私が韓流ドラマを見始めたのは「宮廷女官チャングムの誓い(大長今)」からでした。それまでは、「冬のソナタ」で韓流ブームが起きていても、何で今さら韓国のドラマを見なければいけないのと嘯いていました。ではなぜ、私が韓流ドラマを見始めたのか…それは偶然の出来事でした。
「宮廷女官チャングムの誓い」が、NHKの地上波で深夜に放送されていた頃、私は母の介護の真っ最中で、朝から晩まで忙しい毎日でした。もともとテレビ時代の申し子のような私ですから、ドラマやニュース、歌番組などテレビをつけ流し、時計代わりにしていたのですが、母を寝かせつけてホッと一息ついた時、テレビから「宮廷女官チャングムの誓い」が流れて来たのです。最初は、ふざけるなとばかりに、チャンネルを変えたのですが、何分にも深夜の為に、私の好みの番組は有りませんでした。仕方なくチャンネルをNHKに戻して「宮廷女官チャングムの誓い」を見始めました。すると次第にドラマに引き込まれ、韓国の衣食住や考え方に懐かしさや物珍しさを感じ、以後も毎週見続けて、いつの間にか韓流ファンになってしまったのです。きっと日本人の心の底流に儒教の考え方が潜在しているからだろうと思いました。それ以後「チェオクの剣(茶母)」「春のワルツ」…と見つづけることになり、母の介護を卒業してからは、テレビだけでは飽き足らず、パソコンを買って無料動画サイトの「Gyao!」で、見るようになりました。今では立派な韓流ドラマウォッチャーになってしまいました。
韓流ドラマは面白い、映像も音楽も好い…だけど現代の日本人にはちょっと灰汁が強いかなとも思います。いつも奇跡のような偶然が付きまとい、視聴者は、そのあり得ない夢のような設定を前提にして、視聴するから面白く感じるのかも知れません。また、恨み辛み妬みのオンパレードで、これでもかこれでもかと必要に迫って来る。一・二作品を見るのには良いが、何作品も見つづけると、そのドギツサが、日本人にはうんざり感を与えて嫌になって来る。「女人天下」などはその典型的な作品の様な気がします。イ・ビョンフン監督の作品(宮廷女官チャングムの誓い、イサン、トンイ、馬医…)が日本で受けるのは、韓流ドラマにしては、そのドギツサが少ないからかも知れません。
日本にもテレビの草創期時代には、韓流ドラマに良く似たドラマが視聴率を稼いでいました。船場・堂島・あかんたれ・細うで繁盛記・どてらい男…花登筐の世界です。しかし、高度成長の時代に日本の文化はアメリカナイズされ、これらのドギツイ作品は、いつの間にか消えて行きました。だからと言って、底辺から這い上がる立身出世の物語が否定されたわけではありません。NHKの連続テレビ小説「おしん」などは大ブームを惹き起し、つい最近のTBSの「半沢直樹」では、現在では死語ともなっていた「土下座」が流行語となりました。日本人の底流に流れる血は変わっていないことを証明しています。ただし、日本人のアイデンティティは、西欧文化と混ざり合って進化しているのも事実です。
韓流ドラマを見て、財閥の家族の「恋愛と結婚は違う…身分違いの結婚はさせられない…」などの台詞を聞くと反吐が出て来ます。まるで朝鮮王朝の両班が奴婢に言う言葉、あるいは江戸時代の武士が町人に言う言葉のようにも聞こえます。財力や地位が、人を分け隔てするのか…時代錯誤も甚だしい…と言いたくなります。もし、現在の日本の上流階級の人たちが、こんな発言をしたならば、世間から袋叩きに会うことは間違いありません。韓流ドラマを見ていると、似ているようで両国の違いが良く分かります。
ところで、インターネットで面白い記事を見つけました。Record China(日本最大の中国情報サイト)に掲載された記事です。(日韓関係を中国の報道機関が報道することも面白いことですが…)
日韓関係悪化で韓流ブームは終わり迎える?―日本メディア
配信日時:2013年11月27日 12時14分
2013年11月25日、日本メディアの報道によると、日本の「韓流ブーム」は、NHKが放送した韓国ドラマ「冬のソナタ」の大ヒットがきっかけとなったが、その同じNHKが先ごろ、「韓流ブームは終わったのか?」と題した番組を放送し、話題となっている。環球時報(電子版)が伝えた。
話題を呼んだのは、NHKのニュース解説番組「時事公論」。番組のテーマは「韓流ブームを振り返り、日韓関係を予測する」というもので、韓流ブームにより日韓両国の相互理解、とりわけ日本人の韓国人理解に大きくつながったと指摘。韓国を訪れる日本人が10年で2倍に増えたことや、NHK放送文化研究所の2010年の調査で「韓国が好き」と答えた日本人が62%に達したことなどを紹介した。
番組では続けて、韓流ブームの勢いに陰りがみられるとして、日本のシンクタンク・言論NPOが2013年5月に発表した「第1回日韓共同世論調査」の結果を紹介。同調査によると、韓国に対する印象を「良い」と答えた日本人は3割にとどまった。番組の解説委員は、「在日特権を許さない市民の会」の活動が始まってから日本に「嫌韓」現象が起きつつあるとした上で、「日韓両国首脳が新しい政権になってから正式な形で会っていないのは異常な事態だ。両国民が協力し合う良いパートナーになるには、国民一人ひとりが行動を起こさなければならない」と締めくくった。(翻訳・編集/NY)
残念ながら、私は「持論公論」を視聴していなかったので、番組の内容は分かりませんが、おそらくこの記事に書かれている通りだと思います。日本人は、韓流ブームによって韓国が好きになっていた。これで今までのいざこざを払拭して、仲良くなれると思っていたはずです。しかし今では、真逆の嫌韓ブームの真っただ中です。その最大の原因は何か?私は、当時の李明博韓国大統領の突然の竹島(独島)上陸と天皇陛下に対する謝罪要求をしたことにあると思います。韓国の政治家は、内政に問題を抱えている時に、日本を攻めれば矛先をかわせると思っているようですが、攻める相手を間違ったのです。よりによって日本で一番のリベラリストといわれる天皇陛下を攻めるとは…この事で日本国民の嫌韓に対する箍が外れたのだと思います。以前なら嵐が通り過ぎるのを待っていた日本政府が、堪忍袋の緒が切れたとばかりに、日韓通貨スワップ協定の期限延長を取り止めました。このような反撃は、私の記憶では初めての事でした。こうなるとマンネリも重なって、韓流ブームが先細りになるのは仕方のないことだと思います。NHKですら、地上波の枠が五月で打ち切りが決まったそうです。
私が韓国に望むことは、G20入りもした事だから、もう少し大人になって欲しいということです。韓国にも言い分はあるでしょうが、日本にも言い分はあります。だからと言って泥仕合をしても仕方のないことだと思います。一つが駄目なら全てが駄目になるでは、未来への展望が開けないと思うのですが…
先日、オーストラリアが国際司法裁判所に提訴していた調査捕鯨の問題で、日本はオーストラリアに敗れました。クジラを食べるという食文化の危機が訪れています。しかし、その数日後、日本はオーストラリアとEPA経済連携協定を結びました。韓国ともこんな関係に成れたならと思うのですが…その為にも韓流ドラマやKポップの果たす役割は大きいと思います。ブームとは何時か消え去るもの、マンネリ化したものではなく、本物の韓流ドラマやKポップを視聴したいと思っています。
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