2011年12月2日(金曜日)の読売新聞に、次のような記事が掲載されていました。
中国、太平洋艦隊創設を
新華社系専門紙
日米に対抗
【北京=大木聖馬】中国国営新華社通信系の国際問題専門紙「国際先駆導報」は1日、「中国海軍は『太平洋艦隊』を創設すべきだ」とする記事を掲載し、空母を核とする艦隊を整備して、日米に対抗するべきだとの主張を展開した。
同紙は、最近の日米の動きについて、「中国海軍を(日本列島-フィリピン諸島の)第1列島線、(小笠原諸島-グアムの)第2列島線を利用した『線の封じ込め』から、幅広い『ゾーン・ディフェンス』で封じ込めようとしている」と分析。「このような『冷戦思考』に基づいた海洋の旧秩序の下では、将来、中日、中米間で海上の摩擦や衝突を避けるのは難しい」と指摘し、「(空母を意味する)大型水上艦艇を核とした強大な艦隊を創設すれば、地域の平和、安定や海洋の公平な秩序を守ることができる」と主張した。
また同紙は、11月下旬に沖縄沖を通過して太平洋に向かった中国海軍の艦艇6隻は北海艦隊に所属し、最強の防空能力を持ったミサイル駆逐艦や、国産の偵察システムを備えた電子偵察船などで構成した「精鋭」部隊だと紹介し、補給訓練や対潜水艦、対艦演習を行う事も明らかにした。
このような記事を読むと、ソ連と中国が入れ替わっただけで、まるで冷戦時代にタイムスリップしたような気分になります。それほどに、現在の中国は軍拡に励んでいます。特に海軍力に…ただ、日本にしろ、アメリカにしろ、中国は経済的なパートナーである事が複雑さを増しています。逆に言えば、中国はそれを利用して、日本とアメリカに圧力を掛けています。
昨年9月に起きた、中国漁船の我が国領海内での違法操業後、停船命令を出した海上保安庁の巡視船に体当たりした事件は有名ですが、その後も中国の漁業監視船が、尖閣諸島沖の我が国領海内や経済水域に出没しています。また、希土類(レアアース)の我が国への輸出を停止するなど、経済的に圧力を掛けています。このような事は、我国の常識では考えられない事ですが、中国では常識化しているようです。これは、尖閣諸島沖だけの事ではないのです。
南シナ海の南沙諸島沖では、漁船・漁業監視船・中国海軍艦船がセットとなって、アセアン諸国と領土問題を引き起こし、制海権を握っています。以前はフィリッピンにアメリカの基地があって、中国も簡単に手を出せなかったのですが、1992年にアメリカの基地が撤退した後は、中国による貪欲な領土拡大が行われています。アセアン諸国の漁民たちは、安心して漁をする事さえもできなくなっています。
今年になってアメリカは、オーストラリアにアメリカ軍の基地を建設する事を発表しましたが、これは中国との軍事バランスを考えての事だと思われます。また、先日、アメリカのクリントン国務長官が、1955年のダレス国務長官以来56年ぶりにミャンマーに訪問したのは、ミャンマー政府に民主化を促進させ、アウン・サン・スー・チーさんを支援する為のものでしたが、それだけでなく中国の覇権主義に楔を打つ為のものだったと思われます。
このような事を考えてみると、我が国は、尖閣諸島を現状のまま放置して好いのでしょうか。沖縄の漁民は安全操業が出来ませんし、尖閣諸島周辺の海底には天然資源も眠っています。無人島のままにして置くと、いつ中国海軍が遣って来て、上陸占領するか分かりません。尖閣諸島に海上保安庁や海上自衛隊の基地を作るべきではないでしょうか。平和惚けした日本では、まさかという事が、国際問題では平気で行われます。
竹島や北方四島を見れば一目瞭然です。
竹島は昔の地図や文献を見ても日本の領土として証明できます。しかし、第二次世界大戦後、日本がアメリカに占領されていた時代に、韓国が勝手に李承晩ラインを引き奪ったものです。アメリカは、サンフランシスコ条約(1951年・昭和28年)を結ぶ際に、竹島を韓国領土とは認めていません。「1905年頃から日本の島根県隠岐島支庁の管轄下にある。この島は、かつて朝鮮によって領有権の主張がなされたとは見られない。・・・・」と言っています。竹島問題について、詳しくは外務省の見解http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/をお読みください。
北方四島については、外務省は次のように言っています。
(1)日本はロシアより早く、北方四島(択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島)の存在を知り、多くの日本人がこの地域に渡航するとともに、徐々にこれらの島々の統治を確立しました。それ以前も、ロシアの勢力がウルップ島より南にまで及んだことは一度もありませんでした。1855年、日本とロシアとの間で全く平和的、友好的な形で調印された日魯通好条約(下田条約)は、当時自然に成立していた択捉島とウルップ島の間の国境をそのまま確認するものでした。それ以降も、北方四島が外国の領土となったことはありません。
(2)しかし、第二次大戦末期の1945年8月9日、ソ連は、当時まだ有効であった日ソ中立条約に違反して対日参戦し、日本がポツダム宣言を受諾した後の同年8月28日から9月5日までの間に北方四島のすべてを占領しました。当時四島にはソ連人は一人もおらず、日本人は四島全体で約1万7千人が住んでいましたが、ソ連は1946年に四島を一方的に自国領に「編入」し、1949年までにすべての日本人を強制退去させました。それ以降、今日に至るまでソ連、ロシアによる不法占拠が続いています
つまり、北方四島は北海道の一部であって、千島列島とは区別されるものなのです。武力によって、不法に占拠されたものであって、我国の固有の領土なのです。
しかし、竹島にしても北方四島にしても、一度占拠されて軍事基地が置かれると、どんなに正当性を主張しても聞き入れられる事はありません。国際司法裁判所に訴える事さえできないのが現状です。尖閣諸島だけでも、今のうちに何とかしておかなければなりません。そうしなければ、またもや我国固有の領土を、今度は中国に占拠される事にもなりかねません。中国は本気です。共産主義とはいえ、遅れて遣って来た帝国主義を現在も貫いている国です。
このような時期に、日本の防衛省は無能さをさらけ出しています。先日の田中聡沖縄防衛局長の発言や、それに関して国会での一川防衛大臣への質問に対して、1995年の少女乱暴事件について「詳細には知らない」と答弁した一川防衛相の見識を欠いた発言が、これを象徴しています。このような時期に、沖縄県民の心を逆なでにするような発言をして、問題がさらに複雑化すると考えなかったのでしょうか。日頃からの防衛官僚の驕りが、非公式な懇談会(オフレコ)とは言え、ポロリと口から出てしまったのではないでしょうか。また、それを収拾しなければならないはずの防衛相が、近年、沖縄での最も重要な事件を国会で詳細には知らないと言って、火に油をそそぐとは、情けない事です。
この問題について、沖縄県議会は次のような決議文を出しています。
<県議会抗議決議(全文)>
去る11月28日、沖縄防衛局の田中聡前局長は、報道陣との懇談会の席で、普天間飛行場代替施設建設事業にかかる環境影響評価書の提出時期について問われたことに対し、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言した。非公式の席とはいえ、沖縄における防衛省のトップである沖縄防衛局長が、このような暴言とも言える、人権感覚を欠いた発言をしたことはまことに許しがたいことである。県民はこれまで、米軍基地があるがゆえに、米兵による少女暴行事件や県民の尊い生命が奪われた事件・事故など筆舌に尽くしがたい苦しみと痛み、人権じゅうりんを戦後66年間も強いられている。
同前局長は既に更迭されたとはいえ、今回の発言は県民感情を逆なでするだけではなく、当該事業の責任者としての認識の欠如を露呈するとともに、女性の人権を無視し、人間の尊厳を踏みにじるものであり、到底看過できるものではない。さらに、政府は更迭直後に評価書を提出すると明言していることも、沖縄に対する配慮に欠けている。
また、一川防衛大臣は、米軍普天間飛行場移設が政治問題化した発端とも言える1995年の少女暴行事件について、「正確な中身は詳細には知らない」と参議院東日本大震災復興特別委員会で答弁しており、田中前局長を更迭した直後の大臣の発言としては、緊張感のなさや、沖縄の基地問題に対する防衛省や国の姿勢が問われるものである。
よって、本県議会は、怒りを込めて、田中聡前沖縄防衛局長の発言に抗議するとともに、任命責任者である防衛大臣の責任を明確にすることを強く要求する。
上記のとおり決議する。
2011年12月2日
沖縄県議会
内閣総理大臣、防衛大臣、内閣官房長官あて
この沖縄県議会抗議決議は、誰が見ても尤もな事だと思います。
これらの一連の問題について、Webでは、田中局長発言を女性侮辱に矮小化 あきらかに日米政府の沖縄蔑視侮蔑、独立を叫べ!http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/ed8ac685de1daf5d7a961650d288638aという意見も出ています。
この様に言いたい気持ちはよく分かります。私も沖縄に対して人種差別をしていると思います。しかし、今の世界情勢では、沖縄が独立しても何も変わらないと思います。沖縄が日本だからこれくらいで済んでいるのだと思います。(地位協定の運用によって、米国軍人等が刑事事件を起こした場合に、その身柄の引き渡しは、何処の国よりも早いと思われます。)それよりも、独立を考える前に、普天間基地の県外移設を徹底的に訴えるべきだと思います。北部九州なら、一体運用は出来るはずです。佐世保でも対馬でも佐賀空港でもいいから移設させろと訴えるべきです。人種差別は止めろと訴えるべきです。
どだい、沖縄に在日米軍の75%があること自体がおかしいのですから…いくら地政学上、沖縄が重要拠点だからと言って、日米政府には、沖縄から米軍基地を減らす努力をする必要があると思います。
佐世保なら、海兵隊を移送する為の艦船もあります。近くには、海上自衛隊大村航空基地もあります。そして、佐賀空港も有ります。少し費用が掛かっていいのなら、対馬でもいいと思います。陸上自衛隊の基地も有りますし、何よりも日本海の要石でもありますから…朝鮮半島や中国・ロシアへのプレッシャーにもなると思います。不沈空母には最適だと思います。
こういう意見を出すと、今までの保守政治家は、沖縄から米軍を引き上げると軍事バランスが崩れ、尖閣諸島問題に悪影響を与える…アメリカの言う通りにしないと、いざという時にアメリカが助けてくれない等とよく言いますが、それは間違っていると思います。本来、海兵隊の任務は、上陸作戦や空挺投下など即応展開などを担当する外征専門部隊なのですから、沖縄を含む日本の防衛には何ら関係ありません。在日米軍と一体運用ができるのならば、何処にあってもいいと思います。だからと言って、私は一部の議員が言うように、グアムやテニアン等の米国領に移すべきではないとも思っています。(アメリカが望むなら別ですが)
なぜなら、アメリカは東日本大震災の時に、我国に対して最大限の支援をしてくれましたが、それは、我国が被災者救済に対して、自衛隊を10万人単位で展開したり、福島第一原発の緊急事態に対して、警察・消防・自衛隊が、自らの命も省みずに、一体になって活動している姿を見て、我国が本気になって、国の存亡に対処していると感じたから最大限の支援をしてくれたのだと思います。防衛も同じ事だと思います。自衛隊や我国国民が、本気になって国を守らなければ、アメリカも本気になって支援してくれないと思います。よって、現在在日米軍が担当している部署でも、自衛隊が引き継ぐ事が出来るものがあれば、段階的に自衛隊が引き継ぐべきだと思います。そうする事が、米軍基地の減少にもつながると思います。
よく、自民党を中心とした政治家が「鳩山元首相が寝た子を起こしてしまった…」と言いますが、その考え方が沖縄県民を差別しているのです。寝たままなら、何でも沖縄に押し付けていいのかという事になるからです。寝た子は何時か起きるものです。
確かに鳩山元首相は非力でした。普天間基地の移転問題も逆戻りしました。しかし、沖縄県民の為に、米軍基地を移転させようとした政治家は、鳩山元首相が初めてでした。その鳩山元首相の足をよってたかって引っ張ったのは、当時の外相・防衛相・沖縄担当相であり、自民党を筆頭とする野党の政治家であり、報道機関でした。始めから有り得ない、出来るわけがないと言って、力を貸そうともしませんでした。これでは難問の普天間基地移転などできるはずがないのです。
はっきり言って、今までの政治家は、選挙区の問題や利権や柵があって、日本本土からは在日米軍基地を削減しても、沖縄の米軍基地を削減する気はないのです。沖縄を日本本土のゴミ捨て場ぐらいにしか思っていないのです。これは大和ちゅによる沖縄ちゅに対する人種差別としか言いようがないと思います。また、在日米軍を侮辱する事にも成ります。
このままで本当にいいのでしょうか。普天間基地は県外に移設すべきです。在日米軍と一体運用ができる北部九州、あるいはその他の国内の基地に移転すべきです。尖閣諸島に海上保安庁や自衛隊の基地を作って、自国の防衛は自国で行うという気概を見せるべきです。これが出来ない政治家は、本当の政治家ではありません。ただ、自分の選挙区の利益や利権に群がる政治屋でしかありません。報道はもっとグローバルな物の見方をして欲しい。部数や視聴率を増やす為の、一点集中の瓦版的下世話な報道は止めて欲しいです。
12月6日の読売新聞の朝刊に、小さな記事を見つけました。
「辺野古以外探す必要」
これを読んだ方は、「またぞろ、やれもしないことを鳩山元首相がいっている。」と思われた方も多いと思いますが、私はそうは思いません。鳩山元首相には、鳩山元首相なりの宇宙人的したたかさがあるのだと思います。そして、沖縄県民の為には、普天間基地を県外に移設するのが一番いいと確信してあるのだと思います。他の政治家もこの事に目覚め、自身の利害を捨てて、体を張って沖縄県外に移設する事を考えて欲しいと思います。
「宇宙人!鳩山元首相を考える」へリンクします。今年の1月8日に書いた私のブログです。http://keikurumeiz1238.blogspot.com/2011/01/blog-post_08.html
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