韓流ドラマ「秋の童話(11~15回)」を見ました
実に悲しい物語です。田舎の病院で、同じ日に生まれた二人の女の子が、まだ、物心のつかない幼い兄ジュンソの悪戯によって、掛けられていた名札が落ちてしまいます。落ちていた名札に看護婦が気づくのですが、名札を掛け直すときに間違えてしまいます。ここから二人の運命が大きく変わって行きます。
11-12回
日本ならば、ウンソとジュンソを結婚させても何の不思議もない事だと思います。血縁関係は無いのだし、戸籍も別々だし、何よりも本人たちの責任でこの様なことになったのではないのですから、多少の違和感はあるかもしれませんが、お互いが好きあっているのならば仕方のないことだと思います。親たちも、引き裂かれた子どもが嫁として返ってきたと思えばいいのですから…お互いの家どうしが、本当の親戚になれるのですから…でも、韓国では、道理に反するようです。ここに韓国と日本の文化の違いがあるのかもしれません。原則を頑固に貫く韓国と、柔軟に丸く治めようとする日韓の違いかもしれません。
世界中から非難されても、ウンソは僕が守ると言っていたジュンソですが、婚約者のユミが二回も自殺未遂をすると、ウンソとユミとの板挟みになり、ウンソを愛しているのにユミを取らざるを得なくなってしまいます。心根の優しいウンソは、ジュンソの心を理解して、何も言わずにジュンソの前から去って行きます。自分の存在がすべてを狂わせたと思いながら…
ウンソは、ユミが最初に自殺未遂を起こしたときに、ジュンソとの待ち合わせの場所で、一日中寒空の下で待っていたせいか体調を崩して、職場(テソクの部屋)で倒れます。テソクはウンソを抱えて車に乗せて病院に連れて行こうとするのですが、その前にジュンソにウンソが倒れたのでいまから病院に連れて行くと電話で知らせます。
話を聞いたジュンソは、表情を一変させて黙りこみます。テソクはジュンソの側にユミがいることに気づいて、電話を切りウンソを病院につれて行きます。
ユミはジュンソの表情が一変したことで、何かが起きたことに気づき、不安になり、私が寝付くまでそばを離れないでといいます。ジュンソは、心の中ではウンソのもとへ駆けつけたいと思っているのですが、ユミとの板挟みにあいタバコをふかしながらじっと耐えていました。しかし、堪らなくなり車に乗ってアトリエを出て行きます。ジュンソは病院に駆けつけずに、あの日待ち合わせていた、海のそばの公衆電話の近くにあるベンチで、一晩中座っていました。
ウンソは、医者の話では過労だろうということでした。テソクが医者に必要に病状を聞くと、医者は検査の結果を見てみないと詳しいことはわからないと言われます。あくる日テソクはウンソを自宅に送り届けます。
病状が回復したウンソはいつもどおりにテソクの部屋を掃除していると、テソクからユミが自殺未遂をしたことについて聞かれます。そしてテソクはウンソとジュンソが別れたことを知り、結婚しようと想いをウンソに伝えます。
二人の母親は、ウンソとジュンソが別れたことを知り複雑な思いでした。ユン教授(父)はジュンソのアトリエを訪ね、別れてくれて嬉しい、時間が解決してくれると言いますが、ジュンソは、ウンソのことが忘れられない…忘れる方法を教えてくれと言います。
そんな折にジュンソはウンソの働くホテルで個展を開くことにします。個展の打ち合わせが終わると、ジュンソはウンソの上司の女性マネージャーに、「あなたには愛を貫いてほしかった…なぜ、わざわざここで個展をするの…失望した…」と言われます。ジュンソは、「失望したと言われて嬉しい…誰もそう言ってくれない…」と言います。
ジュンソは、個展の打ち合わせの帰りに偶然に商店街でウンソと会います。ウンソは、テソクとよりを戻したと嘘をつきますが…ジュンソはウンソが嘘をついていることに気づいていました。ウンソもジュンソのいたたまれない気持ちに気づいていました。お互いがお互いの気持ちを理解して、ただ涙を流していました。
テソクはウンソが、ジュンソを安心させる為に、自分とよりを戻したと言ったことに、おれの気持ちはどうなると腹を立てます。そして個展のオープニングに無理やりウンソを連れて行き、恋人のふりをしてジュンソに見せつけます。ジュンソはウンソと二人で話がしたいと言って会場の外で話をしていると、ユミとユミの母親に見つかり二人はなじられます。そこへテソクがやってきて、ウンソをその場から連れ出します。ジュンソは自分がなじられることは我慢できるのですが、ウンソがなじられたことに我慢できなくなり、想いを爆発させてその場を立ち去ります。
ウンソは、バス停でバスを待っていると気分が悪くなり、しゃがみ込みます。そして気付いたときには鼻血が出ていました。ウンソが病院に行くと、病院側もウンソを探していたようで、検査の結果があまり良くないことを伝えられます。そして診察室で主治医に遺伝性の白血病と伝えられます。
実に悲しい物語ですね…二人の人間性が素晴らしいだけに、なおさら悲しくなりました。
三つ子の魂百までと言いますが、シネがもう少し優しい人間だったらと思います。小さいときに、あの環境で育てられれば仕方がないのかもしれませんが、シネがウンソを目の敵にしなければこうはならなかったのだと思います。
それと父親のユン教授にも責任があると思います。血のつながったシネが、あの環境で生活することに耐えられなかったのでしょうが、いきなり子どもを取り換えるというような乱暴なことをせずに、お互い行き来しあって、少しずつならしながら親戚づきあいをすればよかったのに…結局ウンソを捨てたのはユン教授だったのだと思います。その上、捨てたウンソに娘としての道理だけを求める身勝手な考え方は許せませんでした。血縁も戸籍も赤の他人なのに、なぜ結婚させないのか…理解に苦しむとしか言いようがありませんでした。
13‐14回
白血病と分かったウンソは養母に会いに行きます。養母はウンソの顔色を見て病気と気付き、自分のベットに寝かせつけます。
ウンソはジュンソのアトリエに行くのですが、ジュンソとユミの会話「あと二ヶ月でアメリカに行くんだから…」を聞き、ジュンソに会わずに帰ります。
ウンソは、またいつものようにホテルで働き始めます。そして、テソクの部屋に、ジュンソの個展に行く為に買ってもらった服をクリーニングして掛けておきました。テソクはそれを見て失望します。ウンソはホテルでテソクに会うと「この前はありがとう、演技だとは気付いていないようだった…」と言います。テソクは「どこまでオレを傷つければ気が済むんだ…」と言ってウンソに怒りをぶっつけます。
あくる日、ウンソは突然ホテルを解雇されます。解雇されたのは、テソクが命じたと分かったウンソは、テソクの部屋に行って「どうして突然解雇したの…解雇しないで…」と言いますが、テソクは「オレを傷つけるだけ傷つけて…お前は金が必要なんだろう…だから、復讐するために解雇した…」と言ってウンソの体を突き放します。そのときウンソは手に持っていた薬の容器を落としてしまいます。
ウンソはテソクに「ええ、お金が必要なの…私を買って…いくらお金を出してくれるの…」というと崩れるようにしゃがみ込みます。テソクは答えることが出来ずに黙っていると、ウンソは気を取り直して部屋を出て行きます。
ウンソは自宅に帰ると、店先で実母に会います。そして「ホテルを辞めてきた…」と話すと、それを聞いた実兄が店の中から出てきていきなり怒り出し「うちはお前の収入だけしか無いんだ…何で辞めてきた…」と言いながらウンソにつかみかかります。実母が中に入って止めようとすると、ウンソは「殴らないで…私は怪我が出来ないの…あざも作れないの…殴らないで…」というのですが、身勝手な実兄はそれでもウンソにつかみかかろうとしました。実母が止めながらウンソに逃げるようにと目で合図しました。ウンソはその場を立ち去りました。
どこに行く当てもないウンソは、ジュンソのアトリエに会いに行きます。ウンソはジュンソの気持ちが分かりすぎて、結局何も言えずに返って行きます。
テソクの部屋をホテルの従業員が掃除をしていると、ウンソが落とした薬の容器を拾います。テソクの薬と思った従業員は、薬の容器をテーブルの上に置いて部屋を出て行きます。薬の容器に気づいたテソクはもしやと思い、薬局で同じものを買おうとしますが、薬剤師に「この薬は抗がん剤ですから、処方箋がないと売られません…」と断られます。テソクはウンソの掛かり付けの病院に行って、ウンソの病状を聞いて、ウンソが白血病だということを知ります。
テソクはウンソに会い「オレにチャンスをも一度くれ…オレが君を守るから…オレに守らせてくれ…」と言いますが、ウンソはテソクを受け入れようとしません。テソクはウンソに「諦めるのか…死にたいのか…」と聞きます。ウンソは「生きたい…」と答えます。テソクは「君の病気が治ったら、君の前から姿を消すから…オレに君を守らせてくれ…」と言ってウンソを説得します。ウンソはやっとテソクを受け入れます。
しかしウンソの心は揺れ動きます。ジュンソのことを忘れようとしても忘れることが出来ませんでした。そしてジュンソのアトリエに会いに行きます。ウンソはジュンソに「半年でいいから私の側にいてくれない…そのあとは忘れるから…」と泣きながら懇願するのですが、ジュンソも涙を流しながら「僕の気持ちは君が一番知っているはずだ…」と答えます。ウンソは「お兄ちゃんの気持ちは分かっています…」と言って帰ります。
ウンソは気落ちしたのか、家に帰る途中に街中で倒れてしまいます。
ジュンソはウンソの様子が気になって、テソクにウンソのことを聞きに行きます。しかし、テソクは何も言いませんでした。その時テソクに、ウンソが倒れたと病院から連絡が入ります。不審に思ったジュンソは誰が倒れたんだと聞きますが、お前の知らない友達だと言って、ウンソのいる病院に駆けつけます。
テソクはウンソがうなされて「先生怖い…助けて…」という姿を見て、自分が守らなければと思います。ウンソの容体が落ち着くとテソクはウンソを自分の部屋に連れ帰り、ベットに寝かせつけます。
テソクはウンソを治療する病院を探します。そして、ウンソを説得してソウルの病院に入院させることにしました。
ウンソは自分を愛してくれた人たちに、病気のことを隠して別れを告げに行きます。
実母には「ソウルの大きなホテルに就職が決まった…しばらく会えない…」と言って安心させます。そして買ってきたコートなどのお土産を渡して「今まで何も親孝行出来なかったから…これで一生分の親孝行ができた…」と言います。実母は不思議に思いますが、ウンソが白血病だとは気付く由もありませんでした。
ウンソはシネにも会いに行きます。そして「ソウルに行くのでしばらくお母さんに会えないので、お母さんの話し相手になってくれ…お兄ちゃんがあんなふうだから、お母さんには私とあなたしか頼る人がいないの…」と頼むのですが、シネは「もう、あの人とは関係ない…」と冷たく言います。ウンソは「あなたのお母さんのこともたのむね…それから今日一日、あなたのお母さんに会わせて…これで最後だから…」と言います。シネは今日は当直で忙しいからと言って冷たく立ち去ります。
ウンソは養母と会い、同じベットで一夜を共にします。「今まで、自分のことで苦労をかけてごめんなさい…」と何度も謝ります。養母も「あなたと暮らせてどんなに幸せだったか…あなたが最初に花を摘んでくれた時のことを今でも覚えている…庭の花を摘んで、よちよち歩きのあなたが持って来てくれた時のことを…幸せだった…」と言います。
ソウルの病院に入院するためにテソクがウンソを車で迎えに来ます。テソクは車の中でウンソに「皆に挨拶は済ませたか…ジュンソに会ったか…」と聞きます。ウンソは「お兄ちゃんには会ってない…」と言います。テソクは車をユーターンさせて、ジュンソのアトリエにウンソをつれて行きます。
ジュンソはユミとジュンソの友人と友人の恋人でホテルのマネージャーの四人でバーベキューをしていました。そこへテソクとウンソがやってきて驚きます。ジュンソはウンソの青ざめた姿を見つめていました。
ウンソはジュンソに「ソウルに行くので挨拶に来た…」と言います。ジュンソは「二人だけで話をしよう…」と言ってウンソを連れて行きます。ユミは心配になってジュンソを追いかけようとしますが、テソクがユミを捉まえて留まらせます。ユミはテソクに「何があったの…」と聞きますが、テソクは「言えない…後でアイツに本当のことが知れたら殺されるかもしれない…」と言います。
ジュンソはウンソに「僕の気持ちは分かっているだろう…」と言います。ウンソはジュンソに「私はずっと待ち続けた…これ以上待ち続けたくない…二人で駆け落ちする…」とうそを付きます。こうしてウンソはソウルの病院に入院します。ジュンソはどうしようもない気持ちを胸に秘めて、辛い毎日を過ごしていました。そんなときに留守番電話から流れてきた。ユミさんの手は回復しましたと言う主治医の声を聞いて驚きます。
やるせないですね!何とかできないものかとつくづく思いました。ウンソの気持ちも分かります。ジュンソの気持ちも分かります。テソクの気持ちも分かります。嘘をついてもジュンソを引きとめようとするユミの気持ちも分かります。でもウンソがかわいそう過ぎます。小さいときに、養母に愛情一杯に育てられたせいか、相手を思いやる癖がつきすぎて、自分の思いは心の中に閉じ込める癖が…悲しいですね…
15回
この日、ユン家では、ユミを交えて家族で食事会をする予定でした。しかし、いつまで経ってもジュンソが返って来ませんでした。ユミは不安で仕方がありませんでした。そこへ、ジュンソが酔っぱらって帰って来ます。ジュンソの荒んだ様子を見て、家族全員が不安を感じていました。ジュンソは、ただ「すみません…」と謝るだけでした。そして、酔って倒れたジュンソは、食事会の料理を台無しにしてしまいます。怒ったユン教授は、その場を立ち去ります。
ユミとジュンソはアトリエに帰ります。
ユミは担当医から電話で、「検査の結果は留守番電話に入れておきましたが、聞かれましたか…」と言われます。ユミはジュンソの荒んだ様子を見て、ジュンソが留守番電話を聞いたことに気づきます。ユミはジュンソに、手が治らないと嘘をついたことを泣きながら謝るのですが、ジュンソは無表情でユミに「手が治ってよかった…」と言います。
ジュンソはユミに「すべての事を過去にするために、二・三日旅行する…」と言って、アトリエを後にします。ジュンソは、ウンソと過ごした思い出の牧場へ車で向かいます。
テソクは、ウンソの看病を懸命にしていました。しかしウンソは、苦痛を伴う検査を嫌がります。テソクはウンソをなだめます。どうにかして、生きる希望を持たせようとしていました。その心がウンソに通じたのか、ウンソはテソクに「苦痛を感じなくなるためのお守りをちょうだい…以前もらったネックレスでいいからちょうだい…お守りにするから…」と言います。テソクはいいよと答えます。
検査前にテソクが持ってきたお守りは、ネックレスではなく指輪でした。それを見たウンソは、少し動揺するのですが、指輪を受け取ると指にはめて検査を受けます。
テソクはウンソに、「仕事があるので二・三日ホテルに帰る…」と挨拶に来ます。そして、「本当に、誰にも知らせなくていいのか…」と聞きます。ウンソは「家族にも、お兄ちゃんにも知らせないで…」と答えます。
テソクは、検査の結果を聞く為に主治医と会います。主治医は「手術をするしかありません…その為には、本人がどう思うとも家族に知らせて血液型を調べなければ…」と言われます。テソクは悩むのですが、ウンソの実家へと向かいます。
あくる日、ウンソは外出の支度をしていました。
ウンソは、心の中でテソクに「ごめんなさい…今日一日は許して…」と言うと、テソクからもらった、お守りの指輪を外して、引出に隠していたジュンソからもらった指輪をつけて病院を後にします。ウンソはバスに乗って、ジュンソと過ごした思い出の牧場へと向かいます。
ジュンソは、ウンソとの思い出に浸りながら牧場で過ごしていました。心の整理をつけて帰り際に、牧場の叔父さんに「二人の道具は処分してください…」と頼みますが、おじさんは「二人の道具はこのままにして置くから、今度また二人で来なさい…」と言われます。ジュンソは、何も答えることができずに牧場を後にします。
ウンソの乗ったバスは、田舎道で離合する為に止まっていました。ウンソは、バスが突然止まったので、不思議に思い前を見ると、対向の乗用車がゆっくりとバスの横を通って行きました。ウンソの目に、ジュンソの映像が映りました。ウンソは驚き、すぐにバスを降りて乗用車に手を振って合図を送るのですが、乗用車は、そのまま行ってしまします。ウンソは落胆したのか、崩れるようにしゃがみ込みます。しかし、しばらくすると乗用車は、バックの状態で戻って来ました。ジュンソは、ウンソに気づいて戻ってきたのです。
ジュンソは車から降りて駆け寄ると、ウンソの腕を抱えて立たせます。そして「ウンソ…」と言うと、ウンソは苦しそうな顔で「どうして…結局、逃れられないのね…」と言います。二人は、思い出の野山を歩き回ります。二人には、幸せそうな笑顔が蘇っていました。ジュンソもウンソも、ジュンソがアメリカに行く前に、「もう一度ここに来たかった。」と言います。
ウンソは「ここに来て、さよならって、お兄ちゃんに言いたかったの…」と言います。ジュンソは「ここで言ったって、僕には聞こえないだろう…」と悪戯っぽく言います。ウンソはジュンソに「そうなの?…お兄ちゃんがどこにいても私の声は届くと思っていた…だからみんなが渡米した後も、毎日話しかけていた…聞こえなかった?」と言います。ジュンソは「聞こえなかった…」と嘘をつきます。そして我慢できなかったのか「嘘だよ…もちろん聞こえていた…会いたいだろうって?…」と言います。ウンソは「うん…会いたいって…恋しいって…毎日行っていた…こうして隣にいても恋しい人だから…」と言います。
ジュンソは「今どこに住んでいるだ…ソウルか?…」と聞くのですが、ウンソは意を決して「そんな話したくない…夢から覚めないままこうしていたいの…」と言うと、ジュンソの肩にもたれかかります。そして「今日だけこうしていて…今日だけ…最初で最後だから…」と言います。ジュンソはウンソを片手で抱きとめながら「今日がずっと……続けばいい…このまま死んでもかまわない…」と言います。ジュンソの目からは涙が流れていました。ウンソは「ダメよ…そんなのダメ…約束したでしょ…私の方が先に死ぬって…お兄ちゃん…私たち…心の中でずっと愛し合おう…心の中でだけ…心の中で愛し合うの…私たちを愛してくれる、ユミさんやテソクを……傷つけないように…偽善かもしれない…それでもいいの…みんな幸せになれるわ…駆け落ちしたって…何もならないから…心だけちょうだい…私の心は…お兄ちゃんだけのものよ…」と言います。ウンソの目からは、とめどもなく涙が流れていました。ジュンソは「僕の心も…お前だけのものだ…」と言います。二人は向かい合い、口づけをかわします。そして抱きしめ会います。
二人はまた歩いていました。しかし、ウンソの体が悲鳴を上げていました。ウンソは思わず座り込みます。ジュンソは「どうした、疲れたのか?…」と聞きます。ウンソはジュンソに心配掛けまいと「ううん…つまづいちゃった…」と言うのですが、もう立ち上がる体力が残っていませんでした。ウンソはジュンソに心配掛けまいと甘えるように「お兄ちゃん、おんぶして…おんぶしてよ…」と言います。ジュンソは嬉しそうにウンソをおんぶして歩きます。ウンソは「お兄ちゃん…愛している…愛している…」と言います。ジュンソは「どうしたんだ…」と聞きます。ウンソは「お兄ちゃんは…ウンソを愛しているって、ほかの人には言うけど…私の目を見て言ったことは一度もないの…」と言います。ジュンソは「本当に?…」と聞き返します。ウンソは「ウンソ愛してる…一度も言われていない…」と言います。ジュンソが「ウンソ…僕は…」と言うと、ウンソが遮るように「ううん…いいの…今じゃなくて、今度聞かせて…また今度…」と言います。ジュンソが「今度っていつ?…次に会ったとき?…」と聞くと、ウンソは「そうね…次に会った時がいい…それまでに練習して…次に会ったら聞かせてね…その時まで私…楽しみに待っているから…待ってる…その言葉を聞く為に待ってるから…」と言います。ウンソは苦しそうでした。しかし、病気を悟られまいと懸命に甘えていました。
二人は、牧場の家に戻り、同じ部屋で背を向けながら一夜を共にしました。お互いの心を抑えながら、なかなか寝付けない夜でした。明くる朝、ジュンソが気づくと、ウンソの姿はありませんでした。
シネは養母スニムの様子を見に来ていました。
スニムは店の仕込みをしていました。シネは何も言わずにスニムの手伝いを始めます。スニムがシネに気づくと「どうしたんだい…今日は会社は休みかい…洋服にしみがつくよ…いいから…」と言います。シネは「変わったわね…昔は私が手伝わないと、よく怒ったのに…」と言います。スニムは、気恥ずかしそうに「何のようだい…」と聞きます。シネはさり気なく「お母さんの事をウンソに頼まれたの…」と言います。スニムはシネを見つめます。シネは「笑わせるは、自分の事もまともにできないくせに…」と言います。スニムは「それで来たの?…」と聞きます。シネは「たまたま近くに来たの…」と強がってみせます。スニムは「市場に行くから、店番頼むよ…」と素っ気なく言います。シネは「買い物なら私が行くわ…」と言って、市場に買い物に行きます。スニムはシネの後姿を見ながら「かわいそうに…ウンソもあんたも…」と言って、溜息をつきます。
シネが買い物に行った後、すぐにテソクがやって来ます。スニムは、テソクの様子が変なことに気づき、「ウンソに何かあったんですか…」と聞きます。テソクは座敷に座って、じっと下を向いてウンソの病気の事を言うべきか考えていたのですが、意を決してウンソが白血病に掛かっていることを伝えます。そしてテソクは「家族に骨髄の検査を受けて欲しいんです…それで来ました…」と言います。スニムは泣きながら、同じ白血病で死んだ夫を怨みます。その様子を買い物から帰って来たシネが聞いていました。
話を終えたテソクがスニムの家を出ると、シネが追いかけてきて声をかけます。
シネはテソクに「本当なの…」と聞きます。テソクはシネの顔を見て「シネ…お前…」と驚きます。シネは「あの子が白血病って…本当に?…テソク、答えてよ…私にも知る権利はあるは…教えてよ…もし本当なら、パパやママ…お兄ちゃんに…知らせなきゃ…」と言います。テソクはシネの目を見て「誰にも言うな…ジュンソには絶対に言うなよ…それがウンソの望みだ…お前も黙っていろ…ジュンソに言ったらただじゃおかない…」と真剣な顔付で言います。
ユミはジュンソの実家に来て、ジュンソが旅行に行ったことを伝えていました。そこへスニムが家の権利書を持ってやって来ます。
スニムは動転した様子で、泣きながら「私にはこれしかないんです…家の権利書です、売っていくらか作れます…でも治療代にはとても足りなくて…主人もそれで死んだんです…どうか娘の為に…」と言います。シネは、テソクとの約束通りに、家族に知らせまいと懸命にスニムを止めようとしたのですが、止めることが出来ませんでした。
養母キョンハはスニムに「どういうことですか?…ウンソに何か?…」と聞きます。スニムは泣きながら「助けて下さい…でなきゃウンソが白血病で死んでしまいます…どうかあの子に手術を受けさせてください…他に頼れる人がいないんです…ウンソは、一度はあなた方の娘だった…どうかあの子を助けて下さい…」と訴え続けました。ユン教授もキョンハも、突然の知らせに驚きます。そしてキョンハは、驚きのあまりに、気わ失って倒れてしまいます。
ユミは自分がどうすべきなのか分からずに、テソクの部屋を尋ねます。
ユミはテソクに「どうしよう…どうしたらいいの…」と聞きます。テソクは鋭い眼差しで一点を見つめて「自分で考えろ…おれだって、どうすべきかで、頭がいっぱいだ…」と言います。ユミは、泣きながら溜息をついて「ジュンソが知ったら…もし知ったら…きっと…」と言います。テソクは「ジュンソに言うな…その方がいいだろう…オレも言っていない…なぜならウンソが望むから…彼女の為だと言い訳しながら黙っている…自分のことだけ考えろ…オレはそうする…」と言います。ユミは「どうすればいいの…」と言って悩んでいました。
あくる日、ユン家のリビングでは、ユン教授とシネとユミが話していました。
シネはユン教授に「病院へ?…」と聞きます。ユン教授は「ああ…一度病院へ行って経過を聞いてくる…ウンソの様子も見て…心配しなくていい…着いたら連絡する…」と答えます。ユミは「私も行きます…」と言うのですが、ユン教授は「いや、まずは私が行って経過を知らせるよ…それから…当分の間ジュンソにはこの事を伏せておこう…」と言います。シネが「パパ…」と不安そうに言うと、ユン教授は「言うとおりにしろ…ウンソの病気の事を知ったら何をしでかすことか…今は刺激しない方がいい…ウンソが少し良くなったら話そう…分かったな?…渡米はもうすぐだ…ジュンソがいてもウンソの為にならん…」と言います。
そこへ、病院に行く支度をしたキョンハがやって来ます。
キョンハは「あなた…よくもそんなことが言えるわね…」と言います。ユン教授は「ジュンソには、何も言うんじゃないぞ…いいな?…」と言います。キョンハはユン教授に失望したような表情で「それ以上言わないで…」と言います。ユン教授は、キョンハを説得するように「おかあさん、ジュンソが知ったらどうなると思う…」と言います。キョンハは「わからないわ…わかるのはウンソが病気だっていうことよ…あの子が死にかけているのに、本当にひどい人ね…それでも父親?…」とユン教授をなじります。ユン教授は立ち上がり「わかったからもう行こう…」と言うのですが、キョンハはユン教授を受け入れず「嫌よ…触らないで…私一人で行くわ…あなたに会う資格はない…」と言って家を出て行きます。残された三人は複雑な表情を見せていました。ユン教授は、頭を抱えて悩みますが、ユミに「ジュンソには絶対に言うんじゃない…わが子を二人も失うわけにはいかん…何があってもジュンソには言うな…」と言います。
スニムとキョンハ、そしてウンソの兄は、テソクの車で病院に向かっていました。
ウンソの兄が「いくらついてなくても、こんなのあんまりだ…」と言います。後部座席では、二人の母がすすり泣きをしていました。スニムは独り言のように「あの子は助かる…きっと助かる…」と言います。それに答えてキョンハも「もちろんよ…絶対に助かるわ…ウンソが死ぬはずがない…大丈夫よ…」といいます。二人の母親は、思わずしっかりと手を握り合っていました。
ウンソは、病院の玄関の前で、テソクが来るのを待っていました。テソクの車が来ると、ウンソは歩み寄って行きます。
テソクは車から降りるとウンソに「お客さんだぞ…」と言います。ウンソがテソクの車を見ると、車から兄と二人の母が降りてきました。ウンソは驚きます。そして「お母さん…」と言うと、二人の母に歩み寄り、手を大きく広げて、二人の母を同時に抱きしめます。三人はしっかりと抱き合っていました。三人の目からは涙が流れていました。
ウンソは病室に寝ていました。二人の母はベッドの横に座って、ウンソを見つめていました。
キョンハはウンソに「すごくつらい?…ウンソ…こんなにやせ細って…しっかり食べなきゃ…」と頭や顔をなでながら言います。ウンソは「うん…ちゃんと食べてるよ…」と答えます。スニムは「痛くないかい?…」と聞きます。ウンソは「うん…ちっとも痛くないよ…」と答えます。ウンソは嬉しそうに微笑んでいました。ウンソの近くに座っていたキョンハは、スニムに遠慮したのか立ち上がり、窓の近くに歩いて行きます。そして「お茶を持ってくるわ…」と言います。するとスニムが立ち上がり「いいですよ…私が行きますから…」と言うと、キョンハの持っていたやかんを取って部屋を出て行きます。
ウンソはキョンハに「お母さんが二人もいるなんて幸せよね…私が“お母さん”って呼ぶと…二人が振り向いてくれる…お母さん…」と言います。キョンハは「なに?…」と聞き返します。ウンソは「お兄ちゃんは、知らないよね?…」と聞きます。キョンハは「ウンソ…」と言います。ウンソは「知らないよね?…」と聞きます。キョンハは、黙って首を縦に振ります。ウンソは、ニコッと笑って「よかった…ホットしたわ…お母さんには心配掛けてばかりね…」と言います。キョンハは「何言うの…そんなことない…」と言います。ウンソが「私に…もし…何かあったら…」と言うと、キョンハは遮るように「ダメよ…ウンソ…そんなこと言わないで…お母さん、あなたがいなきゃ生きて行けない…私も後を追うわ…あなたを一人で逝かせるわけにはいかない…お母さんも一緒に逝くわ…」と言います。ウンソは心配そうな声で「お母さん…そんなこと言わないで…」と言います。キョンハは「ごめんね…ウンソ…もう言わないわ…」と言います。
お湯を沸かしに行ったはずのスニムは、病室のドアの外に座り込んで、ウンソとキョンハの会話をすすり泣きながら聞いていました。
思い出の牧場で、会えてよかったですね。お互いがお互いを引きつけ合っているような気がします。私は、ウンソとジュンソのこの場面が忘れられません。
ウンソは「今日だけこうしていて…今日だけ…最初で最後だから…」と言います。ジュンソはウンソを片手で抱きとめながら「今日がずっと……続けばいい…このまま死んでもかまわない…」と言います。ジュンソの目からは涙が流れていました。ウンソは「ダメよ…そんなのダメ…約束したでしょ…私の方が先に死ぬって…お兄ちゃん…私たち…心の中でずっと愛し合おう…心の中でだけ…心の中で愛し合うの…私たちを愛してくれる、ユミさんやテソクを……傷つけないように…偽善かもしれない…それでもいいの…みんな幸せになれるわ…駆け落ちしたって…何もならないから…心だけちょうだい…私の心は…お兄ちゃんだけのものよ…」と言います。ウンソの目からは、とめどもなく涙が流れていました。ジュンソは「僕の心も…お前だけのものだ…」と言います。二人は向かい合い、口づけをかわします。そして抱きしめ会います。
この二人は、本当に心根が優しいですね。自分達よりも周りの人たちのことばかり考えて…韓国の社会状況もあるのでしょうが、それにしても人間が出来すぎているような気がします。特にウンソの場合は、子どもの頃から二つの家族に気兼ねして生きてきました。きっとキョンハのしつけの仕方が良かったのでしょう。その良家のお嬢様が、どん底の生活に追いやられても育ての母を愛し、産みの母を愛し、兄であったはずのジュンソを懸命に愛する姿は、あまりにも感動的でした。これが韓国の理想を追い求める考え方なのかもしれませんが、日本人の私には複雑な心境になりました。
追記
本当は、「秋の童話」をブログに書く予定はありませんでした。ただ、見ているうちに、回を重ねるごとに、あまりにもいい作品だったので、ブログに記録しておきたくなりました。時間の制約もあり、走り書きになってしまい申し訳ありません。
1 件のコメント:
クドイドラマでした。
コメントを投稿