2012年9月13日木曜日

NHKドラマ「陽だまりの樹」第7回コロリと安政の大獄を見ました

 冒頭から回想シーンが流れています。良庵の声でナレーションが流れ始めます。「西郷吉之助と親しくなった万二郎は、派閥抗争に巻き込まれ、警護役を解かれてしまう。その頃、将軍家定公の病状が悪化した。その治療の手掛かりを見つけるが、しかし、時の流れは止まらなかった…ついに江戸に種痘所は開設された。」と…そして、万二郎が「俺も負けてはいられん…」と言います。ナレーションは続きます。「安政五年(1858)六月十九日、日米修好通常条約が結ばれた。」と…

 万二郎と西郷は、竹林の中の道を歩いていました。西郷は「伊井掃部頭は、朝廷の御許しも得ぬまま、勝手に条約を結んだ…」と言います。万二郎は「そんな事が許されるんですか…」と聞きます。西郷は「許されるはずがなか…我が殿も水戸様も御怒りじゃ…じゃっどん、城は今や伊井殿の天下だ…お世継ぎも慶福様に決まり、もはや我々は手も足も出ん…伊武谷どん、薩摩にこんか…」と言います。万二郎が「薩摩に…」と聞き返すと、西郷は「一緒に戦わんか…」と言います。万二郎は「戦うってどういうことですか…」と聞きます。西郷は「ここだけの話じゃが、殿は兵を上げるおつもりじゃ…」と言います。万二郎は、思いつめた表情で「幕府と戦をする気ですか…」と聞きます。西郷は「伊井殿を追い落とす事が狙いだ…薩摩が兵を上げれば、そいに付いてくる藩もある…朝廷も後押ししてくれるだろう…伊井殿を追い出したら、いよいよ幕府の改革だ…どげんか伊武谷どん…薩摩に来れば、新しい道が開くっど…ここらで一歩踏み出して見るのもおはんの為に成るっち思うが…時が来たら知らせる…それまでに、腹を決めちょってくれ…」と言うと、西郷は万二郎の肩を軽く叩いた後、立ち去って行きました。万二郎は、西郷のあまりの言葉に返事をする事が出来ませんでした。

 万二郎は市中を歩きながら、西郷から聞かされたことを考えていました。そして、独り言を言います。「薩摩、新しい道か…」と…その時、万二郎の目の前で、町人の男が行倒れになりました。万二郎は、行倒れの男に駆け寄り「おい、おい…大丈夫か…」と声を掛けました。

 良庵は、近くの長屋に往診に来ていました。良庵は苦痛な表情で「これは、コロリだ…」と言います。良庵の診察を家の外から心配そうに見ていた長屋の住人達は驚いて「みんな死ぬぞ…」と言うとその場から立ち去りました。

 ここで良庵の声でナレーションが入ります。「その年、長崎で発生したコレラは、あっと言う間に北上し、ついに江戸を襲った…」と…

 良仙の屋敷には、大勢の患者でごった返ししていました。おなかも懸命に看護をしていました。その時、声がしました。「先生、良仙先生、先生…」と、患者の様子を見ていた良仙は立ち上がり、声のした方へ向かいます。その良仙とすれ違ったおせきは、良庵が診察している部屋へ行きました。

 良仙は、玄関先に寝かされている患者の前に座っていました。町人の男が良仙に「どうですか…」と尋ねると、良仙は診察を始めました。そして暫くして、良仙は町人の男を見ながら「もう、死んでおる…」と言いました。

 万二郎は自宅に戻り戸を開けて「只今戻りました…」と言います。おとねから何の返答も無かったので、万二郎は不審に思い「母上…」と言いながらおとねに歩み寄りました。おとねが苦しそうな表情をしているのを見て万二郎は「いかがされたのですか…」と尋ねます。おとねは、右手で火鉢にもたれかかりながら、左手で腹を押さえて「なんだか、気分が悪くて…如何したの…」と苦しそうに言うと、突然吐き気をもよおしたのか口に手を当てて立ち上がり台所へ駆け込んで吐き始めました。驚いた万二郎は、おとねの後に付いて行き「母上…」と声を掛けました。

 ここで、「陽だまりの樹」第七回~コロリと安政の大獄~の字幕が流れます。

 

 良庵が万二郎の家に往診に来て、おとねの診察をしていました。万二郎は、心配そうにその様子を見ていました。そして、押し殺した声で良庵に「コロリか…」と尋ねます。良庵は、重苦しい表情で「ああ…」と答えました。そして、万二郎の方を振り返り「家に運んで診て差し上げたいんだが、今、一杯なんだ…この町内だけでも二三十人はコロリに掛かっている…」と言います。介添えに来ていたおせきが、悲壮な表情で「私がついています…」と言います。万二郎は「おせき殿が…それは駄目だ…あんたにうつったら…」と言います。おせきは「治療所で患者さんを診ていました。うつる者ならとっくに写っています…」と言いました。良庵は「よし、湯をじゃんじゃん沸かせ…それから、ありったけの塩を用意するんだ…」と言います。すると、苦しそうな声でおとねが「水は…お水は毒だって…」と言います。良庵は、おとねに視線を合わせて「それは迷信です。湯ざましをたっぷり飲ませ、塩をうんと食べさせる…これは緒方洪庵先生の療法です…今できる事は、それしかありません…」と言いました。万二郎は、おとねを見つめながら「母上、大丈夫…きっと良くなります…」と言うと、立ち上がり、良庵の指示に従いました。

 そこへおつねが慌てて駆け込んで来ました。おつねは良庵に「あなた、お母様が…」とおなかの異変を告げました。

 おなかは座敷に寝かされていました。おなかの横には、良仙が正座をして見守っていました。そこへ良庵とおつねが駆けつけると、良庵は、おなかの枕元で「母上…」と声を掛けました。おなかは、心配掛けまいと笑みを浮かべながら「医者の女房が、コロリに掛かっちゃせわないね…」と言います。良庵は、首を振りながら「大丈夫…母上はコロリごときに負けるような柔な人ではない…」と言います。おなかは「ああ、御棺の値がバカ上がりしているらしいから、今のうちに買って置いた方が得ですよ…」と言います。すると良仙が笑みを浮かべながら「馬鹿な事を言うな…お前は断じて死なせん…死ぬ時はわしも一緒じゃ…」と言います。おなかは、笑みを浮かべながらも苦しそうにしていました。

 行燈が灯されていました。おなかが寝ている側で、良庵は正座をしておなかの様子をじっと見ていました。その時、縁側で物音がするのに気付いた良庵は、障子を開けて縁側に出てみると、女中が紐で八つ手の葉を吊るしていました。女中は良庵の姿を診ると悲しげな表情で「コロリには、八つ手の葉が効くって…」と言います。良庵は無言で八つ手の葉を取り除くと怒ったように「こんな物は迷信だ…」と言います。しかし、女中の気持ちを理解してか、すまなそうに「悪い…」と言うと、取り除いた八つ手の葉を女中に渡しました。女中は小さく会釈すると直ぐにその場を立ち去りました。良庵はまたおなかの寝ている部屋に入ります。良庵は心の中で「しかし、迷信だとバカにしているが、そのオレ達医者が、何も分かっちゃいないんだから情けねい…」と思いました。良庵は、また、おなかの側に座って、じっとおなかを見つめていました。

良庵は「緒方先生、教えてください…この病の元は何なんですか…医者は、何時になったら治せるようになるんです…」と独り言を言います。その時おなかは、意識が戻っていました。おなかが「良庵…」と声を掛けます。良庵は、おなかに顔を近づけて「なんだい…」と聞きました。おなかは、良庵の顔を見つめながら「私はいいから、他の患者さんを診て差し上げなさい…」と言います。良庵は、思いつめた表情で「でも…」と言います。おなかは「良庵、あんたは医者なんだよ…一人でも多くの命を救うのが、役目じゃないかい…医者として、遣るべきことを遣りなさい…私は、大丈夫だから…」と言うと、布団から手を出して、良庵の手を推し払うようにして、患者の元へ行くように諭しました。良庵はためらいながらも「分かりました。」と言うと、おなかの右手を両手で握って「すぐに戻ります…」と言うと、おなかの手を布団の中に入れて立ち上がり、部屋を出て行きました。

 

万二郎の家では、万二郎とおせきが献身的におとねを看護していました。万二郎がおとねの背中を支えて、おせきがおとねに匙でご飯を食べさせていました。

良仙の屋敷では、良仙が女の患者に湯ざましの水を飲ませていました。隣の部屋では、良庵が別の患者を診察していました。女中も患者の身の回りの世話で、忙しそうに立ち振舞っていました。そこへおつねが、慌ただしく駆け込んできて「あなた来て!…お母さまが!…」と大声で言いました。

良庵と良仙、そしておつねが、おなかが寝ている部屋に駆けつけました。良庵は、おなかの側に座ると「母上…」と声を掛けます。しかし、おなかの反応はありませんでした。良庵は思いついたように「そうだ…キニーネだ…父上、キニーネを…」と言います。良仙は、落ち着いた表情で「緒方先生の療法は、すべて為したわい…」と言います。良庵は、動揺した表情で「他に何か無いんですか…」と言います。良仙は、少し叱りつけるように「ジタバタするな良庵!…人事を尽くして天命を待つ…遣るべきことはすべて遣ったわい…」と言いました。

その時、おなかの目が開きました。それに気づいたおつねが「お母様…」と呼び掛けます。良庵も「母上…」と呼び掛けました。良仙が身を乗り出すようにして「おなか、確りしろ…みんなおるぞ…」と、優しく呼び掛けました。おなかが「あ、あなた…」と言うと、良仙は「うん、何だ…」と聞き返しました。おなかは「楽しかった…ありがとう…」と言います。良仙は、涙で顔を歪めながら「うん…」と答えました。おなかは「良庵…」と呼びます。良庵は、涙を堪えながら「はい…」と答えました。おなかは「立派な…医者に…なっておくれ…」と言いました。おなかの目からは、一筋の涙が流れ落ちていました。良庵は何も答える事が出来ずに、涙目でおなかを見つめていました。おなかは目を瞑り、それ以上何も言う事が出来ませんでした。良庵が「母上…」と涙声で呼び掛けます。良仙は「おなか…わしには掛け替えのない…この世で一番の妻じゃった…」と言います。おつねは、ただすすり泣くばかりでした。その時、女中の「先生、お願いします…」と言う声が、診察室の方から聞こえて来ました。良仙は、手ぬぐいで涙を拭くと「おつね、後を頼むぞ…」と言います。そして、まだすすり泣いている良庵の肩を叩いて「良庵、来い…」と言いながら立ち上がり、一人先に診察室の方へ向かいました。良庵も手で涙を拭きとると、ふっきるように「はい!…」と言います。そして、後ろ髪を引かれる思いで部屋を飛び出して行きました。二人がいなくなった部屋では、おなかの遺体にすがりつくようにして、おつねが泣き崩れました。

 

 

申し訳ありません。ビデオを消してしまうという大失態を犯してしまいました。本当に申し訳ありません。たぶん、将来地上波でもう一度「陽だまりの樹」は放映されると思います。この続きは、その時あらためて書くつもりです。引き続き第七回以降は書くつもりですのでよろしくお願い致します。本当に申し訳ありませんでした。

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