」と答えます。すると生徒長が「昨日は帰ってないんだろう、まだケウォル屋だな…」と言います。ヨンボクは「ケウォル屋?」と聞きます。すると別の生徒が「女みたいな奴が、女色に溺れた」と言います。ヨンボクはユンボクの事を思い、心配そうな表情をして黙って何か考えていました。



王様は、雨乞いの神事を無事に終わらせていました。

「これで、人の成すべきことはした」と言います。



王大妃は、身支度を整えて「行こう」と言うと、刑場へ向かいます。



王様は、休憩所でユンボクの絵を見ていました。そこへ役人が遣って来て、「清国の大臣が、お待ちになっています。」と言います。王様は、「王大妃様の件はどうなった」と聞きます。役人は「掌破刑が始まるようです」と答えます。王様は、静かに「そうか」と答えます。王様は、ユンボクの絵を見ながら、思いつめたように何かを考えていました。

王様は、ホンドの言葉を思い出していました。「臣は、この生徒を諦めたくありません…」そして、吐き出すように「諦めたくない…」と独り言を言います。役人は「殿下、遅れます。お急ぎを…」と言います。王様は、ユンボクの絵を見ながら「待て」と言います。しばらくの間、絵を見つめた後に、一つの事に気が付いたようです。それは、ユンボクの絵に描かれた女人の首筋に、ほくろがあることでした。王様には、思い当たる女人がいました。



図画署の刑場では、役人が壇上に立ち、画員や生徒の前で命令書をお見上げます。「丁酉(チョンユ)年、日照りが2カ月続き祈雨祭を執り行った。しかし、自重すべき祈雨祭期間に、王室の画事を預かる図画署で、春画が発見された。これは、祈雨不慎処罰により、断罪するのは当然だ。その為、図画署画員キム・ホンドが、春画を描いた犯人を捜し、その者を明らかにした。天に民の意思を伝え、雨が降ることを望む」そこには、王大妃も列席していました。

役人が「キム・ホンド前へ」と言うと、ホンドは一礼して前に出ます。役人は「画員、キム・ホンド…その生徒が分かったか…」と聞きますが、ホンドは黙っているだけでした。役人は、もう一度「その生徒は誰だ?」と聞きますが、ホンドは黙って考えていました。



その時、ユンボクは必至で馬を走らせていました。



答えないホンドに対して、役人は重ねて「誰だ?」と聞きます。ホンドは、後ろを振り返り、ヨンボクの顔を見ます。そして、意を決したように「犯人は…分かりませんでした…」と言います。ホンドは「殿下を始め、画員たちに、責任ある画員としての範を示せず、幾重にもお詫びします。どのような罰も甘んじて受けます。」と言います。

役人は「その言葉の意味を分かっているな…その生徒の代わりに、お前の手が切られるのだぞ…」と言います。するとホンドは「礼曹判書(イエジョパンソ)様…まだ、画員でもない…幼い生徒です。もしもこの絵が、図画署生徒の過ちなら…それは、正しく導けなかった図画署の過ちです。先輩画員の一人として、その罰は甘んじて私が受けます。罰して下さい。」と言うと、膝まづき、土下座をして礼をします。

役人は「見つけられなかったと言うのか…」と怒りを込めて言います。そして「皆、聞け…画員、キム・ホンドは、図画署の風紀を乱し、絵を描いたものを明らかにできなかった。約束通りに、その罪を代わりに問う。画員、キム・ホンドを掌破刑に処せ…」と命令します。その場に居合わせた、ユンボクの父シン・ハンビョンの顔が悲痛なものに変わります。

下役人たちがホンドのところへ行き、土下座をしていたホンドを抱えて掌破刑台に連れて行き、座らせて手を固定します。生徒達の顔は恐怖による悲痛な顔になっていました。

役人が「始めよ」と命令します。そこへユンボクが「やめてください…」と言いながら門を開け、入って来ます。しかし、無情にも下役人の振るった斧が、ロープを叩きます。

ユンボクは「師匠!…」と叫びます。しかし、掌破刑の巨石がするすると落ちて来ます。誰もが目をつぶったのですが…掌破刑の巨石は、寸でのところで止まります。ロープが完全に切れておらず、首の皮一枚で繋がっていました。

ユンボクは「師匠!」と叫びながら、掌破刑台に走り寄り、ホンドにすがりつきます。そして、ロープをほどきながら「師匠!…何ということを…師匠、師匠…いけません…解いて下さい…解いて下さい…」と叫びます。そこへ下役人が遣って来て、ユンボクを抱きかかえ、ホンドから放そうとします。ユンボクは「放してください…放せ!」と叫びながら抵抗しますが、ひ弱なユンボクの力ではどうしようも有りませんでした。

それを見ていた役人が「何のまねだ…王大妃様の命令を妨害するとは…」と大声で言います。ユンボクが「申し上げます…」と言うと、役人が下役人に、放せと目で合図します。下役人は、ユンボクから離れて行きます。そして、ホンドとヨンボクの顔色がさっと変わります。

ユンボクが、決死の想いで「あの絵を描いたのは…」とここまで言うと、突然ヨンボクが立ちあがり「私です!」と叫び出します。そして、前に出て来てユンボクの横に座り「私があの絵を描きました…」と叫びます。ユンボクは「違います…私が描きました…」と叫びます。すると間髪いれずにヨンボクが「いいえ、私です。兄をかばおうと弟は偽っています。」と叫びます。ユンボクは「何を言う…私が描きました。」と言います。ヨンボクはまた「確かに私です」と言います。この繰り返しが続きます。それを見ている父ハンビョンは、頭を抱えます。それを見ていた役人は「何のまねだ…」と大声で言います。

役人は「キム・ホンド…言え…二人のうち、どちらが掌破刑だ?」と聞きます。しかしホンドは、黙って何も言いません。役人は、さらに「言え…早く言え…」と言いますが、ホンドはしばらく考えて「分かりません…」と答えました。すると役人は「掌破刑を続けろ…」と下役人に命じます。下役人が掌破刑台の巨石をロープで引き揚げ始めると、それを見ていたヨンボクとユンボクは同時に「私です」と言います。ユンボクが「いけません…私です」と言うと、ヨンボクが「弟を助けて下さい…私です」と言います。ユンボクが「師匠には何の罪も有りません…」と言うと、ヨンボクが「私を殺して下さい」と言います。それを見ていたホンドの目からは、涙が流れていました。

そこへ、来るはずのない王様が遣って来ます。全員が慌ててひれ伏します。王様は輿から降りると回りを見渡します。そして、掌破刑台に繋がれているホンドを見て驚きます。次の瞬間に、王大妃の居るはずの場所に目を遣りますが、そこにはすでに、王大妃の姿はありませんでした。



王様と王大妃は、王大妃の部屋で話をしていました。王大妃は「これは私の仕事です…主上には関係ありません」と言います。王様は「どうしても血が必要ですか」と聞きます。王大妃は「もう始めた事です…始めたからには、当然結末が必要です」と答えます。王様は振り向いて王大妃の隣に座り「お大妃様…」と言うと、しばし沈黙が続きます。図画署の掌破刑の刑場では、全員がそのままの状態で、王様と王大妃の話し合いの結果を待っていました。

ホンドがユンボクに「なぜ言ったとおりにしなかった…」と言います。ユンボクは「どうして師匠が罪をかぶるのですか…私の問題です。」と言います。するとヨンボクが「ユンボク…」と言います。ヨンボクは「兄上もどうしてだ…誰が頼んだ…」と言います。するとヨンボクが「お前は黙っていろ…あれは私が描いた…」と言います。ユンボクは「手首が無くなるのに、黙っていろと?そして、アホのように絵を描き続けろと?やめてくれ…逃げても駄目だと分かった…それで帰って来た……師匠…兄上…ごめんなさい…」と言います。

ホンドは「2人とも聞け…今から何を聞かれても…絶対にその絵を描いたと言ってはならん…私が始末する…分かったか…」と言います。ホンドの目からは、涙が流れていました。

そこへ、インムンがやって来て「檀園…別提様がお呼びだ…」と言います。するとホンドの手が、掌破刑台から放されます。

インムンはホンドを抱きかかえると「どういうことだ…これば望みか?…」と聞きます。ホンドは「すまない…何も聞かないでくれ…行こう…」と言います。



別提の部屋には、礼曹判書と別提と元老画員達が同席していました。

礼曹判書が「キム・ホンド…犯人は二人のどちらかだな…言ってみろ…どちらだ?……二人とも掌破刑に遭うのを見たいか…最後に聞く…どちらだ…」と聞きます。

ホンドは「礼曹判書様…私の手だけでは不足ですか…」と言うと、礼曹判書は怒って机を叩きます。そして「黙れ!」と大声を上げます。礼曹判書は「分かった…三人とも掌破刑に処する…紙を持て…」と怒鳴ります。すると、今まで恐れながらも成り行きを見ていた二人の父シン・ハンビョンが「礼曹判書様…」と言うと、椅子から降りて土下座をして「私の不徳の致すところです。死ぬべき罪を…未熟な私の子供たちが…愚かな罪を犯しました…何とぞ寛大な処置を…」と泣きながら赦しを願います。

すると別提が「馬鹿げた事を…立て…」と怒り出します。すると礼曹判書様は別提の方を向いて「静かにしろ…」と言います。そしてハンビョンの方に向き直り「イルチェ…お前が言え…二人とも殺すか、一人でも助かるか…」と言います。ハンビョンは「礼曹判書様…どうして私が息子たちを……お願いです…」と言います

 

 刑場では、ヨンボクとユンボクが並んで両手をついて土下座をしたままでした。二人の目にはそれぞれ涙が流れていました。ヨンボクは、弟のユンボクの手をそっと握ります。ヨンボクには、ユンボクに対して特別な感情があるようでした。



 別提の部屋では、以前尋問が続いていました。礼曹判書はハンビョンに向かって「それは事実か…」と言います。ホンドは驚いた様子で、じっと黙っています。礼曹判書は「では主上殿下にそう告げよう…」と言うと、別提の方を向きます。別提は「紙をもって…」と言います。ハンビョンの顔は悲痛さが増していました。



 王様の元へ別提から書状が届けられます。王様は「王大妃様…始めた事の始末をつけて下さい…」と言うと、その書状を王大妃に渡します。王大妃は書状を読むと王様の目を見つめます。



 刑場には、別提や元老画員達が出て来ます。ホンドも兄弟の隣に座ります。

 「皆、注目せよ…」という声が響き渡ります。

 礼曹判書が「判決を下す…丁酉年…日照りが続き、主上が祈雨祭を何度か行ったが、天の恵みがなく、祈雨祭に春画を描いた図画署にその罪を問うた…キム・ホンドが犯人を捜し、告発するのを待ち…今日に至った…判決…春画を描いた犯人に対する掌破刑は…執行しない…また…キム・ホンドに対する掌破刑も執行しない…これは至厳たる王大妃様と主上殿下のご意思だ…」と言うと、全員が「ありがたき幸せに存じます」と言って、土下座して、礼をします。ユンボクも泣きながら「ありがとうございます」と言います。



 王様は、ユンボクが描いた絵を取り出して「王大妃様…私ははっきり覚えています。前王が初めてお会いした時…何と言われたか…嬪(ピン)耳は実に立派だ…特に耳の下の赤いホクロは縁起が良いから…国運が開ける徴候ではないか…」とほほ笑みながら言います。

 王様は立ち上がり、外を見ると雨が降っていました。「王大妃様…見て下さい…天も画工の手を惜しみました…」と言います。



 刑場では、雨が降って来て、全員が天を見上げます。

 「しかし、慎むべき祈雨祭に、春画を描いた罪は軽いものではない…春画を描いた生徒に処罰を下す…罪人、シン・ヨンボクは前へ…」

 するとヨンボクは前に進み出ます。ユンボクは驚いた表情でヨンボクを見つめます。

 「罪人、シン・ヨンボク…図画署生徒の資格を剥奪…丹青所(タンチョンソ)へ追放し、一生罪を償わせる…」

 判決が言い終わると、ヨンボクは一礼をします。そしてユンボクは「兄上!」と叫びます。



 図画署の門の前に、父ハンビョンとヨンボク、ユンボク兄弟の三人がいました。ヨンボクは私服に着替え、旅立とうとしていました。ヨンボクは、持っていた包みをヨンボクに渡そうとします。

 「筆は毎日よく洗い、陰で干すと長く使える…面倒でもな…余計な話だった…」というとユンボクの手に、包みを握らせます。ユンボクは、何とも言えない沈痛な表情をして、ヨンボクとろくに目を合わせる事も出来ません。

 ヨンボクは「行くよ…」と言います。そしてハンビョンに「父上…行きます。」と言います。ハンビョンは、うなずくのですが、ヨンボクと目を合わせることが出来ませんでした。ヨンボクが行こうとするとユンボクは、ヨンボクの手を取って「ダメだ…今から別提様を訪ねよう…」と言います。するとヨンボクは「私の選択だ…」と言います。ユンボクは必至で「なぜ兄上が、卑しい丹青屋になど?」と言います。ヨンボクは、落ち着いて静かに「お前の為でも、私の為でもない…」と言います。ユンボクは「それでは何の為だ…兄上は何時も犠牲になる…」と、涙を流しながら言います。ユンボクは振り向いてハンビョンに「何か言って下さい…父上…」と訴えますが、ハンビョンは、「うーん」とため息をつくと、ユンボクから目をそらして、何も言いませんでした。

ヨンボクは「そうではない…お前には才能がある…私などには想像もできない、天が与えた才能だ…」と言います。ユンボクは「兄上…丹青屋に行ったら図画署に戻れない…」と言います。ヨンボクは「だから私の為にも…私の為にも…最高の画員になってくれ…」と言って、ユンボクを振り切り、旅立ちます。ユンボクにもヨンボクにも目から溢れるほどの涙がこぼれていました。ユンボクが「兄上…兄上…」と言って追おうとすると、ハンビョンはユンボクの手を握りとめます。

ユンボクは「放してください…」と言いますが、ハンビョンはユンボクの目を見て真剣に「お前が招いたことだ…あんな絵を描いて、図画署を騒がせた…」と言います。するとユンボクは、ハンビョンに食ってかかるように「だから私が行くというのです…」と言います。ハンビョンは聞き訳のないユンボクの顔を平手で殴ります。そして「目を覚まさんか…お前が…御真画師を経て…差備待令画員に成る道だけが…兄の気持ちを酌む道だ…分かったか…」と言います。ユンボクは「できません…いやです…」と言って、感情を爆発させ、包みを捨てて走って行きます。ユンボクの走って行く後ろ姿を見つめているハンビョンの目には苦悩がありました。



ホンドは、酒場で一人酒を飲みながらヨンボクの事を思いだしていました。

ヨンボクが「お願いします…お願いします。師匠…お願いします。師匠…」と何度も繰り返すヨンボクの姿を…

ホンドが「弟の為に、手を差し出すのか…」と言うと、土下座をして「弟を助けて下さい…師匠…お願いします…私の手を…私の手を…私の手はいりません…私の手はいりません…」と何度も叫び続けたヨンボクの姿を…

そこへユンボクがやって来て、ホンドの手から酒の徳利を取り上げます。そして「あの絵を描いたのは私です…」と言います。ホンドは、徳利を取り返し、盃に酒を注ぎながら「分かっている…」と言います。ユンボクは「なぜ黙っていたのですか…」と言います。そして土下座すると「師匠…図画署で真実を言ってください…」と言います。ホンドは「お前の兄は、お前のせいで丹青所に追われた…お前の為だ…」と言います。ユンボクは「理解できません…たかが絵なのに…手首を失い、丹青所に追われるなど…どうしてですか…」と言います。ホンドは酒を飲みながら、冷静さを装い「図画署だからだ…」と言います。ユンボクは、ホンドの手をつかみ「どうか兄を助けて下さい…私がした事です。私が行きます…」と訴えます。ホンドは、少しむきになってユンボクの手をつかみ「この手が見えるか!自らの手を差し出すと言った…もしお前が兄を少しでも思うなら絵を描け!瞬時も惜しめ…」と言います。ユンボクは、泣きながら走ってその場を立ち去ります。

ユンボクは、街中を走りながらヨンボクの言葉を思い出していました。

「お前は才能がある…私には想像もできない、天が与えた才能だ…」

そして、ホンドの言葉が頭の中をこだまします。「瞬時も惜しんで絵を描け…兄の犠牲を無駄にするのか…」

ユンボクは、街中を通り過ぎて、小石を積み重ねた石塔のある小高い山に来ていました。そして、積み上げた石塔をくずし、石を投げて、自分の感情を爆発させていました。

「たかが絵じゃないか…兄上なんて…分からない…どうしてだ…絵が何だ…要らない…もう何も要らない…ワー…消えてしまえ…ウワァー…」と…涙が止まりませんでした。

その時、ユンボクはふと思いつきます。この石で自分の手を砕こうと…



ハンビョンは、図画署の自室で考えていました「あの子は助かった…あの子の手は…これでいい…これでいいんだ…」と…自信に納得させるようでもありました。



酒場では、ホンドが酔って暴れていました。それをインムンがなだめていました。

「どうしたんだ…」するとホンドが「おっと…手は?…まだあるな…一人の手は助けたぞ…」と言います。

 インムンは、ホンドを後ろから抱きかかえて「昼間から…」と言って連れ帰ります



 ユンボクは、自分の手を石の上に置いてじっと見ていました。石で叩こうとしてもなかなか決断できませんでした。目には涙があふれ…その姿は異様な殺気が漂っていました。そして、「ワーッ」と言う掛け声と共に自信の手を自身で叩き砕きました。その瞬間、女人のような悲鳴が響き渡りました。



夜の街をチョンヒャンが下女と歩いていると、誰か人が道端に座っていました。下女が気づくと、チョンヒャンが確かめます。するとそれはヨンボクのようでした。

チョンヒャンは「画工?…」と言って近づいていくと、ユンボクは気付いて振り向こうとするのですが、そのまま倒れます。チョンヒャンは驚いて、ユンボクを抱きかかえようとします。その時、ユンボクの手の怪我に気が付きます。「どうして…画工…画工…」と呼び続けます。ユンボクは、虚ろな瞳で「相変わらず…美しいな…」とやっとの思いで言いますが、すぐに意識を失います。チョンヒャンは、「画工…画工…」と呼び続けます。チョンヒャンは下女に「医員を呼びなさい…急いで…」と言います。下女は医員を呼びに行きます。



チョンヒャンは妓生房で、ユンボクの手当てをしていました。ユンボクはうわごとを言っていました。「私です…行かないでくれ兄上…私が…違うんです…」そこえ下女が帰って来ます。

「医員は?…」

「妓房には行けないと…」

「薬やには行ったか…」

「はい…行ったのですが…」

チョンヒャンは、自分の手だけでユンボクを懸命に看病します。

ユンボクは、うわごとで「兄上…」と呼び続けながら、懸命に手を上に上げようとします。その手をチョンヒャンは両手で握ります。



あくる日チョンヒャンは、下女を伴い図画署に向かいます。図画署では、生徒や画員から好奇の目で見られます。



ユンボクは、気がつくと起き上り、痛む自分の手をじっと見ていました。そして、そばにあった筆たてから筆をとろうとするのですがやめます。目には今にもこぼれんばかりの涙が溜まっていました。そして、痛む手で机の上の画材を全て払い落とします。その勢いのまま、後ろに敷いたままの蒲団に頭を埋め、声を上げて泣き続けます。



妓生房では、キム・グィジュ(貞純王后の兄)達が集まっていました。

キム・グィジュは「とにかく、図画署の件は終わったし…後は目障りな檀園の処理だけだ…」と言います。すると別提が「もう図画署に置く理由もないので、穏便に処理するつもりです…」と言います。王大妃の叔父のチョン・ヨンスン右議政が「始末はしっかりしろ…もし…あの事件を蒸し返せば面倒になる…分かったな…」と、みんなに言います。

別提は「数日中に追われるものに…何が出来ますか…あっははは…心配ありません…」と言うと、みんなで笑います。



ホンドは図画署の資料室で、何かの本を読んでいました。

「丙戌(ピョンスル)年524日…画員ソ・ジンが怪漢により被殺…義禁府(ウィグム)はソ・ジンの無愛想な性格と攻撃的な性格から推測し…怨恨による殺人を疑っている…ソ・ジンは主に人物を描き…儀軌班次図や宮廷記録画など重要な絵には参加せず…図画署に寄与していない…親しいキム・ホンドたちが…祭礼を主管する…(儀軌班次図=ウィグェパンチャド=文武百官が参加する行事を描いた絵)」

本を読み終わるとホンドは、本を閉じで不審な顔つきになります。そして、「ソ・ジン…待ってくれ…必ず明らかにする…」と、心の中で思います。



生徒達は、ホンドの部屋で待っているチョンヒャン達を窓の外から盗み見をしながら口々に「綺麗だな…」「絶世の美人だ」「どうしてだ…最後まで行ったな…」などと言っていました。丁度そこへホンドがやって来て、生徒達の目線と一緒になって「何が?…」と聞きます。すると、ホンドの隣の生徒が「チョンヒャンと檀園が…」と言いながら隣を向くと、そこにホンドがいたのでビックリして立ち上がります。そして「いらっしゃった…」と言うと、生徒達は一斉に神妙な顔つきになります。

ホンドは、部屋の中の妓生(チョンヒャン)をじっと見つめているのですが、誰だか分からずに、生徒に「誰だ?…」と聞きますが、生徒は誰も答えませんでした。

ホンドは、部屋の中のチョンヒャンに「これは不思議だ…漢陽の妓生は、呼ばずとも来るのか…確かに不思議だ…」と言いながら部屋の中へ入ります。そして生徒達に「出て行け…」と命じます。

チョンヒャンは、ホンドに深く一礼をすると「檀園先生…助けて下さい…若い画工が絵を捨てました…」と言います。ホンドは「絵を捨てるだと?…」と聞きます。するとチョンヒャンは「自分の手を石で打ったんです…」と答えます。ホンドは「何?…」と言います。



ホンドは、二人と一緒に急いで妓房へ行きます。そしてユンボクが寝ている部屋に入ります。そして、上布団を引きはがし、ユンボクがけがをしている手を握り、じっと見つめていました。ユンボクは気がつくのですが、そのままの姿勢でじっとしています。

ホンドはユンボクの手を見ながら「完全につぶしたな…」と言って、ユンボクの手を投げ捨てます。ユンボクはじっとしていました。そして「なぜ来たんですか…」と言います。ホンドは「大したもんだ…このバカ者…分からん奴だ…」と言います。ユンボクは「もう図画署も何も要りません…お帰り下さい…」と言います。ホンドは「すぐ起きれ…まず手を治す…起きろ…」と言うと、ユンボクを起こそうとします。ユンボクは蒲団の上に起きて「なぜですか…帰ってくれと言いました…構わないで…」と興奮して大声を上げます。ホンドは「うるさいな…立て…」と言うと、「放せ…放せ…」と言って抵抗するユンボクともみ合いになります。

そこへチョンヒャンが近づきホンドに「昨晩遅くに来られました…医員は妓房には行かないと…」説明します。ホンドはユンボクに「立て…起きろ…」と言うと、無理やり抱きかかえ、妓房から連れ出します。



ホンドは、都に来て以来世話になっているインムンの家に行く途中、渓谷に立ち寄ります。

ホンドは、ユンボクを担いで歩きながら「だらしない奴だ…融通の利かない奴だ…谷の下に腕のいい医員がいる…」と言います。ユンボクは「こんな手をどうせ治しても絵は描けない…」と言います。ホンドは「また勝手なことを…才能には感謝すべきだ…うるさいから黙れ…重い…」と言います。ユンボクは「何に感謝するんですか…図画署では春画と言われ…師匠は手が切られそうになり…たった一人の兄は丹青所行きです…一体、何に感謝するんですか…」と言います。ホンドはユンボクの尻を叩いて「ここで尻を叩かれたいのか…お前の手の為に…お前の兄は、丹青所で朽ち果てる…それでもか…」と言います。ユンボクは「手を無くす方が、気が楽です…降ろしてください…」と言いながら、ホンドに抵抗します。ホンドは「そうか…分かった…」と言うと、川に近づき、ユンボクを投げ入れます…

ユンボクは、どうも泳げないようで、手足をばたつかせます。ホンドはそれに気が付かず、ユンボクを見ながら「分かったか…気持ちいいか…」と言います。ユンボクは段々と溺れて行きます。ホンドはそれを見ながら「馬鹿な奴だ…この間抜けが…」と言いながら近くの石に腰かけます。そして「皆、切ってしまえ…手も切り、足も切れ…お前の兄が可哀そうだ…冠まで懐しおって…いい滝だな…」と言います。そして、ホンドがふとユンボクを見ると、ユンボクが消えていました。ホンドは驚き「おい…」と言います。

ユンボクは、溺れて行く自分を感じながら、けがをした手を見ていました。そして、これで終わりだ…これでいいのだと思っているようでもありました。ユンボクの体が、川底に沈んで行きます…

3話は、ここで終わりです。



それにしても父シン・ハンビョンは、礼曹判書や別提・元老画員の前で、最後に何と言ったのでしょうか…たぶん結果から考えてみると、「犯人はヨンボクです…」と、言ったと思われます。実の我が子を犯人にして、養子と思われるユンボクを助ける理由とは、何なのでしょうか…よほどの理由が隠されているのではないでしょうか…

また、自分が陰日なたになって面倒を見て来たユンボクの身代わりになるヨンボクの気持ちは、いかなる気持だったのでしょうか…ただ、弟の為というだけでなく、それ以上の気持ちがあるような気がします。ヨンボクは、ユンボクを男として見ようと努めていましたが、心の底では女人として見ていたのではないでしょうか…生意気盛りで才能豊かなユンボクが、愛おしくてたまらなかったのではないでしょうか…

ホンドも、まだ幼さの取れないユンボクの才能を認めて、懸命に助けようとするのですが、この父子・兄弟には不思議な臭いがすることに、気がつき始めたようです。それから、王様と王大妃の関係も何か複雑な臭いがします。まだまだ、沢山の秘密が隠されているようです。これからが面白くなりそうです。

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