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2016年8月3日水曜日

勝手に古代史

 ふと日本の古代史に興味がわき、何冊かの本を読んでみた。もちろん普及本なのだが、学生時代には習わなかった事が分かって興味深かった。そして幾つかの疑問もわいて来た。

 日本の古代史と言えば邪馬台国論争。代表的なものは近畿説と九州説なのだが、邪馬台国が何処にあったかを知るためには、魏志倭人伝を読まなければならない。漢文を読めない私には縁遠い物だったのだが、全文を現代語訳されたものが別冊宝島の「邪馬台国と卑弥呼」と言う本に掲載されていた。
 魏志倭人伝には、朝鮮半島の帯方郡から邪馬台国までの行程が詳しく掲載されている。それによると対馬国・壱岐国・松盧国(唐津市)・伊都国(糸島市)・奴国(福岡市)までは現在の所在地が確定しているのだが、それ以降は確定していない。魏志倭人伝どおり行けば、邪馬台国は九州を通り抜けて東シナ海や南シナ海の島国という事になる。これは有り得ない事なので、九州説では魏志倭人伝に書かれている距離が間違っていると主張するのに対して、近畿説では方角が間違っていると主張している。
 現在は近畿説が有力のようだ。確かに魏志倭人伝には、松盧国から東南に五百里で伊都国、伊都国から東南に百里で奴国と書かれているのだが、現代の地図を見てみると福岡市は唐津市の東北にあり方角が間違っている。このくらい誤差の内と言われれば、私には反論できるだけの知識が無い。ただ、魏志倭人伝は三世紀の日本を書いたもの、日本の紀元をどう捉えるのかでも考え方が変わるのではないかと思う。
 今年(平成28年・2016年)は、紀元2676年である。つまり紀元前七世紀に神武天皇が日本を建国したと言われている。実際の年代は、もっと下るにしても、魏志倭人伝の三世紀よりはさかのぼるに違いない。元来、北部九州の遺跡は、縄文晩期から古墳時代までが集積していて、甕棺の様な近畿には無い物が発掘される。この事は、北部九州には、近畿よりも古くから、政権が根付いていた証ではなかろうか。(後漢書によれば、建武中元二年(西暦57年)後漢の光武帝によって倭奴国が冊封され金印を授与されているのが、日本で最も古い歴史的事実だ。)
記紀によると神武天皇は、日向から筑紫、そして近畿へ東征したと書かれている。もともと九州にあった政権が、近畿に移ったとも考えられる。邪馬台国が大和朝廷へとつながるのならば、やはり近畿説が有力の様な気がする。

邪馬台国と言えば女王卑弥呼が有名なのだが、日本の古代史に置いて卑弥呼が誰なのかは解明されていない。私は天照大御神が卑弥呼とばかり思っていたのだが、別冊宝島「日本の古代史」には、次のように書いてある。
卑弥呼と考えられている五人の女性たち
天照大御神
「古事記」「日本書紀」に登場する女神。イザナギの(みそぎ)から生まれた、高天原を統治する太陽神。「邪馬台国九州説」の日本史学者・安本美典が歴代天皇の即位期間から推測し、「卑弥呼の時代は神武東征以降」であり、「日の巫女であった卑弥呼」はアマテラスだと提唱。
倭迹迹(やまととと)日百襲媛(ひももそひめの)(みこと)
第七代孝霊天皇の皇女。「古事記」では、オオクニヌシの国作りを支えたオオモノヌシの妻となった巫女。その墓とされる奈良県桜井市の箸墓の後円部分が直径150メートルであることと、「魏志倭人伝」の「卑弥呼の死後、径百余歩の墓が作られた」という記述が一致するとして、考古学者・笠井新也が比定した。
(やまと)(ひめの)(みこと)
第十一代(すい)(にん)天皇の皇女で、ヤマトタケルの叔母。ヤマトタケルの東西遠征時に草薙剣などを授けた人物。伊勢神宮の創始に関わり、斎王を務めた。「邪馬台国畿内説」のもと、卑弥呼と定される。卑弥呼も倭姫命も神に仕える立場であったことに由来している。
神功皇后
第十四代仲哀(ちゅうあい)天皇の皇后で、第十五代応神天皇の生母。仲哀天皇亡き後、国の実権を69年間握った。「日本書紀」では、天皇以外の人物では唯一、一巻を割いて「神功皇后紀」として綴られている。これは「日本書紀」の編纂者が神功皇后を卑弥呼だと仮説したためとされている。
熊襲の女酋
記紀神話に登場する、九州の反王権勢力「熊襲」の女性首長。江戸時代の国学者・本居宣長が、「ヤマト王権に対抗するべく、熊襲の女酋が勝手に倭王を名乗り、魏に遣いを送った」と提唱。よって、卑弥呼は熊襲の女酋であり、さらにその勢力を制圧したのは神功皇后であるとも主張した(「邪馬台国偽僣(ぎせん)説」)。

卑弥呼は誰だったのか?…八世紀(記紀の書かれた時代)からすでに論争が開始されていたようだ。
30もの服属国を持つ邪馬台国の女王として君臨していた卑弥呼であるが、不思議な事に「古事記」や「日本書紀」など正史と呼ばれる日本の史書にはほとんど記述がない。
わずかに「日本書紀」の神功皇后39年の条の分註として「明帝景初三年六月、倭の女王が大夫の難升(なし)()を遣わし、郡に至り、天子に詣でて朝献することを求め、太子(りゅう)()は役人をつけ使者を都へ送った」など魏志倭人伝からの引用が見られるだけである。神功皇后の条には他に二度倭人伝から引用していることから、「日本書紀」の編纂者は、神功皇后が卑弥呼と考えていた可能性が高い。(別冊宝島日本の古代史より)
神功皇后は、第14代仲哀天皇の皇后で、第15代応神天皇の生母である。朝鮮半島(高句麗・百済・新羅)遠征を成功させた人でもある。よって、神功皇后の活動した年代を推定するには、朝鮮半島における日本の皇室のカウンターパートナーの活動した年代を史書から見つけ出せばいい。
『古事記』では、応神天皇の治世に百済王照古王が馬1つがいと『論語』『千字文』を応神天皇に献上し、阿知吉師(あちきし)と和邇吉師(わにきし)を使者として日本に遣わしたとされている。この照古王のことを『日本書紀』では肖古王としていて、年代や系譜関係からみて近肖古王に比定されているが、古事記の照古王については第5代の肖古王とする説もある。『三国史記』百済本紀によると、それまで百済に文字はなかったが、近肖古王の時代に高興という人物がやってきて漢字を伝えたので、この時より百済に初めて「書き記すということ」が始まったという。つまり照古王を近肖古王とした場合、百済は初めて伝来したばかりの『論語』『千字文』をほぼ即時に日本に献上したことになる。
近肖(きんしょう)古王(こおう)百済13代王で、3469月に先代の(けい)(おう)薨去(こうきょ)し、王位を継いだ。倭国に対しても七支刀(作成は369年と考えられている)を贈り、東晋~百済~倭のラインで高句麗に対抗する外交戦略をとった。在位30年にして37511月に死去した。(ウィキペディアより)
 魏志倭人伝には、景初三年(239年)から正始八年(247年)の間に、倭国から四度の朝貢があったと書かれている。つまり卑弥呼の時代と応神天皇の時代に百年以上の差が有り、生母である神功皇后とでは百年近くの差があるという事である。よって、神功皇后は卑弥呼ではないと証明できるのではなかろうか。
 魏志倭人伝には、もう一人、倭の女王が登場する。卑弥呼が亡くなると男王を立てたのだが、倭が乱れたので、再び女王として、十三歳になったばかりの卑弥呼の宗女壱与を立てると治まったとある。そして266年、倭の女王(壱与)が魏を滅ぼした晋に遣いを送ったという記述が『晋書』にある。
 私の勝手な解釈だが、天照大神は、初代神武天皇の御先祖様だから、時代がさかのぼり過ぎて、卑弥呼では有り得ない。熊襲の女酋が卑弥呼なら、邪馬台国に敵対する狗奴国はどこにあるのだろうか。鹿児島を通り越して海上にでもあると言うのだろうか。また、熊襲に30もの服属国があったとは聞いたことがない。有り得ない。(熊襲は熊本県人吉市周辺・鹿児島県霧島市周辺にあったと言われている。)よって、消去法によると倭迹迹日百襲命と倭姫命が残る事になる。安易な比定とは思うが、年代順から言えば、倭迹迹日百襲媛命が卑弥呼ならば、倭姫命は壱与という事になる。

 ところで、邪馬台国は近畿あるいは九州で、ほぼ確定しているのだが、高天原は何処にあったのだろうか。高天原は神話の世界、空想にすぎないと言われればそれまでだが、簡単に納得していいのだろうか。誰か専門の先生に調べてもらいたいものだ。私の独断と偏見で、誤解を恐れずに、あえて言えば、あんがい朝鮮半島にあったのではと思う…
 天孫降臨の地は、日本人の誰もが日向の高千穂であったと思っている。しかし、宮崎県には、「高千穂の峰」が二つある。一つは、宮崎県北西部の高千穂町にある(くしふる)(たけ)。もう一つは、宮崎県と鹿児島県との県境にある霧島峰で、韓国(からくに)岳を主峰とする霧島火山群の一つ。この二つは、どちらも有力な候補地とされ、未だに決着がついていない。江戸時代の国学者・本居宣長は、どちらも決め難いとして、「高千穂移動説」を唱えている。(東西社 図解古事記・日本書紀より)ここで注目すべきは、南九州の山の名前に、なぜ韓の字がついているのかという事だ。また時代は八世紀と下るが、百済王族禎嘉王・福智王)る神社(神門神社・比木神社)も近くに創建されている。不思議な話だ。
 古事記によると、天孫降臨が行われる前に、高天原への出雲の国譲りが行われている。やはり、高天原が何処にあったのかが気になる。高天原からは、天の鳥船に乗って使者が出雲に来たそうだ。天の鳥船は、空を飛んで来たように書かれているが、実際は、海上交通にたけた部族だったのだろう。そして、出雲の首長・大国主命から六代さかのぼるとスサノオであり、スサノオは天照大御神の弟である。山陰の出雲と天孫降臨の地日向は、同族であることが分かる。この時代の海は、現代の高速道路の役割を果たしていたのではなかろうか。環日本海には、緩やかに結ばれた国、あるいは経済圏があったのではなかろうか。そして、それが倭国だったのではなかろうか。
 私が、こう思うようになったのは、韓流時代劇「淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)」を観てからだ。ヨンゲソムンは、高句麗末期の宰相なのだが、やたらと天孫族と言う言葉を発し、旗には三本足のカラスの紋章が描かれていた。三本足のカラスと言えば八咫(やた)(がらす)。八咫烏と言えば、日本サッカー協会のエンブレムに描かれている黒い鳥。そして、神武東征で道案内をしたのが八咫烏だ。八咫烏は太陽の化身とも言われているそうだ。
 韓流時代劇「朱蒙(ちゅもん)(高句麗初代王)」の最終回では、権力抗争に敗れた第二妃、実子の二人の王子沸流(ふつりゅう)温祚(おんそ)を引き連れて朝鮮半島を南下するところで終わる。百済神話によると、兄の沸流(ふつりゅう)は沿岸部に、弟の温祚(おんそ)漢山の地で(ウィ)()に都をおいた。兄の沸流は、湿気と塩害で体を崩し、弟の温祚に吸収され、温祚が百済の初代王となった。高句麗と百済は同族で、天孫族という事になる。沸流と温祚の兄弟は、何となく海幸彦と山幸彦に似ているようで、偶然が重なり過ぎている様な気もする
 『三国史記』新羅本紀によれば、新羅の初代王(朴(かく)(きょ)(せい))は倭人だったと記されている。それ以後も新羅の王統に倭人の血が混じっているようだ。逆に、朴赫居世の次男アメノヒボコは、倭国へ行き居住した。日本書紀では、アメノヒボコの子孫のうちの一人が、神功皇后だったと書かれている。
 済州島の三姓神話によると、最初に「高、梁、夫」の3つの姓を持った3人の神人がいて、東国の碧浪国(倭国とも言われている)から3人のが遣って来て、それぞれと結婚した。約900年後に皆の人望を集めた高氏を王として、初めて「タクラ」という王国が成立したとされている。また、朝鮮半島南部では、近年、前方後円墳などの日本の影響を受けた遺跡が発掘されているようだが、ここまで偶然が重なると、やはり、古代の環日本海には、ゆるやかな経済圏があったのではなかろうか。そしてそれが、倭国だったのではなかろうか。高天原が朝鮮半島にあったとしても突拍子な事ではないと思う。
 こんなことを書くと、韓流ドラマなんかを引き合いに出して、何を言い出すのだと、日韓両国の右派の方々にお叱りを受けるかも知れないが、歴史に政治を持ち込むべきではないと思う。私が学生のころ任那の日本府は、高校入試に必ず出る問題でした。それがいつしか、教科書から消え、伽耶となり、今また復活しているようです。韓国がうるさくて、せからしいという理由で消え、韓国に苛立ちを覚え、遠慮すべきではないという理由で復活したとしたら、歴史は学問ではないという事になります。政治を排除して、日韓の歴史学者が、膝を突き合わせて話し合うべきだと思うのですが…





2014年9月22日月曜日

韓流ドラマ「ハッピーエンディング」の最終回を見て思うこと

この作品、韓流ドラマ特有の恨み辛みに足の引っ張り合いが無く、実に好い作品でした。原作が秋元康の「象の背中」だから、日本人にも理解しやすいのかもしれません。私は原作を読んでいないので分かりませんが、ドラマとは少し内容が違い、愛人問題など男の身勝手という批判もあるようです。さすがに儒教社会の韓国では、直に取り上げる事が出来なかったのかもしれません。しかし、それが返って私の胸を打ったのかもしれません。病で死に直面した主人公のキム・ドッスが、昭和の親父に見えて仕方ありませんでした。そして、基本的に日韓の心情には、相通じる物があるように思いました。
最近の日韓関係は、韓流ブームが去って、嫌韓が蔓延(はびこ)、悪化の一途をたどっています。近親増悪と言うべきか、イギリスとアイルランド、最近ではイングランドとスコットランドにも何処か似ているような気がします。朴槿惠大統領は、恨みを忘れるのに千年かかると言われましたが、ご存じのように元寇(高麗も参戦していた)からは千年たっていません。お互い様と言うところでしょうか。また、中国は朝鮮戦争に参戦して、多くの韓国人を殺傷していますが、わずか数十年で、韓中の現在の親密ぶりは何なのでしょうか。韓国は、中国に侵略される事に慣れ過ぎているような気がします。このような結果、日頃の鬱憤(うっぷん)も重なり日本のネットでは、韓流排除の声が高まっています。しかし私は、その考えには反対です。
第二次世界大戦中、我国では、敵性語などと言って、アメリカの文化などを排除しましたが、アメリカでは日本の文化を徹底的に研究しました。結果は歴史が証明しています。マンネリ化した韓流ドラマを見て、日本人にはドギツクて、ウンザリします。しかし、このハッピーエンディングのような好い作品もあります。これからは、韓流も質が試される時代なのかもしれません。
前置きは、この位にしておいて、物語のあらすじを書いておきます。


主人公のキム・ドッスは、テレビの報道局の次長で、出世に興味の無いバリバリの報道記者。家庭を顧みない仕事の鬼で、部下達からは、恐怖心を持たれながらも慕われていました。そんなキム・ドッスが、ある日突然、ガンで余命半年と宣告されたのです。
ドッスは、親友で医師のジェホから、すぐに入院するようにと言われるのですが、治療しても完治する見込みが少ないと知り、家族にお金を残す為に、通院しながらの治療を選択します。妻のヤン・ソナには、気持ちの整理が出来るまでは知らせないで欲しいと頼みます。最初の抗がん剤治療の時、付き添いに呼んだのは、初恋の人で今では親友のホン・エランでした。(エランは未亡人で、二人の女の子がいた。)
エランは、「奥さんに知らせるべきだ…」と言うのですが、ドッスは「妻の悲しんで、取り乱す姿を見たくない…」と言い拒否します。
抗がん剤治療の後、エランが車でドッスを自宅に送り、門の前でハグをしているところをソナが偶然に見ます。ソナは、ドッスが浮気をしていると思い込み、悩んでエランに会うのですが、エランはソナに、ドッスが末期がんだということを告げます。ソナは御礼を言って、以後の付き添いを断わるのですが、女の感は、複雑な思いを巡らせます。エランはこれ以後、ドッスに会いたい気持ちを抑えて、会うのをひかえます。
エランの長女ナヨンは、学生時代に偶然ドッスの取材現場を見て憧れ、同じテレビ局に記者として入社していました。ナヨンはエランに、親子であることを上司のドッスには秘密にして欲しいとたのんでいました。ドッスはナヨンを有望な若手記者として鍛えるのですが、ナヨンはそれをいじめと受け取り、ドッスを嫌って、いつも喧嘩をしているような口調で話していました。
ドッスは通院しながら、あらゆる治療を受けるのですが、効果が表れません。そしてジェホから、これ以上の治療は無意味だと宣告されます。ドッスが余命を聞くと、ジェホは四カ月と答えました。以後、痛みを緩和するだけの治療を受けます。
ドッスは自分の死後、ソナや家族の生活が成り立つようにブックカフェの店舗を探します。そして退職金の前払いを受け、ソナを説得して契約をします。
そんな事情を知らない二女のウナは、独立すると言って家を出ます。死ぬまで家族と一緒に過ごしたいと思っていたドッスは、長女クマの夫テビョンに病状を打ち明け、ウナを連れ戻させます。すると今度は、名門ソウル大学に合格間違いなしと言われていた、末っ子で長男のドンハが、歌手になると言って家出をします。ドッスは知り合いの刑事にドンハの行方を探してもらい、自分の病状を話します。そして、歌手になっても好いから、大学には行きなさいと諭します。長女の夫テビョンは、司法試験七浪中でドッスに養われていましたが、合格を諦めて職を探し始めます。ドッスは、病状の悪化を自覚して、テレビ局を退職します。その時、自分の取材ノートをナヨンに託します。
ある日のこと、ドッスはエランに呼び出され、「ヨナンは、あなたの娘です。」と打ち明けられます。ドッスは青天の霹靂でした。「何で今頃…」と…エランは「打ち明けるつもりはなかったのだが、ナヨンが偶然に知ってしまった…母が事件を起こし、夜逃げをした後に妊娠していることに気付いたの…ほとぼりが冷めて故郷に戻ると、あなたは大学入学の為にソウルに行っていた…あなたの居場所を見つけた時には、すでにあなたはソナさんと結婚していた…」と言います。
ナヨンは、引き継いだ取材ノートを口実に、頻繁にドスの見舞いにやって来ます。お互い父と娘と分かっていても決して口には出さず、少しぎこちなく感じられても口調は変わりませんでした。ドッスと別れた後のナヨンの涙が、父への愛を物語っていました。また、以前からメールでプロポーズされていたオーストラリアの獣医イ・ソンフンをドッスに紹介して、品定めをしてもらいます。ドッスのOKサインが出ると、トントン拍子で結婚することになります。そんな様子を近くで見ていたソナが、ナヨンはドッスの娘ではないかと気付くのですが、決して口には出しませんでした。
病状が悪化して体力の低下を感じたドッスは、最後の家族旅行をして「愛し合おう」という家訓を残し、自らの決断でホスピスに入院します。ドッスはソナに、「付き添いに付くよりは、ブックカフェで働いてくれ…その方が安心するから…」と言ってソナを店に出させます。家族は、交代で付き添う様に成ります。ナヨンはエランに「私の事で、お見舞いに行けなくなってごめんね…」と謝りますが、エランは「会えなくても、お互い気持は分かり合っているから…」と言います。
ドッスは痛み止めのモルヒネのせいで、昼間も朦朧(もうろう)とした生活を送っていました。ドッスはジェホに「こんな生活は嫌だ、モルヒネを減らしてくれ…」と言います。しかし、モルヒネを減らすと、ドッスに容赦のない痛みが襲って来ました。ドッスは痛みに耐えながらジェホに「あとどれくらい生きられる…」と聞くと、ジェホは「今月の終わりぐらいだろう…」と答えました
ナヨンは、病室に来て「プロポーズされました…式は、来年の春です…」と言います。ドッスは「すまない…オレは行けない…」と言います。ナヨンは「次長は、初対面で同席してくれました…充分です……実は彼もここに来ているんです…次長に挨拶したいけど、迷惑なら帰ると言っています…」と言います。ドッスは、かすれた声で「いいや…中に呼んでくれ…早く…早く…」と言います。ナヨンは、嬉しそうな表情で「はい」と言うと、ソンフンを呼びに行きます。ドッスはソンフンの手を握り「彼女を…大事にしろ…それと…資産運用は絶対に…彼女に任せるな…」と言います。ドッスは幸せそうに微笑みます。その様子を見ていたナヨンも、涙ぐみながら微笑みます。
ドッスの死が近いことを知ったエランは、報道局長を呼び出して、退職金の割増金と言って、お金を渡してくれ…と頼みます。最初、報道局長は断るのですが、エランは、ドゥスが少しでも安心して最期を迎えられるようにするため、ドンハの大学の4年間の学費に相当するお金ですから…と言って、報道局長を納得させます。
ソナが付き添っているとドッスは、自分と同じ病に苦しむ人たちのために、少しでも役立ちたいと思い、自分が死んだ後、がんの治療研究の為に献体するように頼みます。
テビョンは、仕事を終えて、ドッスの見舞いに来ていました。ドッスがテビョンに「キツイか…」と聞くと、テビョンは「はい…」と答えます。しかし、その表情はさえませんでした。ドッスはテビョンに「だがな…みんなそうやって生きている……テビョン…司法試験…諦めきれないだろう……テビョン…勉強を続けろ…」と言うと、テビョンの顔の前で右手の親指を立てて「全力で走れ…お前を信じるぞ…」と言います。
ソナがドッスを日光浴させていると、ドッスの指から指輪が外れます。ソナが「指が細くなったのね…家で大事にしまっておくわ…」と言うと、ドッスは「いいや…糸を巻いてくれ…」と言います。ソナが指輪に糸を巻きながら「あなた…私と一緒に暮らしてて…指輪を外したいと思った事は?…」と聞きます。ドッスは「ない」と答えます。ソナは微笑みながら「ウソでしょう…」と言います。ドッスは「いいや…ないよ……ソナ…すまない…」と言います。ソナは「私もごめんね…大事なあなたの事を…もっと愛することが出来なくて…」と言います。するとドッスも「俺も……本当に…愛してた…」と言います。ソナは、はにかむように涙を拭きながら「出来た…はめてあげる…」と言うと、指輪をドッスの指に戻しました。ソナはドッスの顔に近付くようにして「永遠に離れないわ…」と言うと、涙があふれ出し我慢できなくなって、ドッスの胸に顔をうずめます。
いよいよドッスの死が近づいてきた夜。付き添いが誰もいない頃を見計らって、エランはドッスの部屋に来ました。エランがドッスに「怖い…」と聞くと、ドッスは首を小さく横に振りました。エランは「あなたは私の大事な幼馴染で、同級生で、初恋の人で…そして今まで、私の苦しみでありつづけた…これからは…」と言うと、ドッスが「思い出…」と言います。エランは、頷きながら「そうよ…」と答えました。そして「思い出になる…友達のドッス……もう、ここには…来ない…」と言うと、涙を流しながらドッスの手を握ります。エランは静かに部屋を出ると溜息をつき、想いをかみしめるようにその場を去って行きました。
ドッスには、我慢の出来ないほどの痛みが襲って来ます。ジェホと若い医者と看護士が駆けつけて来ます。ドッスは「痛み止めを頼む…モルヒネを打ってくれ…痛いんだ…」と懸命に訴えます。若い医者と看護士は部屋から飛び出して行きます。ジェホは、痛みを訴えるドッスを抱くようにして「大丈夫か…少しだけ我慢するんだ…耐えろ…」と言います。ドッスは、苦しみながら絞り出すように「ジェホ…オレはもっと生きたい…」と言います。
翌日、家族それぞれに危篤の知らせが伝わります。それぞれが制服のまま、普段着のままでドッスの病室に駆けつけます。
家族全員がドッスを見守るなか、ドッスは「故郷へ帰りたい…父さんに会いたい…」と…父親を悲しませたくないと言う思いから、会わないようにしていたのですが、最後の最後になって、父のもとへ帰りたいと訴えたのです。ソナは病室から出るとジェホに「サムチョク(故郷)に連れて行ってあげたいんです…」と言います。ジェホは「今の状態では難しい…」と答えるのですが、ソナは「そこをお願いします…最後の願いになるかも…ジェホさん…」と頼み込みます。ジェホは、仕方ないと言う表情で「では、救急車を手配して、僕も同行します…」と言います。
ジェホはエランに「ドッスが、そろそろだと思う…」と電話します。エランは折り返しナヨンに電話します。ナヨンの顔が見る見るうちに崩れて行きます。そして「ええ…分かった…」と言うと、我慢しきれなくなり、手で顔を覆って泣き崩れます。ドッスは救急車に乗せられて故郷へ戻ります。子供達はテビョンの運転する車で救急車の後からついて行きます。
ドッスが自宅の前に付くと待っていた父親は、動揺を抑えながらドッスに近付いて来ます。そしてドッスの手を握ると「良く帰ってきたな…疲れただろう…」と言うと、両手でドッスの顔をさするようにして頬ずりをします。家族は二人の様子を見つめながら、ただ涙を流すだけでした。ドッスの父親は、車いすの後ろに回り、握り手を持ち「行こう…」と言うと、車いすを押し始めます。
ドッスの乗った車いすは、家には向かわずにUターンをして、海の方へと向かいます。漁船が港を出て行く、幼いころに見慣れた風景が…家族は二人を遠巻きにしてじっと見つめていました。岬の灯台に付くと、父親は車いすを押すのを止めて、ドッスの目の前に腰を屈めます。ドッスは父親に「幸せだよ…オレは幸せ者だ…愛してる父さん…」と言います。父親は、頷きながらじっと聞いているだけでした。父親がドッスの車いすを家族のいる方向に向けると、ドッスの脳裏には、家族との思い出が走馬灯のように甦って来ました。そして、次第に目が閉じて行き、息が途絶えました。父親はドッスを抱きしめながら、噛みしめるようにして泣いていました。そんな様子を海鳥が空から眺めていました。
一年後、ブックカフェは軌道に乗り、ソナは元気に働いていました。テビョンは司法試験に受かり、修習生として研修に追われていました。長女クマはブックカフェで働きながら詩の勉強をして詩集を出版する程になり、その娘ジミンは、元気に小学校に通っていました。長男ドンハは、ソウル大学に合格して、大学に通いながら歌手デビューを果たしました。二女ウナは、ドッスの治療に当たっていた若い医者と偶然に出会い交際をはじめます。
エランは、自分の経営するレストランで明るく働いていました。ナヨンは結婚して、お腹が大きくなっていました。ナヨンは夫と二人で頻繁にエランのもとに顔を見せに来ていました。幸せそのものの家族でした。
ソナは一日の終わりに日記を自室で書いていました。「まだ、夫のいない世界に適応できていないようだ…クマの詩集初出版も…テビョンさんの司法試験合格も…ウナの昇進も…ドンハのデビューも夫への申し訳なさが伴った…私は、こんなにも幸せだけど、彼はどうだろうか…忘れるにはその人と過ごした倍の時間が要る…私は永遠に夫を忘れられそうにない……あなた…今日はとても疲れた一日だったの…もう寝るわ…おやすみなさい…」
ソナはエランに会いに来ていました。「先日、ジェホが店に来たときに…ナヨンさんが妊娠したと聞きました…知らんぷりが出来なくて…産着とベビー用品を少しだけ…」と言うと、持って来た紙袋を差し出しました。エランは笑顔で「ありがとうございます。娘に渡しますね…」と答えました。ソナは「もっと早く聞いていたら、早めに伺えたのに…母子ともに健康で?…」と尋ねます。エランは笑顔で「おかげさまで…」と答えました。しかし、何処となくぎこちなさも残っていました。エランが「カフェは順調ですか?」と尋ねると、ソナは笑顔で「ええ、楽しめてます…一日がとても早くて…」と答えました。そして「夫が亡くなった後も、あなたと話せるなんて…ナヨンさんのおかげですね…」と言うと、エランは「来てくれてありがとう…」と答えました。ソナが「これからも時々、こうして会いたいですね…」と言うと、エランは「喜んで…」と言います。ソナは「夫と出会うより先に、あなたと出会っていたら友達になっていたと思う…」と言います。エランは「今日からなれるは…一年なんて本当に早い…明日はご家族でサンチョク(故郷)に?…」と尋ねます。ソナが「ええ」と答えるとエランは「御気を付けて…」と言いました。実に不思議な関係が漂っていました…
その夜、ナヨンの実家では、ソナからの贈り物が広げられていました。ナヨンは「次長の奥さんが私に?…有り難いわ…見て、すごく可愛い…お礼の電話しなきゃ…お母さん…明日は、次長の命日でしょう…私達も教会で祈ろう…」と言いました。エランは、笑顔で頷きます。ナヨンは「次長に、とっても感謝しているの…たくさんの贈り物をくれた…記者になったのも…好い記者を目指したのも…伴侶を見つけたのも…次長との出会いがなければ違っていたわ…」と言います。するとエランが「そうかな…」と言います。ナヨンは「今がとても幸せよ…次長に感謝してるよ…」と答えます。エランは「あなたのような…可愛い娘に育ててね…」と言います。ナヨンは笑顔で「可愛いおばあちゃんになってね…」と言います。
ドッスの父親は、自分で獲ってきた魚を天日干しにしていました。そこへソナ一家が遣って来ました。祭祀の後、ソナはドッスの父親と灯台のある岬を散歩していました。ドッスの父親が「大丈夫だ…」と言うと、ソナは「ちゃんと食べて下さい…」と声を掛けます。二人は、子供や孫達が仲良く魚釣りをしている姿を見つめていました。ソナが「体の調子はどうですか…」と尋ねると、ドッスの父親は「俺は大丈夫だ…」と答えました。ソナは「少しでも具合が悪い時は、直ぐに私か義妹に…」と言います。ドッスの父親は笑顔で「ああ…」と答えました。
その後、家族は海辺で楽しそうに過ごしました。ドッスの残した家訓「愛し合おう」のように…

エランの秘めた愛情とソナの妻としての愛情のはざまで、ドッスの揺れ動く心…冷たい女の火花が飛び交い、突然現れた娘に、ただただ戸惑うドッス…
お互い父と娘と知りながら、決して名のり合わないドッスとナヨン…私は名のり合っても良さそうなものと思ったのですが、これは日本人的考え方なのかもしれません。韓国では、伝統的に嫡子と庶子の差別があるようですし、ナヨンの場合、養父の籍に入っているのだから、実の娘として育ててくれた、亡くなった養父への思いもあったのでしょう…ドッスの死後、ソナがナヨンに産着を送った事で救われたような気がしました。いずれ姉妹弟の名乗りを上げる日も来るのではないかと…せめて、ドッスの祭祀には参列できるようになればいいなと…
弟が早世し、自分までもが父よりも先に逝くかと思うと、父に病気の事を告げられなかったドッス…偶然に曾孫から息子の病を知らされて、病院に駆けつけるのですが、病室のドアを開ける事が出来ずに、帰って行く老いた父親…その父の後ろ姿を見て複雑な思いに駆られるドッス…夫として父として、妻や子の行く末を案じ、息子として年老いた父を残して逝かねばならぬドッスの心情がよく描かれていたような気がします。

このドラマ、あまり派手さはありませんでしたが、日本人にも良く理解できるドラマでした。

2014年4月11日金曜日

日韓関係悪化で韓流ブームは終焉か?

 私が韓流ドラマを見始めたのは「宮廷女官チャングムの誓い(大長今)」からでした。それまでは、「冬のソナタ」で韓流ブームが起きていても、何で今さら韓国のドラマを見なければいけないのとうそぶいていました。ではなぜ私が韓流ドラマを見始めたのか…それは偶然の出来事でした。
 「宮廷女官チャングムの誓い」が、NHKの地上波で深夜に放送されていた頃、私は母の介護の真っ最中で、朝から晩まで忙しい毎日でした。もともとテレビ時代の申し子のような私ですから、ドラマやニュース、歌番組などテレビをつけ流し、時計代わりにしていたのですが、母を寝かせつけてホッと一息ついた時、テレビから「宮廷女官チャングムの誓い」が流れて来たのです。最初は、ふざけるなとばかりに、チャンネルを変えたのですが、何分にも深夜の為に、私の好みの番組は有りませんでした。仕方なくチャンネルをNHKに戻して「宮廷女官チャングムの誓い」を見始めました。すると次第にドラマに引き込まれ、韓国の衣食住や考え方に懐かしさや物珍しさを感じ、以後も毎週見続けて、いつの間にか韓流ファンになってしまったのです。きっと日本人の心の底流に儒教の考え方が潜在しているからだろうと思いました。それ以後「チェオクの剣(茶母)」「春のワルツ」…と見つづけることになり、母の介護を卒業してからは、テレビだけでは飽き足らず、パソコンを買って無料動画サイトの「Gyao!」で、見るようになりました。今では立派な韓流ドラマウォッチャーになってしまいました。
 韓流ドラマは面白い、映像も音楽も好い…だけど現代の日本人にはちょっと灰汁が強いかなとも思います。いつも奇跡のような偶然が付きまとい、視聴者は、そのあり得ない夢のような設定を前提にして、視聴するから面白く感じるのかも知れません。また、恨み辛み妬みのオンパレードで、これでもかこれでもかと必要に迫って来る。一・二作品を見るのには良いが、何作品も見つづけると、そのドギツサが、日本人にはうんざり感を与えて嫌になって来る。「女人天下」などはその典型的な作品の様な気がします。イ・ビョンフン監督の作品(宮廷女官チャングムの誓い、イサン、トンイ、馬医…)が日本で受けるのは、韓流ドラマにしては、そのドギツサが少ないからかも知れません。
 日本にもテレビの草創期時代には、韓流ドラマに良く似たドラマが視聴率を稼いでいました。船場・堂島・あかんたれ・細うで繁盛記・どてらい男…花登筐の世界です。しかし、高度成長の時代に日本の文化はアメリカナイズされ、これらのドギツイ作品は、いつの間にか消えて行きました。だからと言って、底辺から這い上がる立身出世の物語が否定されたわけではありません。NHKの連続テレビ小説「おしん」などは大ブームを惹き起し、つい最近のTBSの「半沢直樹」では、現在では死語ともなっていた「土下座」が流行語となりました。日本人の底流に流れる血は変わっていないことを証明しています。ただし、日本人のアイデンティティは、西欧文化と混ざり合って進化しているのも事実です。
韓流ドラマを見て、財閥の家族の「恋愛と結婚は違う…身分違いの結婚はさせられない…」などの台詞を聞くと反吐が出て来ます。まるで朝鮮王朝の両班が奴婢に言う言葉、あるいは江戸時代の武士が町人に言う言葉のようにも聞こえます。財力や地位が、人を分け隔てするのか…時代錯誤も甚だしい…と言いたくなります。もし、現在の日本の上流階級の人たちが、こんな発言をしたならば、世間から袋叩きに会うことは間違いありません。韓流ドラマを見ていると、似ているようで両国の違いが良く分かります。
 ところで、インターネットで面白い記事を見つけました。Record China(日本最大の中国情報サイト)に掲載された記事です。(日韓関係を中国の報道機関が報道することも面白いことですが…)

日韓関係悪化で韓流ブームは終わり迎える?日本メディア
配信日時:20131127 1214
20131125日、日本メディアの報道によると、日本の「韓流ブーム」は、NHKが放送した韓国ドラマ「冬のソナタ」の大ヒットがきっかけとなったが、その同じNHKが先ごろ、「韓流ブームは終わったのか?」と題した番組を放送し、話題となっている。環球時報(電子版)が伝えた。 
話題を呼んだのは、NHKのニュース解説番組「時事公論」。番組のテーマは「韓流ブームを振り返り、日韓関係を予測する」というもので、韓流ブームにより日韓両国の相互理解、とりわけ日本人の韓国人理解に大きくつながったと指摘。韓国を訪れる日本人が10年で2倍に増えたことや、NHK放送文化研究所の2010年の調査で「韓国が好き」と答えた日本人が62%に達したことなどを紹介した。 
番組では続けて、韓流ブームの勢いに陰りがみられるとして、日本のシンクタンク・言論NPO20135月に発表した「第1回日韓共同世論調査」の結果を紹介。同調査によると、韓国に対する印象を「良い」と答えた日本人は3割にとどまった。番組の解説委員は、「在日特権を許さない市民の会」の活動が始まってから日本に「嫌韓」現象が起きつつあるとした上で、「日韓両国首脳が新しい政権になってから正式な形で会っていないのは異常な事態だ。両国民が協力し合う良いパートナーになるには、国民一人ひとりが行動を起こさなければならない」と締めくくった。(翻訳・編集/NY

残念ながら、私は「持論公論」を視聴していなかったので、番組の内容は分かりませんが、おそらくこの記事に書かれている通りだと思います。日本人は、韓流ブームによって韓国が好きになっていた。これで今までのいざこざを払拭して、仲良くなれると思っていたはずです。しかし今では、真逆の嫌韓ブームの真っただ中です。その最大の原因は何か?私は、当時の李明博韓国大統領の突然の竹島(独島)上陸と天皇陛下に対する謝罪要求をしたことにあると思います。韓国の政治家は、内政に問題を抱えている時に、日本を攻めれば矛先をかわせると思っているようですが、攻める相手を間違ったのです。よりによって日本で一番のリベラリストといわれる天皇陛下を攻めるとは…この事で日本国民の嫌韓に対する(たが)が外れたのだと思います。以前なら嵐が通り過ぎるのを待っていた日本政府が、堪忍袋の緒が切れたとばかりに、日韓通貨スワップ協定の期限延長を取り止めました。このような反撃は、私の記憶では初めての事でした。こうなるとマンネリも重なって、韓流ブームが先細りになるのは仕方のないことだと思います。NHKですら地上波の枠が五月で打ち切りが決まったそうです。
私が韓国に望むことは、G20入りもした事だから、もう少し大人になって欲しいということです。韓国にも言い分はあるでしょうが、日本にも言い分はあります。だからと言って泥仕合をしても仕方のないことだと思います。一つが駄目なら全てが駄目になるでは、未来への展望が開けないと思うのですが…

先日、オーストラリアが国際司法裁判所に提訴していた調査捕鯨の問題で、日本はオーストラリアに敗れました。クジラを食べるという食文化の危機が訪れています。しかし、その数日後、日本はオーストラリアとEPA経済連携協定を結びました。韓国ともこんな関係に成れたならと思うのですが…その為にも韓流ドラマやKポップの果たす役割は大きいと思います。ブームとは何時か消え去るもの、マンネリ化したものではなく、本物の韓流ドラマやKポップを視聴したいと思っています。

2013年10月30日水曜日

韓流ドラマ「トンイ」の原作本を読んで思うこと

韓流ドラマ「トンイ」の原作本を読んで思うこと

 韓流ドラマ「トンイ」を見るのは、BS放送・インターネットの動画サイト・現在放映中の地上波放送を含めて三回目なのだが、何回見ても面白い。しかし、原作本を読み始めて最初に感じた事は、シナリオを精査しただけではないかと思った。ドラマのカット割りと全く同じような気がした。ドラマの場合、演技やバックミュージックが伴っているので理解しやすいが、文字だけでは物語がポンポン飛んで理解しにくいと思った。私の場合、ドラマを見ているので、文字を読めば情景が目に浮かんでくるのだが、ドラマを見ていない人は、何が何だか分からないのではないかと思った。上下二巻各1600円+税、損した…高過ぎると思った。しかし、読み進むに従って、少しずつドラマとは違う部分が出て来て、シナリオをただ精査しただけではないのだと思い、面白さを感じ始めた。
 チ・ジニ演じる王様(粛宗・スクチョン)は、ドラマでは少し軟弱で頼りない部分があるのだが、原作本では男臭さが感じられ、王としての強さが描かれているような気がした。トンイの兄の友人で、トンイが兄の様に慕っているチャ・チョンスは、ドラマではオジャギン(死体検視人)から武官となり、宮廷でトンイを守り出世していくのだが、原作本ではトンイの父の後を継いだコムゲの頭として描かれている。オジャギンから武官に成るのだが軍卒止まりで、トンイがコムゲの頭の娘だとバレルと直ぐに宮廷を去り宮廷外からトンイを守り続ける。武将のソ・ヨンギは、ドラマでは王から信頼されている武将で、終始トンイを見守り続けるのだが、原作本ではトンイの秘密を知ると、トンイを守る為に王様に嘘をついて辞職する。これに対して流人の両班シム・ウンテクは、ドラマよりも原作本の方がより重要人物として描かれている。トンイと共に宮廷に返り咲くと、トンイと西人や王妃との調整役など政治的にトンイを守り続け、トンイの死後もチャ・チョンスと力を合わせながらトンイの子(ヨニングン)を守り続ける。宮廷でトンイに仕える宮女は、ドラマでは、ボン・マルグム(尚宮)とエジョン(宮女)が監察府から移動して仕え、トンイを指導していたチョン尚宮や親友のチョンイムは、あえて監察府に残るように描かれているのだが、原作本ではチョンイムとチョン尚宮がトンイに仕える様に描かれている。
 またストーリーもドラマと原作本では少し違いがあった。ドラマでは監察宮女のトンイが、内官が汚職をした証拠書類を宮廷から持ち出して逃げるのだが、原作本では、牢屋の中にオクチョン(世子の母)の「蝶の鍵飾り」を埋め隠して逃げて行く。トンイが逃げる途中で、弓矢で射られるシーンは、原作本では、船で逃げているところを陸から弓矢で射られ、川に落ちて流される様に書かれていた。また、王の側室となったトンイは、ドラマでは王の信頼が厚く、監察府の責任者となり、宮廷で重きをなすのだが、原作本では、民の救済に力を注ぎ、政治とは関わらないように描かれている。中宮を姉か母の様に慕うのだが、宮廷では賎民の出と軽んじられている。最も違う点は、ドラマではトンイが宮廷から追放され、宮廷の外でヨニングンを育てている様に描かれていたが、原作本では、ヨニングンの病気療養で宮廷外に出る事はあっても基本的には宮廷内で生活をしているように書かれていた。全体的にみるとドラマでは、軽いタッチでトンイのサクセスストーリーを前面に出しているような気がするのだが、原作本では、少し重いタッチで描かれているような気がする。身分差別や宮廷の政治力学が前面に出ているような気がした。こんなトンイも有りかなと言う気がした。
 読み終わって、作者はどんな人かなと思いながら説明の欄を見てみると、キム・イヨン,チョン・ジェイン(ノベライズ)と書いてあった。ノベライズって、どういう意味だろうと思って、パソコンで検索してみたら、ヒットした映画やテレビドラマのシナリオを小説化する事 と書いてあった。ああ、やっぱりかと思った。キム・イヨンさんがシナリオを書き、チョン・ジェインさんが小説化したと言う訳なのだろう。原作本は原作本として評価はするが、どうせシナリオを小説化するのなら、もう少しドラマと小説の整合性を取った方がいいと思う。その上で、ドラマを見ていなくても理解できる文章にすべきだと思う。これまで韓流ドラマの原作本は、「風の絵師」「成均館スギャンダル(成均館儒生たちの日々)」と読んだのだが、ドラマと多少の違いは有っても本を読むだけでドラマが解った。成均館スキャンダルでは、「奎章閣閣臣たちの日々」と言う続編があり、ドラマ以後のストーリが完結していて興味が持てた。いずれも小説からドラマ化したものだ。どちらが良いとは言えないが、ノベライズするのならばもう少し読者に配慮した作品に仕上げて欲しいものだ。これでは、上下二巻各1600円+税は高すぎる。

追記






 それにしてもイ・ビョンフンという演出家は凄いと思った。「宮廷女官チャングムの誓い」「イ・サン」「トンイ」「馬医」と立て続けにNHKで放映されているのだから…今までにこの様な事があっただろうか…BS・地上波を含めて視聴率はどのくらいかは知らないが、私はどれも大好きだ。料理・絵画・音楽・医学と朝鮮の宮廷文化や身分制度などが良く理解できる。ほんの数行の史実から物語を作り出す力や自国の文化をドラマで紹介しようと言う意欲が感じられる。あまり史実に縛られていないのが、返って好いのかもしれない。日本の場合は、正史とは別に旧家(上は公家大名から下は庄屋程度まで)などの古文書もあり、史実に逆らう事が出来ないのかもしれない。

2013年2月28日木曜日

仲良くしたくても仲良く出来ない国?韓国


 2013227日読売新聞朝刊に次のような記事が載っていました。

 

韓国の地裁、返還差し止め

対馬の盗難仏像

14世紀に略奪」可能性

【ソウル=門間順平】聯合ニュースによると、大田(テジョン)地裁は26日、昨年10月に長崎県対馬の寺社から盗まれ、韓国で見つかった仏像2体のうちの1体について、返還を当面差し止める内容の仮処分決定を出した。

問題の仏像は、観音寺(対馬市豊玉町)が所蔵していた県指定有形文化財の「観世音菩薩坐像」。韓国中部・瑞山(ソサン)の寺が、像は14世紀に略奪されたものだと主張して、保管している韓国政府に移転禁止を求める仮処分を申請していた。

仏像は当初、国際法に基づいて日本への返還手続きが行われるとみられていたが、同地裁は決定で「観音寺は(菩薩坐像を)正当に取得したことを訴訟で確定させなければならない」などとした。

 

この記事を読んで、「ああ、またか!」と思った。悪意に満ちているとしか思えなかった。対馬という孤島の小さな寺に、七百年前の事をどうやって調べさせるというのだ。七百年前と言えば、鎌倉末期から室町初期にかけての事である。考えられない。

観世音菩薩坐像を自分の物だと言った韓国の寺には、書き付けか何かが残っていたのだろう。しかし、その書き付けだけで、対馬の観世音菩薩坐像と同一物であると言えるのだろうか。写真や図面でも残っていたというのだろうか。裁判所は、同一物か否かという確定を先にすべきではないのか。出来る訳がない!まして、観世音菩薩坐像を正当に取得したことを訴訟で確定させなければ返還しないとは、理不尽極まりない。この主張が通るのであれば、世界中に流出している朝鮮系の仏像は、全て韓国に返却しなければならないと言うに等しい判決である。呆れてものが言えない。

たぶん、倭寇が略奪したものだと解釈しているのだろうが、その証明は出来るのだろうか。また、倭寇で有名なのは、対馬の宗氏ではなく、平戸の松浦氏だったと聞いている。五島列島周辺にも大きな組織があったと聞いている。倭寇と言われる物の中には、日本の統治から外れていた物(外国人集団)もあったと聞いている。何でもかんでも倭寇=日本の略奪だと解釈してほしくない。元来、対馬は朝鮮半島と友好的な土地柄だと聞いている。江戸時代には朝鮮通信使が寄港したり、外交の窓口になったりしている。安土桃山時代には、秀吉と朝鮮の板挟みになって苦労したとも聞いている。古代日本では、朝鮮半島からの文化の輸入の窓口だった土地柄だ。

私は、韓流の時代劇を良く見るのだが、「海神(ヘシン)」と言うドラマでは、主人公と対馬の領主が手を結び、新しい海上交通路を探し出し、朝鮮半島が唐と大和(日本)の中継貿易をして栄えるというストーリだったように記憶している。その中で出て来た海賊は、朝鮮人の商人だった。考えられない話ではない。

最近の韓国の司法当局の判決には、日本に対して差別意識を持っているとしか思えない偏向判決が多くみられる。靖国神社を放火した犯人を政治犯と認め、条約に反して中国に強制送還した件では、中国に返った放火犯は英雄扱いされた。仮に、北朝鮮の工作員が、韓国の重要建築物に放火をして、日本に逃げて来たとしよう。有り得ない事だが、この犯人を日本政府が、政治犯だから北朝鮮に強制送還するとしたら、韓国政府および国民は何と思うだろうか。それは騒々しい事になると思う。

また、韓国の憲法裁判所は「韓国政府が日本軍慰安婦被害者の賠償請求権に関し具体的解決のために努力していないことは違憲」と判決を下した件では、レイムダックになっている当時の李明博大統領は、人気を回復する為に竹島に上陸し、あげくの果てには天皇陛下を侮辱するような発言をした。当時の日本政府が、韓国に対して初めて報復的処置をとると、今度はそんな発言はしていないなどとうそぶいた。仮に、この二つの件については、政治にかかわる問題だとして我慢できても、今回の仏像の件については、全く政治にかかわるものではない。それなのに、この様な判決を下すのは、偏向判決としか言いようがない。今や、韓国の司法当局は、反日運動のオピニオンリーダーと言っても過言ではないと思う。これで、仏像を盗んだ韓国人が英雄扱いされたなら堪らない。信仰の対象物として、大事に御祭しておられた、純朴な対馬の皆さんの悲しまれている姿が目に映る。

本当に韓国は、仲良くしたくても仲良く出来ない国?なのだろうか。最近、ハングルを勉強し始めた私には、複雑な記事だった。

2012年10月24日水曜日

韓流ドラマ「神様お願い」の最終回を見て思う事(日韓の違い)




 好い作品でした。家族の愛情や周辺の思惑が折り重なって、韓流ドラマらしいハラハラドキドキのドラマでした。最後には、成るように収まって、良かった良かったのドラマでした。しかし、冷静になって考えてみると、日本人の私には、ここまで重たく考える必要があるのかと思ってしまいました。これが日韓の文化の違いというものかもしれません。ここまで、四角張って考えなければいけないのかと思った次第です。


 私の思った事を書く前に、この物語の大まかなあらすじを書いておきます。

 ヨンソンは、アメリカで知り合った夫とアメリカで生活していたのですが、夫を急病で亡くし、韓国に帰国していました。家族構成は、息子のワンモ(先妻の子でテレビ局の記者)と娘のスラ(大学生)、そして、姑のマリアの四人で、仲良く暮らしていました。しかし、ヨンソンの過去には、誰にも言えない秘密がありました。

 ヨンソンは学生時代に、裕福な家庭で育ったホンパと相思相愛の仲だったのですが、ホンパの母ランシルに反対されて、ホンパと引き裂かれていました。しかし、その時すでに妊娠していたのです。その後、実家が火事に遭い、両親が亡くなり、精神に異常をきたして、自分が出産したかどうかも分からない状態でした。そんなヨンソンには、子育ては無理だと判断した教会の牧師が、生まれてきた娘を養子に出し、ヨンソンの将来の事を考えて、ヨンソンをアメリカで生活させていたのです。

 ヨンソンの結婚生活は幸せなものでしたが、次第に娘を出産した事を思い出し、まだ見ぬ娘を思い浮べながら、いつかは娘を探し出そうと決意していました。そして、夫が亡くなって自由な時間が持てるようになったヨンソンは、興信所に頼んで娘を探し出す事ができました。娘の名はジャギョンといい、メイクアーティストをしていました。ジャギョンが、幼い頃から養母のベドゥクにいじめ抜かれ、苦労をしていることを知ると居ても立っても居られずに、ジャギョンの働いている店に客として行きます。しかしヨンソンは、ジャギョンを幸せにする為に、母であると名乗りを上げませんでした。ヨンソンとジャギョンの関係は、客とメイクアーティストとの関係から、年の離れた友人関係へと進展して行きました。

 そんなおり、血は繋がっていないけど、幼い頃から手塩にかけて育て上げた息子のワンモが、テレビ局で朝のニュースショーのメインキャスターに抜擢される事になりました。ヨンソンは、ワンモにジャギョンを紹介して、メイクの担当に成ってもらう事にしました。こうして、ジャギョンとワンモは付き合う事になりました。二人は次第に魅かれあって行きます。ヨンソンは、そんな二人を見て、自分がジャギョンの母であると名乗りさえしなければ、ワンモがジャギョンを幸せにしてくれると思い始めます。

 しかし、ジャギョンは自分の生い立ちにコンプレックスを持っていました。韓国の身分社会では、自分のような人間が良家の男性とは結婚できないと思い込んでいました。その上、考えられないような養母の嫌がらせや集りにあい、精神的にズタズタになってしまいます。その時、ヨンソンは二人を暖かく見守って支え、二人を結婚へ導きました。


 そんなおり、ソウルの街中でランシルがヨンソンを見かけました。ランシルはホンパの嫁と仲が悪く、不満を持っていました。ホンパと嫁の間も一人息子が亡くなり、冷え切っていました。ランシルはホンパにヨンソンを見たと告げます。ホンパもヨンソンへの想いが募り始めます。

 ある日、ホンパは、アメリカから一時帰国している学生時代の親友と食事をしました。そこで、親友が思わぬ発言をしました。ヨンソンが妊娠していたと…たまたま病院で出産の為に入院している姿を見たと…ホンパは、時期を考えてみるとヨンソンの産んだ子は自分の子どもに違いないと確信しました。それからホンパは、血眼になってヨンソンを探し始めます。ヨンソンが入院していた病院の出産記録から住民番号を割り出したり、さまざまな手を使って探しました。しかし、なかなか見つかりませんでした。ヨンソンは、アメリカ国籍を取っていたのです。夫が亡くなり、韓国に帰って来て、韓国籍を取る手続きをしていなかったのです。

 そんなおり、ホンパは、デパートのエスカレータでヨンソンとすれ違います。ヨンソンの隣には、ヨンソンの若い頃にそっくりのジャギョンがいました。ホンパはジャギョンを見て、自分の娘であることを確信しました。しかし、上りと下りですれ違ったホンパは、ヨンソン達を見失ってしまいました。


 ここで、幾つかの偶然が重なり合います。ジャギョンが自分の生い立ちにコンプレックスを持って、ワンモとの関係がギクシャクしていた頃、ジャギョンはワンモのメイクの担当を降りて、突然姿を消しました。それは完璧なものでした。店を辞め、家を出て、携帯を変えて、誰も行く先を知りませんでした。そして、裕福な家庭の奥様のファッションやメイク、インテリアなどのトータルアドバイザーとして働いていました。その奥様の御主人がホンパでした。ジャギョンは、ホンパ夫人に、とても気に入られていました。ホンパの家にも出入りしていたのですが、ホンパと顔を合わせる機会は偶然にもありませんでした。ただ、電話で話を交わす機会は何回かありました。ホンパは妻からジャギョンの事を好印象で伝えられていました。そして、ニュースキャスター(ワンモ)と近く結婚する事も…

 また、ホンパの母ランシルとヨンソンの姑マリアは、たまたまペットショップで知り合い、茶飲み友達に成っていました。ランシルは、マリアに嫁の愚痴やホンパの昔の恋人(ヨンソン)が出産していた事などを相談していました。後継がいないと思っていたのが、この世の何処かに自分の孫が生きていると…そんなおり、ランシルは、マリアの孫(ワンモ)が結婚することを知ります。ランシルはワンモの結婚式の御祝いに、式場へ駆けつけるのですが、そこでヨンソンがワンモの結婚式の来賓達に挨拶している姿を見ました。ランシルは、あまりの衝撃で気が動転して倒れてしまいます。そして病院へ担ぎ込まれてしまいました。ランシルは、病院で意識を取り戻すと、直ぐに式場へ駆けつけるのですが、すでに結婚式は終わっていました。

 そして、またまた奇跡のような出来事が起きます。ホンパの妻が、学生時代の男友達とドライブの最中に交通事故に合い死んでしまいます。周辺は、不倫のはての死と囃したてます。しかし、ランシルとホンパにとっては、幸いの出来事でした。邪魔者が消えたのですから…ホンパは、葬式が終わると身辺の整理をします。その過程で、ジャギョンを呼びだして、結婚式の祝い金を渡し、仕事や道具の整理をさせる事にしました。そして、ジャギョンと対面したのですが、何とデパートのエスカレータで、ヨンソンの隣に立っていた娘でした。ホンパは驚きます。しかし、直ぐには名乗りませんでした。確実な証拠をつかむまではと考えたのです。

 ホンパは、この事をランシルに話します。ランシルは、気分転換にメイクをして欲しいと言って、ジャギョンを自宅に呼び出します。そこで、ジャギョンには感づかれないようにして、ジャギョンの髪の毛を数本手に入れます。この髪の毛をDNA鑑定した結果、ジャギョンは、99.999%の確率でホンパの娘である事が分かりました。ランシルは、自分の娘を血は繋がっていないとはいえ、自分の息子の嫁にするとはと言って、ヨンソンに対して怒りを感じました。ランシルは、ヨンソンを呼びだします。

 ランシルはヨンソンに、ジャギョンは、あなたとホンパの間にできた子供だろうと問い質しました。ヨンソンは、最初のうちは違うと抵抗したのですが、ランシルにDNA鑑定を突き付けられて、認めざるを得ませんでした。折角、ジャギョンとワンモが幸せに過ごしているのに、自分さえ黙っていれば分からないと思っていたヨンソンでしたが、その秘密をランシルとホンパに暴かれて目の前が真っ暗になりました。

 ランシルは、ヨンソンをなじります。自分の娘を血が繋がっていないとはいえ、自分の息子の嫁にするなんて…何と大それたことを仕出かしてくれたのかと…ヨンソンは、私は罪を持って死にます。ジャギョンとワンモには罪はありません。私が悪いのです。だから、二人には黙っていて欲しいと懇願します。

 ランシルは、冷静になって考えてみると、この原因は、ホンパとヨンソンを無理やりに引き離した自分にあると悟ります。しかし、人間は欲が出るもので、目の前に現れた孫娘と一緒に暮らしたいという欲望に駆られます。そしてヨンソンに、ホンパと結婚するようにと命じます。ジャギョンの秘密が公になった時に、戸籍だけでも切り離していた方がいいという口実で…ヨンソンは、最初は結婚を渋るのですが、ジャギョンの秘密を握られている以上、抵抗する余地はありませんでした。それに、元々は好きあっていた仲、ホンパに、秘密がばれない様に話しを進めるからと言われると、結婚を受けざるを得ませんでした。

 これで怒りだしたのが姑のマリアです。ヨンソンに、あなたは再婚はしない、私と余生を二人で暮らすと言ったじゃないと拗ね始めます。このマリアを説得したのがワンモとジャギョンでした。どうにかこうにか納まりが付いて、ホンパとヨンソンは結婚をしました。そして、ジャギョンが妊娠していることが分かりました。ヨンソンは、ジャギョンを自分の手元に置いて出産させたいと思い始めます。ジャギョンとワンモの結婚に反対していたマリアやスラに気兼ねをして、ジャギョンが神経を使って流産でもしたらと思ったからです。ランシルやホンパもそれを口実に娘と一緒に生活が出来ると喜びました。しかし、マリアが癇癪を起しました。ヨンソンを取られ、孫夫婦も取るのかと言って…そんなマリアをヨンソンやワンモがなだめて納得させます。心を安らかにさせて胎教を整えさせたい…お腹の子の事を一番に考えさせて下さい…出産したら必ず家に戻しますからと言って…こうしてワンモとジャギョンは、ホンパの家で過ごす事になりました。しかし、またまた運命のいたずらが起きてしまいます。

 ジャギョンの養母ベドゥクは、働きもせずに周辺にお金を集って生活していました。そんなある日の事、ヨンソンが、結婚する前に子どもを産んでいたという話を小耳にはさみます。ベドゥクは、話しの元になっている証人を呼び付けて詳しく事情を聞きます。すると、ヨンソンの子どもは、ジャギョンではないかと思い始めます。ベドゥクは、証人との会話を確りと録音していました。ベドゥクは、確認の為に病院で、ヨンソンの出産記録を調べました。ヨンソンが生んだのは女子で、年月日がジャギョンの誕生日と一致しました。 ベドゥクは、ジャギョンがヨンソンの子であることを確信しました。そして、父親はホンパである事も…なぜなら、ベドゥクの姉ミヒャンが、ヨンソンとホンパを引き裂いた直接の原因であることを知っていたからです。

 ベドゥクは、この事を利用して金儲けをしようと考えます。最初はホンパに会い、ジャギョンの秘密をちらつかせて金をせびろうとしますが、ホンパは動じませんでした。次にベドゥクはワンモを呼び出して、ジャギョンの秘密を打ち明けました。ワンモは、最初は信じようとしませんでしたが、ベドゥクが隠し取った録音を聞かせると、ワンモも信じざるを得ませんでした。ワンモはベドゥクに、この事はジャギョンには秘密にしてくれと懇願しました。ベドゥクは、ワンモが所有していた豪華マンションと引き換えることを条件に、秘密を守ると約束しました。ただし、ジャギョンには、マンションを借りている事にしました。ワンモは、事務処理を行い、隠し撮りをした録音と引き換えに登記を済ませました。しかし、狡猾なベドゥクは、ワンモとの会話をすべて録音機で隠し撮りしていました……この頃、ヨンソンとホンパは、ホンパの会社の中国支社の視察の為に、中国へ行っていました。ランシルとマリアもそれぞれが気晴らしに海外旅行を楽しんでいました。ワンモだけが、重大な秘密を知らされて、心を悩ませていました。

 ベドゥクは、豪華マンションに引っ越しをして、掃除をしていました。今まで、狭い半地下のアパートに住んでいたので、怠け者のベドゥクにとっては、掃除するだけでも大変な事でした。そしてここで、ベドゥクの悪知恵がまたまた働きます。この豪華マンションを売り払い、半分の広さのマンションを買って、残りの金で鰻屋と株を買いました。鰻屋は自分が経営する為のものでした。

 ジャギョンは、養母のベドゥクが働き始めたと聞き喜びます。ジャギョンは、九か月の身重の体でベドゥクの店に会いに行きます。個室でベドゥクと話しをしていると、店でトラブルが起きて、ベドゥクは部屋を出て行きました。その時、店員が料理を運んできました。ジャギョンが店員にここの社長は誰ですかと聞くと、店員はベドゥクと答えました。ジャギョンの脳裏にいやな予感が浮かび上がりました。ジャギョンは、料理も食べずに店を抜け出し車に乗ると、お抱え運転手にワンモのマンションに行くように言います。

 ワンモのマンションに着くと、マンションは売り払われ、すでに次の所有者が入居していました。ジャギョンは、ベドゥクの引っ越し先を聞き出し、ベドゥクの住むマンションを見つけ出しました。ジャギョンはベドゥクに、直ぐに家に帰ってくるように電話を掛けました。そこへ、母のミヒャンにお使いを頼まれたイリが遣って来ました。イリは、血は繋がっていませんが、ジャギョンには従兄弟にあたる青年でした。俳優志望で、心根が優しくワンモの妹スラとも親しい間柄でした。ジャギョンは、車を降りてイリに会います。イリは、スラの顔を見ると驚きました。なぜ、ここが分かったのかと…イリは、ジャギョンの体を心配して、ベドゥクの部屋に案内します。

 ベドゥクが帰って来ると、ジャギョンとベドゥクの口喧嘩が始まりました。ジャギョンはベドゥクをなじります。どうしてこんなことをしてくれたのかと…少しは私の立場も考えてくれと…どうして自分で働いて生きようとしないのかと…勝気なベドゥクは負けずに言い返します。そして、感情の爆発するままにジャギョンの秘密をばらしてしまいました。ジャギョンは、最初は信じようとしませんでしたが、ベドゥクはワンモとの会話の録音を聞かせました。ジャギョンは、ショックを受けて放心状態に陥りました。その一部始終を見ていたイリは、伯母のベドゥクを諌め、録音機を奪い取ると、放心状態のジャギョンを抱きかかえるようにして、車の所まで連れて行きます。イリは、ジャギョンを車に乗せると、運転手に、自分も車で来たので一緒に行けない…姉さんの事を宜しくお願いしますと頼みました。

 ジャギョンは、車に乗っても放心状態でした。そして、精神的な疲れからか、車の中で破水してしまいます。家にはスラと家政婦しかいませんでした。ワンモは、この日は忘年会で連絡が取れませんでした。スラはジャギョンを病院に連れて行きます。心配になったイリが、スラに電話をかけると、ジャギョンが破水をしたので病院に連れて行く途中だと聞きます。イリはすぐに病院に駆けつけます。やっと連絡の取れたワンモも病院に駆けつけました。

 医者の診断では、このままの状態では、母子ともに危ないとのことでした。急きょ帝王切開による分娩が行われました。生まれてきた子どもは、男の子で未熟児でした。そしてジャギョンは、失語症になり、目の焦点も定まらないような精神状態に陥り、記憶も定かではないようでした。ワンモは、なぜこんな事になったのか…あれほど待ちに待った子どもが生まれたというのに…なぜだと頭を抱えました。スラがイリに、あなたは、一緒に居たんでしょう。いったい何が会ったのと聞くのですが、イリはスラの前では言おうとしませんでした。それは、スラを守る為でした。そして、スラとジャギョンが実の姉妹だという事は、自分の口からは言うべきではないとも思っていました。イリは、スラの居ない場所で、ワンモに一部始終を話しました。そして、ベドゥクから奪い取った録音機を渡しました。その夜、ワンモは車の中で、一人で録音を聞きました。

 あくる日、イリが病院に着くと、玄関口の前でワンモとすれ違いました。ワンモの顔は悲壮感に満ち溢れていました。イリは、ワンモの顔を見て、何かが起きそうな予感がして後を付けました。ワンモはベドゥクのマンションへ向かいました。ワンモはエレベーターも待たずに階段を登って行きます。イリはエレベーターを使って登って行きました。イリの方が、一瞬早くベドゥクの部屋に着くのですが、直ぐにワンモが部屋に入って来ると、ベドゥクに何で秘密をばらしたんだ!と叫びながら、部屋にあった金属バットでガラス窓や鏡をめちゃくちゃに叩き壊し始めました。イリとたまたま来ていたイリの母でベドゥクの姉のミヒャンがワンモをなだめながら止めに入るのですが、ワンモは気が狂ったように暴れました。ワンモはベドゥクに、あれほど待ちに待った子どもが生まれたのに、ジャギョンは、言葉も喋れずに記憶も定かでは無くなった!おまけに子どもは未熟児で、命も危なくなってしまった。この責任をどう取ってくれると言って、ベドゥクを追い廻しました。ジャギョンが、そんな状態になっているとは知らなかったベドゥクとミヒャンは驚きました。そしてベドゥクは、今更ながら自分の犯した罪を悔い改めワンモに許しを請いました。それでもワンモは、ベドゥクを許そうとはしませんでした。ベドゥクは逃げ回り、洋服ダンスの中に隠れようとします。ワンモは、金属バットを持って襲いかかろうとしました。イリは、ワンモに罪を犯させてはいけないと思い、必死になって止めに入りました。ワンモは、ベドゥクを襲うのを諦めて泣き崩れました。

 ワンモは、病院に戻ると、懸命にジャギョンの看病をしました。スラも献身的にワンモを手つだって、ジャギョンの看病をしました。しかしジャギョンは、自分が出産した事も分からない状態でした。食事ものどに通らず、自分では食べる事さえ出来ませんでした。そんなジャギョンにワンモは、匙で食べさせながら語りかけました。子どもが生まれたよ…男の子だったよ…何も心配いらないから…みんなで仲良く暮らそうと…

 ジャギョンが、こうなった原因を知らないスラは不安になり、ワンモに母や祖母達に知らせなくてもいいのと聞くのですが、ワンモは、心配掛けたらいけないので知らせなくてもいい、みんなが帰って来る前にジャギョンが良くなるかもしれないからと言いました。スラは、ワンモの言うとおりに母や祖母から電話が掛かって来ても知らせませんでした。しかし、ワンモの希望的観測に終わってしまいました。

 最初に帰国したのはマリアでした。ワンモはマリアを空港に迎えに行きました。家に着くと、ジャギョンに男の子が生まれた事を伝えました。マリアは、跡取りが出来て喜びました。しかしワンモが、子供は未熟児である事、ジャギョンが失語症になったことを伝えると心配しました。マリアがどうしてそんな事になったのかと聞くと、ワンモは、まだ仕事があるので、後でゆっくり説明すると言って家を出ました。

 病院から返って来たワンモは、もう隠しきれないと思い、マリアに会ってジャギョンの秘密を打ち明けました。ただし、偶然の出来事で、ヨンソンは何も知らなかった事にしました。そして、この事をスラが知ったら傷付くので、スラには内緒にして欲しいと頼みました。マリアは、スラの事を考えると分かったという事しか言えませんでした。翌日、マリアは病院にお見舞いに行きました。そこで見たのは、ジャギョンのあまりにも変わってしまった表情でした。マリアの事も覚えていない様子でした。そして、保育器に入れられているひ孫を見ると、無性に腹が立ち、その思いは秘密をばらしたベドゥクへと向かいました。マリアはベドゥクを自宅に呼び出して問い詰め、真実を知りました。マリアの怒りはヨンソンへ向かいました。何で、こんな事を仕出かしてくれたのかと…

 数日たって、手術の傷がいえたジャギョンは、退院してホンパの家に戻って来ました。しかし、失語症は治っていませんでした。ワンモは、まだ入院している我が子と、ジャギョンを懸命に看病していました。ジャギョンもワンモが夫と言う事だけは分かるようで、ワンモの側を離れようとしませんでした。

 次に帰国したのはランシルでした。ランシルが笑顔で家に帰って来ると、ジャギョンの姿形や様子を見て驚きました。ワンモがすべてを伝えると、恐れていた事が起きてしまった。この原因は、すべて私に責任があると言ってワンモに謝りました。ランシルが帰って来たと知ったマリアは、ホンパの家に押しかけて、何と言う事をしてくれたのかと怒鳴りつけて、つかみ合いの喧嘩になりました。今まで虐げられた心の屈折が一気に爆発しました。ランシルは、ただ謝るだけでした。

 そして、ヨンソンとホンパが帰国しました。ホンパが会社によるので、二人は別々の車に乗りました。ホンパは車の中からランシルに帰国した事を報告しました。するとランシルは、ジャギョンの秘密がばれた事を知らせました。ランシルはヨンソンに電話を掛けます。ヨンソンはマリアに電話をしたら来るように言われたので行く途中ですと言いました。ランシルは、ジャギョンの秘密がすべてばれたので、覚悟して行くようにと伝えました。ヨンソンは、恐れていた事が現実となって、ただ茫然と成りました。

 ヨンソンがワンモの家に着くと、スラは外出中でした。ヨンソンはマリアの部屋に会いに行きました。その姿は、憔悴しきっていました。マリアはヨンソンに、何と言うことを仕出かしてくれたのか…ワンモに自分の娘を嫁がせるなんて…と言って、怒鳴りつけました。ヨンソンは、ジャギョンには罪はありません…私が悪いのです…ジャギョンを許してください…と言って謝り続けました。その様子を外出から帰って来たスラが立ち聞きしていました。スラは、頭に血が上りマリアの部屋に入ると、ヨンソンを責め始めます。何ていうことをしたの…私は、生まれて来た子の父方の伯母なの…母方の伯母なの…世間が知ったら何と言うと思うの…私はいったいどうなるのと言って…ヨンソンは、ただ謝るしかありませんでした。しかし、これだけでは済みませんでした。マリアが、ジャギョンがショックで早産をした事、生まれて来た子は未熟児で保育器に入れられ、命が危ない事、ジャギョンが失語症になり、記憶を失い食事も自分で取れない事などを伝えました。ヨンソンは如何したらいいか分からずに、唯々茫然となるばかりでした。そしてスラが、追い打ちを掛けました。もう私に母親面しないで、最初から私には母親なんていなかったわと…ヨンソンは、立ち上がると放心状態で部屋を出て行きました。ヨンソンは、家を出る前にスラの部屋に行き、飾ってあったスラの写真入りの小さな写真立てを取ってハンドバックに入れました。

 ヨンソンは、車に乗ると泣き続けました。そして運転手に、子供は病院だろうし、嫁は?と聞きました。運転手は、いま息子さんは、病院から家に向かっているそうですと答えました。ヨンソンが家に着くと家政婦が庭を掃除していました。家政婦は、お帰りなさい…御祖母様は来客中です…息子さんは外出中です…と元気よく声をかけるのですが、ヨンソンは返事をする元気もありませんでした。

 ジャギョンは、部屋で一人テレビを見ていました。そこへヨンソンが心配そうな顔をして遣って来ました。ヨンソンとジャギョンは視線を合わせるのですが、ジャギョンの表情は、ただ茫然としているだけで、ヨンソンの事が分からないようでした。ヨンソンは歩み寄ってベットに腰を降ろしジャギョンと名前を呼ぶのですが反応はありませんでした。ヨンソンはジャギョンを抱き締めました。そして立ち上がると、洋服ダンスからコートを取り出してジャギョンに着せ、ジャギョンを連れ出しました。車の前まで来ると運転手に、私が運転すると言い、ジャギョンを助手席に乗せて出て行きました。

 ヨンソンがジャギョンを連れていなくなったので、周りは心配して探し始めますが、見つけ出す事が出来ませんでした。夜になるって、ヨンソンはジャギョンを連れて海の近くの料理屋にいました。ヨンソンは料理を注文すると二人きりになった部屋で、ジャギョンにスラの写真を見せて、あなたの妹スラよと言います。ジャギョンはスラの写真に視線を移しました。ヨンソンは、私があなたとスラを産んだの…だから、あなたたちは実の姉妹なの…信じられないでしょうけど本当よ…もう、嘘はつかない…私が許せないでしょう…ママにも事情があったの…私、如何したらいい…ワンモに会う自身がない…ワンモに嫌われたでしょう…と泣きながら話しかけました。しかし、ジャギョンの顔は無表情でした。ヨンソンは、注文していた料理が来ると匙でジャギョンに食べさせました。

 スラは泣きながら自分の部屋で寝ていました。ふと気付くと、飾っていたはずの写真立てがありませんでした。暫くして、ランシルが訪ねて来ました。そして、ランシルはマリアにヨンソンとジャギョンがいなくなった事を伝えました。スラは心配して、母が私の写真を持って行きましたと言います。

 ヨンソンは、浜辺に車を止めてジャギョンに話しかけていました。スラに子守唄を歌っても、殆ど最後まで歌う事が出来なかった…あなたの事を思い出して歌えなかった…スラの面倒は殆ど義母が見てくれたと…子どもは誰に似ているの…父親に似ていると好いけど…私は姑じゃなくて、あなたのママよ…でも、育てられなかった…それで、あなたを幸せにしたくて…ワンモと結婚させたのよ…明らかになって…私はみんなに、どう顔向けすればいいの…と泣きながら……その時、ジャギョンがヨンソンを見ると頭をヨンソンの肩に寄せて来ました。ヨンソンは、やっと、こうして抱きしめられたわ、私の娘…と言いました。ジャギョンの目から、一筋の涙がこぼれ落ちました。ヨンソンは、スラが私を異常だと…あなたもそう思う?…精神病院に送られたらどうしよう…スラは…面会に来ないは…と言います。ヨンソンは、ジャギョンを残して車を降り波打ち際に向かって歩きました。ジャギョンはヨンソンの後姿をじっと見つめていました。ヨンソンは砂浜に座り込むと、唯々声を出して泣きました。ジャギョンは、ヨンソンの姿とワンモを忘れる事が出来ずに海で自殺しようとした時の自分の姿をダブらせました。ジャギョンに記憶が戻り始めました。ヨンソンは天を仰いで、神様、過酷すぎます…どうして娘まで、無意識のまま出産する試練を?…罪は私が犯したのに…どうして娘を…戒めるのですか…娘には何の罪もないのに…と訴えました。

 ヨンソンは、ジャギョンを連れてホテルへ行きました。ホテルで同じベットに寝ると、ヨンソンはジャギョンに今まで歌う事の出来なかった子守唄を歌って遣ります。ジャギョンは、安心して寝付きました。その頃、家族のみんなが懸命になって二人の事を探していました。スラもどうか無事でありますように…と祈っていました。

 朝起きると、ヨンソンはジャギョンに洗顔をして遣ります。そして髪をとかし、一つにまとめて横結びにして、可愛らしい女の子のようにして遣ります。ヨンソンはジャギョンを抱き締めました。ジャギョンの顔に笑みが浮かびました。

 ヨンソンは、イリを呼び出していました。待合場所にイリが来ると、車を降りて、ジャギョンを家に送ってくれるように頼みました。自分は病院に行って、孫の顔を見て来るからと……ヨンソンはジャギョンに、家で待っていてね…と言います。しかしジャギョンは、ヨンソンから離れようとせずに、車から降りようとしました。ヨンソンは、イリが送ってあげるから…と言います。そしてイリに、出発してと言いました。車が出発すると、ジャギョンは後ろを振り向き、窓越しからヨンソンの姿をいつまでも見つめていました。

 車を運転しているイリにスラから電話が掛かって来ました。スラは、ママに何かあったらどうしよう…と言います。イリは、何かある訳ないだろう…さっき会った…お姉ちゃんを送ってくれと…言います。スラは驚いて、本当…と聞き返しました。イリは、ああ…お姉ちゃんも隣にいる…と答えました。するとスラが、お母さんはと聞きました。イリは、病院だ…と答えました。スラはホッとしました。その知らせは、直ぐに家族全員に伝わりました。みんなもホッと胸をなでおろしました。

 しかし、ここでまたまた運命のいたずらが起きました。ヨンソンの乗っているタクシーに、暴走トラックが真正面から突っ込んで来ました。タクシーの運転手は即死でした。ヨンソンは、かろうじて息をしていましたが、意識不明の重体でした。ヨンソンは、駆けつけた救急隊によって病院に運ばれて行きました。そして救急隊員は、ハンドバックの中から見つけた携帯を掛けました。ワンモが電話に出ると救急隊員は、携帯の持ち主が事故に合いましたと告げました。ワンモ達は、直ぐに病院に駆けつけました。

 ワンモ達が病院に着くと、ヨンソンはベッドに寝かされて検査の途中でした。医師は、骨折はありませんが、頭を強く打っています…検査をしないと何とも…と説明しました。

 検査が終わると、主治医がCTの画像を映し出し、説明を始めました。検査の結果によりますと…硬膜下出血と言いまして、脳内に出血が見られます…硬膜下出血は命にかかわりますので、一刻でも早く手術を受けなければなりませんと…するとランシルが、治るんですね?…と聞きます。主治医は、脳というものは、とても複雑なものでして…手術が成功しても後遺症がある可能性も…まずは患者の命を救って、術後の経過を見なければ何とも言えません…と答えました。ワンモが手術にかかる時間は、と聞くと、医師は四時間と答えました。するとホンパがお願いしますと言いました。

 ヨンソンを手術室に運んでいると、スラとマリアが駆けつけて来ました。スラはヨンソンの顔を見ると泣きながらお母さん…お母さん…と声をかけ続けました。スラは、ヨンソンと最後に別れた時に、感情に走って投げかけた言葉を後悔していました。スラはイリに抱きとめられます。手術室の前に着くと、ワンモがスラを抱き寄せます。ホンパはヨンソンの手を確りと握りしめました。ヨンソンは、看護師に連れられて手術室の中へ入って行きました。

 ヨンソンは、手術室の中で夢を見ていました。夢の中で、神様…まだ死にたくありません…孫の顔も見ていないんですよ…ワンモにも謝らなければならないし…何としてでも娘が喋れるようにして…一度でもママという言葉を聞いてから…死なせて下さい…お願いします…と言いました。

 ジャギョンは、一人で留守番をしていました。ベッドの上で膝を抱えながら、昨日の夜の浜辺で泣いていたヨンソンの姿を思い出していました。そして、自分が海で自殺をしようとしていた時の姿をダブらせていました。その時、家政婦が薬の時間だと言って遣って来ました。家政婦は、ベッドに腰を降ろしてジャギョンの髪形を見ると、みっともない髪形ねと言って、ジャギョンの髪に触ろうとしましたが、ジャギョンはそれを嫌って家政婦の手を跳ねのけました。母親に結んでもらった髪に、他人の手を触れさせたくないという思いが芽生えたのかも知れません。

 手術室の前でワンモ達が待っていると、家政婦に連れられてジャギョンも遣って来ました。ジャギョンを椅子に座らせるとワンモが、母さんが、ケガをして手術中だ…と説明しました。しかし、ジャギョンの表情は変わらずに、一点を見つめているだけでした。

 手術が終わると、執刀医が出て来て説明を始めました。最善を尽くしましたが、とても重症だったもので、患者の意識が戻るまでは何とも言えませんと……ホンパが、治る見込みはありますかと尋ねると、執刀医は、あまり期待されない方が…と答えました。それを聞いたスラは、気を失って倒れかけます。側にいたイリがスラを受けとめて遣りました。

 ワンモは、ICUでヨンソンに面会して手を握りながら、母さん、僕達の為にも目を覚ましてくれ…何があっても俺は諦めないから…絶対に死なせない…孫にお祖母ちゃんって呼ばれたいだろう…孫に会いたくないか…それに…ジャギョンのママっていう言葉も聞かなきゃ…悔しくないのか…もし死んだら…俺達は幸せになれない…どうか、頑張ってくれ…と、心の中で語り続けました。ワンモの目から一筋の涙が零れ落ちていました。

 意識を失っていたスラは、そのまま入院して点滴を受けていました。意識を取り戻すと側にはマリアとイリがいました。スラは、ヨンソンの事が気がかりで、マリアにママはと尋ねました。マリアは、集中治療室よと答えました。スラは起きようとしますが、マリアに止められます。イリもスラに、お前も病人だ…と言いました。マリアはスラに、泣かないで、神様を信じましょうと言いました。ワンモがICUから出て来ると、ホンパはワンモに疲れただろう、ここで二人で待つ必要はない。自分がいるから帰りなさいと言います。ワンモは、大丈夫ですと言って、椅子に腰掛けました。イリは、ICUのナースステーションに行って、娘が気絶したので、親の顔を見ていない。五分で好いから面会させてくれと頼み込みました。スラは面会できる事になりICUに入って行きました。

 スラは、ヨンソンの全身を見回します。そして、泣きながらママと呼び掛けました。するとヨンソンの手が微かに動きました。スラはヨンソンの手を両手で握るとまた、ママ…神様、どうかママを助けて下さい…私が悪かったから…これからは優しい子になります…ママだけ助けて下さい…と言いました。その時、心なしか、心拍と血圧を示す機械が息を吹き返すようなリズミカルな音を立て始めました。

 ワンモが家に帰ると、ジャギョンはベッドの上に座って待っていました。ワンモは上着を脱ぐと突然歌を歌い始めました。結婚前にふざけて歌った歌でした。しかしジャギョンの表情は変わりませんでした。ワンモは、ベッドに腰を降ろすとジャギョンを見つめながら、覚えていないか…寒い冬の日に俺が唄っただろう…口紅を塗ってた…笑っただろう…と言うと、立ち上がり鏡台に行き、鏡を見ながら口紅を塗って、その時のポーズを取ってジャギョンに近寄りました。でもジャギョンの顔は、きょとんとしているだけで、表情の変化はありませんでした。ワンモはジャギョンに話し続けます。結婚二日前に…ボートに乗った事は?…二日後には、同じ人生の船に乗ると…どちらかが船を下りない限り同じ運命だと…俺は約束した通り…一生懸命に漕いでいる…船が転覆する危険に見舞われたら協力して…乗り越えようと言ったじゃないか…思い出してくれ…俺だけは信じると言って置いて…これは何のマネだ…約束したなら…最期まで守れと…ワンモは感情が高ぶり涙声になって、懸命にジャギョンに訴えかけました。ワンモはさらに続けます。俺も辛い…辛くて死にそうだ…胸が張り裂けそうなんだ…頼むから、喋ってくれ…と、泣きながら訴えかけました。するとジャギョンの手が、ワンモの髪に伸びて行きました。ジャギョンは自分の指で、ワンモの髪の毛をすかしました。ワンモは、ジャギョンを見つめ、ジャギョン…ジャギョン…一言だけでいい…俺の事はいい…ママと…なあ…ママ…と、呼び掛けました。すると、ジャギョンの目から涙が流れ始めました。ワンモはジャギョンを見つめながら、母さんに…言ってあげるんだ…そしたら…目覚めるはずだと……ジャギョンの目からは、止めどもなく涙が流れていました。そして、小さいながらもすすり泣く声が…ワンモは、さあ…ママ…と呼び掛けます。するとジャギョンは、懸命に声を出そうと試みるのですが、うん…うん…と言葉になりませんでした。ワンモは、ジャギョンを抱きしめ、二人で泣きました。こうして、ジャギョンの回復の兆しが、少しではありますが見えて来ました。


 スラは、以前として病院に入院していました。目が覚めると、ワンモとジャギョンが結婚した当初の頃、ジャギョンが姉とも知らずにいじめていた事を思い出していました。アガシは、一般的にお譲さんっていう意味で、夫の妹は、エギシです…知らなかったの?…信じられない…と、まるで学歴の無いジャギョンをバカにしているように…また、ジャギョンが床掃除をしていると、スリッパの裏も拭いて下さい…と言って、自分の吐いているスリッパをテーブルの上に蹴上げたりした事を…さらに、嫁ぐ時、普通は数千万は用意するのに…貯金しなかったの?…と嫌味を言ったりした時の事を…スラは後悔していました。スラの目から涙が零れ落ちていました。そこへ、イリが花を持って遣って来ました。イリは、スラの涙顔を見て、一生分の涙を流す気か…と言います。スラは、自分がした事を後悔しているわ…と言います。イリは、完璧な人はいない…と諭しました。

 スラは、ヨンソンに面会に来ていました。ママ…辛いでしょ…ゆうべ一晩乗り越えてくれてありがとう…と呼び掛けると、両手でそっとヨンソンの手を握りました。スラは、また話しかけます。六歳の頃の記憶だけど…ママが韓国へ来て…私に…子守唄を歌ってくれながら泣いたの…覚えてる?…私が、なぜ泣くのと聞いたら…ママは、歌が悲し過ぎてと答えたわ…悲しいって何なのと聞くと…スラは意識の戻らないヨンソンの胸に手を置いて、ここが傷むことなのよと答えたの…私は…その時、触ってみたら何も感じなかった…でも…ママがなぜ泣いたのか…やっと分かったわ…やっとママの苦しみが分かったわ…私…今…胸が痛いの…ママは…頭が痛いでしょうけど、私は…胸が痛いの…お願い…ママ起きて…まずは目を覚まして…私を見て…お願いだからと…その時、ヨンソンはスラに気付いていたのか、目を瞑ったまま心の中で、スラ…私の可哀想な娘…必ず回復して見せるわ…神様が…私の最後の願いを叶えてくれるはずよ…泣かないで…泣くと胸が痛むわ…泣かないで…と言いました。その時、看護師が入って来て、もう時間ですとスラに伝えました。

 マリアは、保育器に入れられたひ孫を見て微笑んでいました。子どもは順調に生育していました。マリアはスラの病室へ行きます。スラは、病室のベッドの上で体を起こして考え事をしていました。スラはマリアに座ってと言います。マリアが座るとスラは、ママが回復したらまた叱るの?…私の為にもママを許してあげて…と言います。マリアは、許すも何も…と気の無い返事をします。スラは、そんなふうに言わずに、以前のように温かく接して…と言います。マリアは、周りが知るのは時間の問題だし、噂になるわ…と言います。するとスラは、人が何と言おうと気にしなければいいわ…と言います。マリアは、でも後ろ指さされたら…と言いました。スラは、構わないわよ…私は恐くない…と答えました。マリアが溜息をつくと、スラは、家族の健康と無事が一番だってやっと分かったの…お義兄さんでもかまわないわ…呼び方なんて形式的なものに過ぎない…重要なのは、愛する家族だってことよ…たった数十年の短い人生よ…怒るのはもっともだわ…でも、私を産んでくれた母親でしょ…お兄ちゃんにも大切な母親だし…とマリアを説得しました。

 ワンモの仕事が終わった頃に、ホンパから電話がありました。ヨンソンの意識が戻ったと…ワンモは直ぐに病院に駆けつけました。ワンモがICUに見舞いに行って、母さんと呼び掛けると、ヨンソンは目を開けてワンモを見ました。ワンモが、まだ痛むでしょ…と聞くと、ヨンソンは、大丈夫よ…あなた達の…苦しみや…心の傷に比べたら…かすり傷よ…と答えました。ワンモは笑みを浮かべながら、苦しんでない…あっ、スラが今、こっちに向かっている…エレベーターが込んでて、捻挫して入院したんだ…今日ほどうれしい日はなかった…母さんの意識が戻ったから…と言います。ヨンソンは、本当は…言いたい事があるでしょう…と聞き返しました。ワンモは、沢山あるよ…早く起きて、サムゲタンを…お母さんの料理が食べたい…と言います。ヨンソンが涙を流しているとワンモは、なぜ泣くんだ、笑ってくれ…母さん…母さん…と言うと、ヨンソンの涙を手で拭いて遣りました。そして、俺に、お義母様と言う呼び方は期待しないで…そうだ、様だけは付けてやるよ…お母様…泣かないで…早く治ってくれ…孫を抱いて、ジャギョンと遊びに行く為にも…と言いました。ヨンソンは、ごめんね…申し訳ないわ…と言いました。ワンモは、俺は、お母さんに感謝している…ジャギョンを産んでくれて…俺を大事に育ててくれたから…俺の大事な妻を産んでくれてとても感謝している…と言いました。ヨンソンは、心の中で、神様、これは夢ではないですよね?…まさか、ここは天国ですか?…と言います。ワンモは笑顔で、お母さん…心から尊敬し、愛してる…スラも愛してると…言いました。ヨンソは、唯すすり泣くだけでした。

 マリアは、自宅でスラと話しをしていました。母さんは当然、向こうの家で暮らすだろうしと……スラは、お祖母ちゃん…昔みたいに…みんなで、一緒に暮らしちゃダメ?…と聞きます。マリアは、無理言わないで…コブが一人いるのよ…と答えました。スラは、コブ?…と聞き返します。するとマリアは、理事長の事よ…と答えました。スラは、お姉ちゃんのお父さんよ…と言いました。マリアは不満そうな表情をしていました。

 暫くして、ホンパが訪ねて来ました。スラがリビングで挨拶をするとホンパは、お祖母ちゃんは?…と聞きました。スラは、眠ってます…三十分後には起きるかと…と答えました。スラはホンパに、夕食はお済ですか?…と聞きます。ホンパは、ああ…と答えました。スラは、病院で?…と聞き返します。ホンパは笑みを浮かべながら、ああ…と答えました。そして、歩けないで退屈だろう?…と聞きます。スラは、仕方ないです…病院に行けないのが残念だけど…お姉ちゃんにも会いたいし…と答えました。ホンパは、無理するな…と言いました。スラは、ママが退院したら、ここで暮らしちゃダメですか?…と聞きます。するとホンパは、私も考えてみたんだ…一緒に暮したらどうかなと…スラも、うちで暮らした事があるし…お祖母様と私の家へ…と言いました。スラは少し考えながら、そうですね…私は構いませんけど…と答えました。ホンパは、お祖母様には私が話して見る…と言いました。

 ホンパは、マリアが起きるとマリアの部屋で相談しました。横にはスラもいました。ホンパはマリアに、家も広いから…家族が七人もいたら、赤ん坊の世話は楽かと思います…と言います。するとスラが笑顔で、赤ん坊まで入れて八人家族です…と言いました。ホンパは、マリアの顔を覗きこむようにして、どうですか?…と尋ねました。マリアはスラの顔を見ました。スラはマリアの顔を見て頷きながら、そうしましょう…と言いました。マリアは渋い顔つきで、モさんが納得しないと思うけど…と言いました。

 ホンパと入れ替わりにランシルが来ていました。ランシルはマリアに、何を言うんですか、大歓迎ですよ…姉さん…私とヨンソンを哀れに思って許してください…一緒に生活を…と言います。するとマリアは、心配なのよ…と言います。ランシルが、何がですか…と聞き返すと、マリアは、嫌味を言うから…と言いました。ランシルは笑みを浮かべながら、私ですか?…もう二度と言いません…信じて下さい…今後は、言葉に気お付けるようにします…と言いました。するとマリアは、ぶっきら棒に、タンスを一つ貸して…と言います。ランシルは、全部貸します…ここの荷物を全部運んで下さい…と言います。マリアが吹き出すようにフンと笑うと、ランシルは、本当です…台所の隣の部屋を衣裳部屋にしますから…嬉しいわ…私が大事にしますから…仲良く楽しく暮らしましょう…一緒にひ孫を育てながら…と言いました。マリアは、深く溜息をつくと、ジャギョンが早く快復して、ヨンソンに…後遺症が無いといいけど…と言いました。

 ホンパは病室で、ヨンソンの寝顔を見ながらスラの言っていた事を思い出していました。スラはホンパに、あの…これからは…パパだと思います…お姉ちゃんのお父さんは、私のお父さんだからと…ホンパは、驚きと嬉しさの入り混じった表情をしていました。その時、ヨンソンがめを覚ましました。ホンパはヨンソンに、頭痛か…と聞きます。ヨンソンは、ひどくはないわと答えました。ホンパは時計を見て、薬の時間まで後10分ある…と言いました。すると、携帯のベルの音が鳴りました。スラからでした。スラは、私です…一般病棟に移ったと…と言います。ホンパは、ああ…話すか…と聞きます。スラが、はい…と答えると、ホンパは、ちょっと待って…と言うと、ヨンソンに、スラだ…と言います。そしてスラに、代わる…と言うと、携帯をヨンソンの耳元に添えました。スラは、ママ…と呼び掛けました。ヨンソンは、私の娘…と言います。スラは、まだ痛いでしょう…と聞きました。ヨンソンは、大丈夫よ…と答えました。スラは泣きながら、会いたいけど、足をけがしちゃって…と言います。ヨンソンは心配そうな声で、なぜ気お付けなかったの…と言いました。スラは、ママ…この間の私の言葉は全部忘れて…と言います。ヨンソンは、スラ…本当にごめんね…と言います。スラは、そう言わないで…私はママをとっても愛しているわ…と言います。ヨンソンは、知っているわ…ママもよ…と答えました。スラは、早く快復して帰って来て、会いたいから…ママにも会いたいし…お姉ちゃんにも会いたいの…と言いました。ヨンソンは、涙で何も言う事が出来ませんでした。

 

 ワンモとマリアは、保育器のある病棟の前にいました。いよいよ息子が退院する日が来ました。看護師が息子を抱いて病室を出て来ると、ワンモに手渡しました。ワンモはぎこちない手つきで、我が子を抱きました。ワンモの顔からは、笑みが零れていました。ワンモがマリアに子どもの顔を見せるとマリアは、保育器の中で寂しかったでしょう…と話しかけました。

 ホンパの家では、ランシルがジャギョンに話しかけていました。もうすぐ息子が来るわよと…しかし、ジャギョンは無表情でした…ランシルは、ジャギョンの手を取ると両手でさすりながら、あなたの妹とワンさんと…みんなで暮らすことにしたの…と言います。

 ジャギョンは、ベッドに寝転がって、一人で考え事をしていました。ヨンソンが夜の浜辺に座り込んで泣いている姿と、以前自分がワンモと別れようとしても別れきれずに泣きながら海で自殺しようとした時の姿をダブらせていました。ジャギョンは悩んでいました。ベッドから起き上がると、眉間には皺が寄っていました。向こうの棚に飾ってあった、ワンモとの結婚写真を見つめていました。しかし、それが快復の兆しのようにも見えました。二人の結婚式の映像が、脳裏によみがえり始めました。ジャギョンは、険しい表情をして立ち上がりました。そして両手を合わせ祈り始めます。

 ジャギョンがベッドに座って、苛立ちながら考え事をしていると、ワンモが息子を抱いて部屋に入って来ました。ランシルがジャギョンに、我が家の宝物よ…と言います。ワンモは、ジャギョンに歩み寄って、息子を抱いたままベッドに座りました。その横には、ランシルとマリアもいました。ワンモが息子を差し出すとジャギョンは自ら手を出して息子を抱き締めました。ジャギョンは、我が子の顔をじっと見つめていました。すると、ジャギョンの脳裏に楽しかった日々の思い出が蘇りました。そして、ベドゥクに秘密をばらされて放心状態になった時の事も蘇りました…様々な思い出が蘇り始めました…ワンモは、そんなジャギョンをじっと見つめていました。するとジャギョンが片言で、赤ちゃん…赤ちゃん…と声を出しました。ワンモは、そう、赤ちゃんだ…お前が産んだ息子だ…と声を掛けました。ジャギョンはワンモを見ると頷きました。その目からは、涙が零れ落ちていました。ランシルとマリアは、それぞれ私が分かると聞きました。ジャギョンは、涙目で二人を見つめていました。そして、我が子に頬ずりしながらすすり泣いていました。その様子を見ていたワンモの目からも涙が零れ落ちていました。ワンモはジャギョンに、無理して喋らなくてもいい…ゆっくり…泣くな、赤ちゃんが悲しむぞ…と言うと、手でジャギョンの顔を拭いて遣りました。ジャギョンが何か話したそうにしているとワンモは、どうした…と聞きます。するとジャギョンは、お義母様…と言います。ワンモは、母さんか?…具合が悪いんだ…と言います。するとジャギョンは、何か喋りたい様子でしたが、言葉がなかなか出て来ませんでした。ワンモは、ジャギョン、俺を見ろ…母さんの事を全部知っているんだろう…お義母さんから聞いた…と聞きました。ジャギョンは、大きく頷きました。ワンモは、ジャギョンの目を見ながら、みんなも知っているし、受け入れた…難しく考えるな…母さんの立場では、そうするしかなかった…それに俺達は、必ず結ばれる運命だったんだ…だろう?…だから…みんな一緒に暮らすことにした…この家で…と言いました。するとジャギョンが、本当に?…と聞きました。マリアとランシルが泣きながら、ええ、本当よ…と答えました。マリアが、明日、私とスラが引っ越すの…と言いました。ジャギョンは泣き続けました。ワンモは、ジャギョンから息子を受け取ると、スラは、お前の妹だろう…お姉ちゃんが泣いてどうする…妹のスラは、お前と暮らすのを楽しみにしているんだ…と言いました。ジャギョンは、泣きながら大きく頷きました。するとマリアが歩み寄って、ジャギョンの腕を握って、そうよ…泣かないで…母親を探したのよ…喜ばなきゃ…と言います。ジャギョンはワンモに手を差し出して、我が子をまた受け取りました。そして、じっと見つめていました。その様子を見てワンモが、俺の名前を呼んでくれ…と言います。ジャギョンは、ワンモを見つめながら、ゆっくりとワン…モ…と言いました。するとワンモが、あだ名は…と聞きます。ジャギョンは泣き笑いの顔で、ドルセ…と答えました。ワンモは手で、ジャギョンの涙を拭いて遣りました。その様子を見て、ランシルがマリアに、出ましょう…と声を掛けました。二人は部屋を出て行きました。ワンモは、我が子を抱いているジャギョンを軽く抱きしめました。

 それから二人だけの会話が続きました。ワンモはジャギョンに、俺がどれだけ心配したか…と言います。するとジャギョンが心配そうに、どうなるの?…これから…どうしたらいいの?…と尋ねました。ワンモは、母さんにか?…と聞き返しました。ジャギョンは、頷きました。するとワンモは、大事にするんだ…そうすれば、母さんもすぐに快復出来る…と言いました。ジャギョンは心配そうに、何処が悪いの?…と聞きます。ワンモは、手術を受けた…と言います。そして、手を差し出して、赤ちゃんを受け取りながら、赤ちゃん、お腹がすいているはずだ…ゆっくり、すべてを話すから…と言いました。二人は、我が子を挟んで幸せそうに向かい合っていました。

 ホンパはヨンソンのベッドの横に座っていました。そこにランシルから電話が入ります。ホンパは電話を聞いて、喋った?…と聞き返します。ランシルは、少しだけどね…と答えました。ホンパが、記憶は?…と聞くと、ランシルは、戻ったから喋ったのよ…と答えました。ホンパは嬉しそうに、何よりだ…と言いました。ランシルは、ええ…と答えました。ホンパは、分かった…と言うと電話を切り、ヨンソンに、ジャギョンが喋ったそうだ…と伝えました。ヨンソンは複雑な表情で、恨まれたら…どうしよう…と言いました。

 ランシルの部屋では、マリアとランシルが話しをしていました。マリアは、スラが喜んでいる様子でした…実の姉が出来て…と言います。ランシルは、笑みを浮かべながら、何よりです…と言いました。そこへワンモが入って来ました。ランシルはワンモに、ミルクは?…と聞きます。ワンモは座りながら、飲ませました…と答えました。ランシルはマリアに、早く戻って荷造りをして下さい…と言います。マリアは、そうね…と答えて立とうとすると、ワンモがマリアの腕を握って、その必要はない…と言いました。マリアは座りなおしてワンモを見ながら、どうして?…と聞き返しました。ワンモは、ジャギョンが家に帰ろうと…言います。するとランシルが不思議そうな表情で、どうして?…と聞きました。ワンモは、混乱しているらしい…整理がつくまで向こうの家に…と答えました。ランシルは沈んだ表情を見せました。ワンモはランシルに、ジャギョンにも時間が必要です。御理解を…と言いました。ランシルは仕方がないという表情で頷きました。マリアも折角上手くいきそうだったのにと思ったのか、表情を曇らせていました。ランシルは俯きながら、忘れてたわ…大人のせいで…私のせいで…実の母親と別れて…辛い人生を送ったのに…怨まれて当然ね…実の父親と知って喜ぶより…怨んでしまうのは当り前よ…と言いました。するとマリアが、根が優しいから直ぐ許すはずです…と慰めました。ランシルはワンモに、私の顔も見たくないと言っているでしょう…と聞きます。ワンモはランシルに視線を合わせると、それは違います…と答えました。ランシルは悲しそうな表情で、ホンパが落ち込むわね…と言いました。するとマリアが、ワンモに視線を合わせて、ヨンソンには会うと?…と聞きました。ワンモは頷くだけでした。ランシルはワンモを見て、いつ行くの?…と尋ねます。ワンモは曇った表情で、それが…今日です…と答えました。ランシルの表情が悲しそうでした。それを見かねたマリアが、食べ物も無いわよ…と言います。するとランシルが、うちから持っていって下さい…わかめスープもあります…と言いました。ワンモは、何とも言えない表情をしていました。ランシルの目には涙が溜まっていました。

 夜になって、ホンパは車で帰宅の途中でした。車の中でランシルからの電話を思い出していました。ジャギョン達が、今日、出て行くそうよ…と言う言葉を…ホンパの顔は、寂しそうで、複雑な表情をしていました。

 ホンパの家では、ランシルが一人でリビングに座っていました。その後ろでは、家政婦が懸命にジャギョンの荷物を運んでいました。ワンモとジャギョンの寝室では、ジャギョンはベッドに腰を降ろして、我が子を抱いていました。その横では、ワンモが荷物の整理をしていました。

 ジャギョンがワンモに、正直に教えて…お義母様に何かあったの?…と尋ねます。ワンモは手を休めてジャギョンに視線を合わせ、今は大丈夫だ…と答えました。ジャギョンは心配そうな表情で、帰る途中にちょっとだけ病院によって…と頼みました。するとワンモは、今は母さんが無理だ。喋るのもやっとで…と答えました。ジャギョンは泣きそうな顔で、そんなに重傷なの?…と聞きました。ワンモは、ジャギョンに歩み寄ると腰を屈めて、ジャギョンの両膝の上に手を置いて、お前が治ったら直ぐに快復する…お前も安静が必要だ…子どもの世話で、一週間なんて直ぐだ…と諭しました。そこへ、荷物を持ってマリアが部屋に入って来ました。マリアは荷物を降ろしながら、着替えだけまとめなさい…と言います。ワンモがはいと答えました。マリアはジャギョンを見ると、どうしてまた泣くの…体に障るわよ…と、声を掛けました。ワンモが心配そうに、病院へ行くと…と言います。マリアは、ジャギョンに視線を合わせると、病人の為に我慢しなさい…と言いました。ジャギョンは、仕方なく頷きました。

帰宅したホンパがリビングに入って来ました。リビングにはランシルが一人でポツンと座っていました。そこへ、赤子を抱いたマリアを先頭にして三人が二回から降りて来ました。ランシルは、肩を落としながら立ち上がり、三人の処へ歩み寄りました。ホンパの表情は寂しそうでした。ワンモが、ランシルとホンパに、こんな形で出てしまい、申し訳ありません…と挨拶をしました。ジャギョンは、何か言おうとするのですが、言葉が出なくて何も言わずに家を出ようと振り向きました。その時ホンパが、ジャギョン…一言だけ…と、話しかけました。ホンパの目から涙が零れ落ちていました。ジャギョンは、また振り向き直しました。ランシルが、必ず、また会えるわよね?…と話しかけます…ジャギョンは視線を上げて二人を見ました。ランシルは、ママとパパには責任はないは…すべて私のせいなの…私が謝るわ…許して…と言いました。ジャギョンの目からも涙が零れ落ちていました。ジャギョンは、やっとの思いで話し始めます。30年の歳月です…今すぐは…私は大丈夫です…でも…ママの人生は…記憶を失うくらいのショックだったんです…と言います。ランシルは泣きながら、ホンパの肩に手を置きます。ホンパは、俯きながら黙ってジャギョンの話を聞いていました。ジャギョンはさらに、ゆっくりと話し続けます。私も母になって分かりました…子どもに対する母親の愛情がどれほどなのか…自分の子供の…消息も知らずに数十年も…その心境が…分かりますか?……私もとても辛かったし…とても会いたかったです…今までの歳月が、私を冷たい人間に…したみたいです…何事も…無かったかのように…お二人に接する事が出来ません…あまりにも混乱して…と言いました。ホンパは、頬に涙を流しながら唯一言、許してくれ…と言いました。周りにいる全ての者が泣いていました。ジャギョンは、とにかく…努力します…と言いました。ランシルは泣き声で、私のせいで…と言うと、ひ孫の顔を覗きこみました。三人は、静かにホンパの家を出て行きました。ランシルは泣き続けました。ホンパは、悲しさと寂しさをじっと我慢して耐えていました。

スラは、家のリビングで一人待っていました。スラの脳裏には、過ぎ去った出来事が蘇っていました。ヨンソンが、指輪しないの?…と聞くと、うん…メイクの人もしているから…と答えました。ヨンソンが、それがイヤなの?…と聞くと、拗ねた表情で、気が乗らないだけよ…同じ物はしたくないのが女よ…と憎たらしく答えました。

その時、門のベルが鳴りました。スラは、松葉杖を手にすると立ち上がり、セキュリティーシステムを解除しました。ジャギョンはマリアに支えられて、玄関の階段を登っていました。その後ろには、ワンモが我が子を大事そうに抱きかかえていました。マリアはジャギョンに、ゆっくり歩いてね、転んだら大変だから…と声を掛けました。ジャギョンは頷くと、ゆっくり歩きました。スラは、リビングの入口のドアの前で、不安と期待に駆られて立って待っていました。その時、玄関に四人が入ってくる音がしました。

マリアは、後ろを向くとワンモに手を差しのべながらちょうだい…と言います。ワンモは、大事そうに赤ちゃんを渡しました。スラは、一つ一つの音に反応しながら、不安そうに立って待っていました。マリアが赤ちゃんに、寒かったでしょう…と声を掛けながらリビングに入って来ました。その横に、ワンモが荷物を持って付き添っていました。二人はスラの横を通り過ぎて行きました。スラはじっとジャギョンが入って来るのを待っていました。ジャギョンがリビングに入って来ると、スラの視線とジャギョンの視線が重なりました。二人はじっと見つめ合います。そして、一歩一歩、歩み寄ります。二人は自然に胸と胸を合わせました。姉妹と分かって初めての対面でした。二人は抱きしめ会いました。二人の目からは涙が零れ落ちていました。ワンモとマリアがその様子をじっと見つめていました。スラはジャギョンに、お姉ちゃん…ごめんなさい…と言います。ジャギョンは、声を詰まらせて、唯首を振ることだけしか出来ませんでした。そして、やっとの思いで、妹がいる友達が…うらやましかったわ…と言います。その顔には笑みが浮かんでいました。スラも、私もお姉さんがいる子が…と、後は言葉になりませんでした。


スラは、ベビーカーに乗せられている甥っ子を物珍しそうに見つめていました。そして、指で甥っ子のホッペタを触ろうとしました。側にいたマリアが、起きちゃうわよ…と注意します。すると、満面の笑顔でマリアを見ながら、可愛い…と言いました。マリアは、自分の子どもはもっと可愛いわ…と言って笑いました。

 ジャギョンは、寝室で布団の上に座って物思いにふけっていました。その表情は硬く、不安に満ちていました。まだまだ、疑心暗鬼が続いているようでした。そこへワンモが入って来ました。ジャギョンはワンモに座って…と言います。ワンモはおどける様に、はい、奥様…と言うと、ジャギョンの真正面に座りました。ジャギョンは不安そうな表情で、正直な気持ちを聞かせて…今は…私に気を使って…自分の気持ちを出していないんでしょう…と聞きました。ワンモは真剣な表情で、そんな事はない…俺がどれだけ嬉しいか?…独り言の毎日だったから…と答えました。それでもジャギョンは不安そうに、人の気持ちは…みんな一緒だと言うでしょう…数カ月後に…私、離婚されるの?…と聞きます。ワンモは、ジャギョンの目を見つめながら、なぜ…と聞き返しました。ジャギョンは言い辛そうに、愛相を尽かしたから…と言います。ワンモは、誰に?…と聞き返します。ジャギョンは答える事が出来ませんでした。ワンモは静かに、意味は分かるけど、それはない…俺は、お前に面目なかった…事実を知って…母親の愛情を俺が一人占めしちゃって…申し訳なかった…お前にすべて打ち明けて…謝りたかった…と言います。するとジャギョンの目から涙が零れ始めました。

 ワンモは、さらに話し続けます。目のホコリも…お前じゃなく、俺が取ってもらって…童話を読んでもらって…捻挫したら…マッサージをしてくれた…すべて、お前に注がれるはずの愛情だった…俺が幸せだった時…お前は苦労を…俺が勉強しているとき…お前は、思いメイクバックを持って走り回っていた…本当に…すまない…と言いました。ジャギョンは、ワンモを見つめながら黙って首を横に振りました。涙が止めどなく頬を流れ落ちていました。ワンモは、一生…大事にしながら…お前に償う…と言いました。ジャギョンは、一種の…責任感で…私の側に?…と聞きました。ワンモは、真剣な表情でジャギョンを見つめながら、そうじゃないのは分かるだろう…と答えました。ジャギョンは頷くと、責任感だとしても構わないわ…離婚届を持ってきたら…破いてやる…私…絶対に…別れないわよ…イヤだから…もう私は一人じゃないの…私たちの…子供に…寂しい思いはさせたくない…と言いました。ワンモはジャギョンを抱きしめます。そして、離婚何か考えるな…別れないぞ…お前が別れようと言い出したらと…心配していたんだ…逃げたら、地球の果てまで追い掛けるぞ…結婚の前に言っただろう…同じ船に乗って…船が難破する危機に見舞われたら…一緒に乗り越えようと約束しただろう…この程度で離婚だと?…ふざけるな…と言いました。ジャギョンは、ありがとう…と言いました。ワンモは、こっちの台詞だ…と答えました。二人は、体を離して見つめ合います。ジャギョンは、泣き笑いの表情で、世の中で…私が一番幸せだと思う…と言いました。ワンモも頷きながら、俺もだ…二人で、俺達の息子を…幸せに育てよう…なあ…と言います。ジャギョンは笑みを浮かべながら頷きました。ワンモは手で、ジャギョンの頬の涙をそっと拭いて遣りました。そして、まったく…こんなによく喋るのに…辛くなかったか?…と聞きます。ジャギョンは、ただ微笑むだけでした。ワンモはまた、ジャギョンを抱き寄せました。二人とも幸せそうに抱きしめ合っていました。


 ジャギョンが、ワンモの家に帰って来て一週間がたちました。ジャギョンとワンモは、ワンモの運転する車で、ヨンソンの入院している病院にお見舞いに行きました。ジャギョンは、ワンモに支えられながらゆっくりと廊下を歩いていました。ジャギョンの脳裏には、ヨンソンとの思い出が蘇っていました。店でヨンソンに初めてメークをする映像が…その時突然、ヨンソンが泣きだした姿が…ヨンソンが両手でジャギョンの手をさすりながら見つめてくれた時の姿が…登山に行って一緒に写真を撮った時の姿が…ジャギョンが入院した時に、優しく看病をしてくれたヨンソンの姿が…何時しかジャギョンの目から涙が零れ落ちていました。

 ジャギョンは、ヨンソンの病室の前に来ると立ち止りました。ワンモがドアを開けようとするとジャギョンは、待って…と言います。そして後ろを向くと、涙を手で拭きました。ワンモは心配そうにジャギョンに寄り添いました。その時、部屋から付き添いの伯母さんが出て来ました。伯母さんはワンモに、こんにちは…と挨拶をしました。ワンモは、一人ですか…と聞きました。伯母さんは、はい…お祖母様が来てました…と答えました。

 その時ヨンソンは、ベッドの上で体を起こして、じっと何かを考えているようでした。ジャギョンとワンモが部屋に入って来ても、暫くは気付きませんでした。ヨンソンがふと入口に目をやると、そこには涙を流しながらヨンソンを見つめて立っているジャギョンの姿がありました。ジャギョンは何も言わずにゆっくりと歩み寄りました。ヨンソンは、そのジャギョンの姿を確りと見つめていました。ジャギョンは、ヨンソンの頭にしている白いネットを触ると、手を下に移して頬にも触りました。ジャギョンはベッドに腰を降ろすと、そっとヨンソンに近づき抱きしめました。二人のすすり泣く声だけが聞こえていました。ジャギョンは、心の中でママ…と言いました。ヨンソンも心の中で、私の娘よ…と言います。ジャギョンは、温かいわ…とても恋しかったわ…と言います。ヨンソンは、あなたも、ついに母親になったわね…と、二人の声なき会話が続きました。そしてジャギョンは、ついに言葉を発しました。ママ…ママ…と、するとヨンソンも泣き声で、ジャギョン…ジャギョン…と呼びました。ジャギョンが、ママ…と言うとヨンソンが、私の娘よ……ジャギョン…と答えました。ワンモは、二人の姿を黙って見つめていました。

 その時、ホンパが部屋に入って来ました。ヨンソンは、ジャギョンと抱き合って頭をなでながら、あなたは、私の娘よ…ジャギョン…と言いながら泣いていました。二人の姿を見つめていたホンパは、居た堪れなくなったのか、遠慮して部屋をそっと出て行きました。ヨンソンとジャギョンは、抱きしめ合って泣き続けました。ヨンソンが、ママを許して…と言いました。


 ベドゥクが、車の中からワンモの家の門を見つめていました。門の横には、行商の果物売りのトラックが止まって客を相手していました。その時、ワンモの家の門が開き、家政婦が子供を背負って出て来ました。ベドゥクの視線が、家政婦に背負われた子供に注がれました。家政婦は、行商のトラックの前に立つと、果物を手に取って匂いをかいでいました。ベドゥクは、自分の初孫を一目見ようと車から降りて歩み寄りました。しかし、マリアが門から出て来ると逃げるように物影に隠れました。マリアは、家政婦に歩み寄ると、スイカも…と言います。家政婦は、マリアに、はい…と答えると、行商の叔父さんに、スイカもくださいと言いました。マリアが家政婦に、子供を…と言うと、家政婦は、子供をおんぶする帯をほどいて、お祖母様よ…と言います。マリアは、子供が落ちないように大事に手を添えながら受け取り、よしよし…と言いながら抱き抱えました。ベドゥクは、その様子を遠目から羨ましそうに見つめているだけでした。ベドゥクは、寂しそうに車に乗りました。

 イリはスラに、二年待ってて欲しいと伝えていましたが、二年も待たずにスターになっていました。一時期のチョンハのように、出迎えのファンが大勢待ち受けていました。これで、大威張りで、スラと結婚が出来そうでした。

 ワンモとジャギョンは、ワンモの漕ぐボートに乗っていました…バースデーケーキに蝋燭を灯し、仲良さそうにボートを漕いでいました。…ワンモが、神様…私は愛する者と…末永く…健やかに…離れることなく…山が無くなり、川が干からびても…冬に梅雨が来て、夏に雪が降っても…天地が一つになっても…私は愛する者と別れません…と心の中で誓いました。最後に、ボートを漕ぎ止めると、ワンモとジャギョンがバースデーケーキ越しにキッスをするシーンで、この物語は終わりを告げました。

 ジャギョン・ワンモ・マリア・スラ・イリ・二人の息子…それぞれが幸せになっていました。ヨンソンとホンパ、そしてランシルは、エンディングには出ていませんでしたが、ジャギョンやワンモの性格からして、それなりに幸せに暮らしていると思います。ただ、ベドゥクと意地の悪いイリの双子の妹イェリだけは、寂しい人生を送っているようでした。

 長々とあらすじを書きましたが、CM抜きの50分ドラマ、全85話という、現代の日本では考えられないような膨大なドラマでしたのでお許しください。最後の方は、ついついセリフを起こし過ぎてしまいました。申し訳ありませんでした。



 このドラマを見終えて、最初に思った事は、ああ…面白かったの一言でした。韓流ドラマらしく、ハラハラドキドキの連続でしたが、最後には、家族全員が、それぞれ治まるところに収まって、溜飲も下がって、めでたしめでたしのドラマでした。しかし、よくよく考えてみると、これが韓国文化だ、という前提で見ていたから面白かったのだと思います。日本人の私には、こんなに重たく考えるべき事なのかと、どうしても思わざるを得ませんでした。もっと、気楽に考えるべきではと思いました。私は、日本と韓国は、同じ儒教をベースにした、考え方の近い国と思っていましたが、これが日韓の違いかと、まざまざと思い知らされました。

 確かに、ジャギョンとワンモは、義理の兄妹になるのかもしれません。しかし、血は繋がっていないのですから、結婚しても何の差し支えも無いと思います。形式だけに捉われていては、人間は幸せになれないと思います。仮に、ジャギョンとワンモが、幼い時から兄妹として育てられていたのなら、日本人の私でも結婚は許しません。しかし、そうではないのですから…ジャギョンとワンモは、別々のまったく違った環境で育てられたのですから、赤の他人と言っていいと思います。結婚をした後に知ったことなのですから…その上、母のヨンソンの戸籍に入れる前に、養子に出されているのですから、法律的にいっても、まったくの赤の他人です。ヨンソンが、ジャギョンの母親だと知っているのは、家族や周辺のほんの数人しか知らない事なのですから、黙っていればバレル事は決してないと思います。周辺の者は黙るべき事なのです。ベドゥクのような悪賢い人間こそが責められるべき事なのです。

まあ、よその国の文化ですから、日本人の私がとやかく言うべき事ではないと思いますが、韓流ドラマの秋の童話にも、これと近い事が描かれていました。出産時に産婦人科で赤ちゃんを取り違えられ、中学生になって交通事故に遭い、手術前の血液検査によって、そのことが判明する。兄妹として育てられた二人は、強引に引き裂かれ別々の生活を送ることになりました。大人になった二人は、偶然に出会い、いつの間にか愛し合うようになったのですが、父親に反対され、一度は別れることになります。しかし、どうしても忘れる事が出来ずに、二人は愛し合うという物語でした。そして、兄だった青年の家は裕福で、妹だった女性の家は貧乏でした。この手のドラマが、韓国で視聴率を取るという事は、韓国内に矛盾を抱える考え方があるという事につながると思います。韓国は、儒教の国とも言います。儒教の考え方が、現代にそぐわない部分があるとするならば、改めるべきではないでしょうか。改めるに憚ることなかれとも言います。カトリックでは、地動説を唱えたガリレオを破門しました。それから350年後、過ちを認め、ガリレオに謝罪し、破門を解きました。伝統宗教には、必ず一部分に過ちが見つかるものです。過ちは認めるべきです。認めたからと言いて、伝統宗教全体の価値が下がるという訳はありません。改めるに憚ることなかれです。

ちなみに、日本の法律では、三親等以内の親族(父母・兄弟姉妹・叔父叔母)とは結婚できません。又は直系の親族とは結婚できません。四親等(従兄弟姉妹)から結婚できます。これは、ドラマでワンモがジャギョンに言っていましたね。日本では昔、従兄弟同士で結婚していたと…ただし、現在では従兄弟同士で結婚することは、まずありません。それはなぜか、遺伝の問題です。当り前の事ですが、日本国民は殆どが知っています。遺伝上問題があると…

また、こういうケースもあります。ものまねの三代目江戸家猫八さんの後妻の妹と、三代目の長男で、四代目江戸家猫八(初代江戸家子猫)さんは、結婚をしています。笑い話ですが、子供にお祖母さんと呼ばせるべきか、伯母さんと呼ばせるべきかと迷うと…日本中の誰もが知っている話です。御家族は幸せに過ごされ、御一家で伝統芸能を守り続けられています。

 ところで私は、このドラマで、どうしても納得できなかった事があります。それは、ベドゥクの心変わりです。ワンモに脅かされたからと言って、あんなに豹変出来るものなのでしょうか。ジャギョンを虐めるだけ虐めぬいて…一歩引いて、自分が悪かったと反省するのは理解するとして、血の繋がってもいない初孫を抱きたいという欲求が出るものなのでしょうか…おまけに、遠目からマリアがひ孫を抱く姿を羨ましそうに見るものでしょうか…私には考えられません。それどころか、初孫を見に行くことや、ジャギョンの家に近づくこと自体が、恥ずかしくて出来ない事だと思いました。これが、韓国の人の一般的考え方なのでしょうか。不思議でたまりませんでした。

 それから、このドラマを見て、もう一つ気付いたことがあります。西洋の人から見て、日本人の宗教観には節操がないとよく言われますが、その日本人の私から見て、韓国の人の宗教観には首を傾げざるを得ませんでした。たぶん、ク家の宗教は、プロテスタントのキリスト教だと思います。それは、ヨンソンや家族の言葉に牧師さんという言葉がよく出て来るからです。また、ヨンソンが神様にお祈りする時には、両手を組んで、キリスト教徒がよくするスタイルでお祈りをしていたからです。また、マリアの名前自体が、洗礼名か、聖母マリアから取られたものだと思います。伝統的な韓国の女性の名前に、マリアというような名前は無かったように思うからです。

 そのマリアが、仏教の伝統的な古式の礼拝方式で毎日礼拝をしていました。健康の為とは言っていましたが…スラに至っては、結婚の願掛けにお寺に行って、仏像の前で古式の礼拝を何度も繰り返していました。何と節操のないことか…

また、ヨンソンが遣ったことは、韓国の一般社会では、決して遣ってはいけないことかもしれませんが、ヨンソンが悔い改めているのに、マリアがあそこまで叱りつけることは、決して一般的なキリスト教的考え方ではないと思いました。キリスト教徒ならば、形式よりも中身にこだわると思ったからです。韓国のキリスト教の中には、他の宗教の影響が入り混じっているのだなあと思いました。

 そう考えながらドラマを見ているうちに、ふと思い当ることがありました。統一教会(世界基督教統一神霊協会)も、キリスト教と称していたと…そして、発祥の地は韓国だったと…統一教会の是非は、ここでは避けるとしても、やはり儒教的考え方や、韓国土着の呪術の考え方が、他の宗教に影響を与えているのだなと悟りました。

 最後に、もう一度言います。それでもこのドラマ、「神様お願い」は、本当に面白かったですよ…長かったけど、飽きることなく見させてもらいました………