NHKドラマ「陽だまりの樹」第4回異人との遭遇を見ました
冒頭、回想シーンが流れています。
万二郎は、おせきを良仙の屋敷から善福寺に送る途中、橋の上でおせきに「良庵と約束したんです…おせき殿を守ると…」と言います。
安政の大地震が起きて、江戸市中は大混乱に成ります。万二郎は、父母の部屋へ行き「父上、母上!…」と叫びます。
万二郎は、おせきの安否を確認する為に、平明寺へ行きます。そこでおせきに「私は誓います…二度と刀を抜かないと…」と言います。
良庵は、苦しむ十三奴を抱きかかえ、解熱剤を飲ませます。
良庵は、病名を虫(寄生虫)と言い張る玄昌に頭を下げながら「今一度診察を…患者の命にかかわることですので…」と訴えます。
良庵は、どうしても虫と言い張る玄昌に、自分が治療すると宣言して、十三奴の手術をしようとしていました。しかし、腹部にメスを当てるのですが、自分の未熟さが頭をかすめて、どうしても手術する事が出来ませんでした。良庵の目から涙がこぼれていました。良庵は「出来ねい…」と、溜息を吐きだすように言います。
良庵は、十三奴の出棺を見送ると、与力の品川を追いかけて行きました。良庵は、橋の上で品川に追いつくと「これは蘭方医と漢方医の果し合いだ…」と言います。
万二郎は、芝浜に町人達を助けに行きます。そこでヤクザ達に「獣か!」と怒鳴りつけます。ヤクザ達が切りかかって来ると、万二郎は、思わず刀を抜いて斬り倒します。万二郎は、しまったという顔付で「おせき殿…」と言います。
ここで「陽だまりの樹」~異人との遭遇~第四回の字幕が流れます。
安政二年(1855)十月五日。
万二郎は、善福寺の鐘つき堂の前で、おせきを待ていました。おせきが万二郎の前に現れると、万二郎は「おせき殿…」と言います。おせきは、万二郎の表情が暗いので、心配そうに「どうかなさったのですか…」と尋ねます。万二郎は、辛く悲しそうな表情で「先生が…私の師である藤田東湖先生が、お亡くなりに成りました。地震で崩れた家の下敷きに…お会いして、お話を伺ったばかりでした…御庭に大きな桜の木があったのですが、それが根元からぽっきり折れていました…幕府もあの桜の樹のように倒れてしまわねば良いのですが…」と言いました。万二郎の幕府が倒れなければいいのですが、という大胆な発言に、おせきは反応して「えっ…」と聞き返します。万二郎は「いや…妙な事を言ってすいません…誰かに聞いてほしかったんです…」と答えます。そして、辛そうな表情で「では…」と言うと、その場を立ち去って行きました。おせきは、万二郎の後姿に「伊武谷様…」と言うと、万二郎は立ち止ります。おせきは、万二郎に歩み寄り、後ろから「あの時、誓いを破ったと仰いましたが、いったい何があったんです…」と尋ねます。万二郎は振り向きもせずに「人を斬りました…言い訳はしません…ごめん…」と言うと、静かに歩いて行きました。おせきは、悲しそうな表情を浮かべていました。
ここで、良庵のナレーションが入ります。「その頃、大阪では…」と…
適塾では、良庵と一緒に腑開けをした原田磊蔵が、良庵を案内していました。適塾には、みすぼらしくて汚らしい男達が大勢いました。良庵は、それらの男達を見て驚きます。それは、吐き気を催すほどでした。良庵は「原田さん、あのあっちこっちにいる、こ汚い男達は何ですか…患者ですか…」と尋ねます。原田は素知らぬ顔で「あれは、適塾の学生ですよ…あなたもここへ入門すると、いずれああなりますよ…」と答えます。良庵は「ええー…」と驚きました。
そこへ、酒に酔った学生が、吐き気をもよおしているような表情でやって来て「ああ…飲みすぎた…」と言うと、柱にもたれかかります。原田がその学生に「今度入門する事になった手塚さんだ…」と紹介します。学生が、良庵の顔を見て「あっ…」と言うと、良庵は「手塚良庵です…よろしくお願いします…」と言って、頭を下げました。学生は「中津藩…」と言うと、吐きそうになり、手で口を押さえながら走って逆戻りして行きました。学生がいなくなると後ろから「福沢諭吉君だ…」という声がしました。二人が振り向くと、年配の小奇麗にした男がたっていました。原田が進みより「先生…手塚さんをお連れしました…」と言います。男は「どうぞ…」というと座敷の中へ入って行きました。
良庵は、両手をついて低頭しながら「初めまして、私事、常陸府中藩藩医手塚慮仙のせがれ、手塚良庵にございます。あの…」と挨拶をするのですが、男は手を差し出して「あああ…堅苦しいことは抜きに…手塚君、どうぞ御手をあげて下さい…」と、ざっくばらんな物言いをしました。そして「緒方洪庵です…ようこそ見得られたな…話しは聞いています…あっ、今朝、腑開けをなさったそうですな…」と、笑みを浮かべて聞きます。良庵はかしこまった表情で「はい…私は介添えしただけですが…」と答えました。洪庵は「うん…その奉行所では、この適塾の為なら言うて、たまに便宜を図ってくれることもあるんですわ…手塚君…貴君は、何の為に腑開けをしましたか…」と尋ねます。良庵は、戸惑った表情で「はっ…」と聞き返しました。洪庵は「ううん…医者の意地と言われたそうじゃな…」と聞きます。良庵は、考えもしなかった質問に戸惑いました。洪庵は「この適塾では、道の為、人の為に闘魂不可欠の西洋学者を育てようとしとってな…自分の為とか意地の為にやっとるんじゃない…お分かりかな…」と言います。良庵は、自分に言い聞かせるように「は…はい」と答えました。洪庵は「お分かりなら、何時でも適塾は、貴君を迎えよう…」と言います。良庵は洪庵の目を見つめながら「ありがとうございました…」と言うと、深く低頭しました。洪庵の言葉は、柔和な表情とは打って変わって鋭いものでした。
原田は、良庵を学生達が大勢勉強している部屋に案内しました。原田は良庵に「ここが塾生の部屋です。」と言うと、学生たちに「諸君、新しい仲間を紹介しよう…江戸表から来た手塚良庵君だ…」と紹介しました。良庵は立ったままで塾生たちに「手塚です…宜しくお願いします…」と言うと頭を下げました。すると塾生の一人が、良庵の腰を見ながら「刀を見せてくれ…」と言います。良庵は、思いもしなかった言葉に「えっ…」と言いながら脇差を見ていると、その塾生は「好いじゃないか、見るだけだ…」と言うと、良庵の脇差を腰から抜き取りました。塾生は嬉しそうに脇差を見つめていると、いきなり脇差を抜いて「ひゃー…」と言うと斬るまねをします。周りにいた塾生たちは驚いてのけ反りました。良庵は、驚いた表情で「ちょっと、何するんですか…」と言います。塾生は、笑いながらむき身の脇差を見て「これ貸してくれないか…オレ、百姓の出でさ…一度刀指して大阪を歩いてみたかったんだ…」と言います。すると横から武家出身ふうの塾生が「オレにも貸してくれ…刀、質に入れちまったから…」と言います。すると原田が腕を組んで「質から出せばいいでしょう…」と言います。すると武家出身の塾生が「出せるくらいなら苦労はせんわ…」と語気を強めて言い返しました。すると横で刀を持った塾生が「駄目だ、オレが先だ!」と怒鳴りつけました。武家出身の塾生が諦めきれずに「じゃあ、勝負だ…」と言うと、刀を持った塾生が「おお…勝負だ…」と言って、相撲を取り始めました。良庵は呆れた表情で、二人を見つめていました。しかし、周りの塾生たちが「やれ…やれ…」と囃したてます。良庵は「あの…あの…あの…」と声を掛けますが、二人はかまわずに、ガップリ四つで相撲を取り続けました。良庵は切れたように大声で「やめて下さい!」と言います。すると二人は驚き、相撲を取るのをやめて離れました。良庵は進み寄って脇差を取りあげると「誰にも貸しません…まったく…変な人たちだな…」と言うと脇差を腰にさしました。
原田磊蔵は良庵をこじんまりとした部屋に案内した。その部屋には中央に大きな机があり、中央に一冊の分厚い本が置かれていた。その本の周りを数人の塾生たちが取り巻いて勉強していた。壁には書棚が並べられ書籍がぎっしりと詰められていた。明り取りの障子の下には机が置かれて、そこでも塾生が勉強をしていた。良庵は、物珍しそうにあたりを見渡していた。
原田は良庵に「ここはズーフ部屋です…」と言います。良庵は不思議そうに「えっ、ズーフ…」と尋ねます。原田は「ズーフハルマという辞書が一冊だけ置いてあります。オランダ商館長ズーフが作った蘭和辞書です。」と説明します。良庵は、真剣に勉強している塾生たちの姿を見ながら「そんなに貴重なものが…」と言います。原田は腕を組み直して「だから何時もこの部屋は満員です。たった一冊が引っぱりだこで…オランダ語を読みこなすには、あれを使う他はないですからね…」と言いました。良庵は塾生たちの様子を見ていました。その時、変な臭いがしてきました。良庵は「何だ、この臭い…」と変な顔をして言いました。
塾生たちが庭先で、手製の実験道具で鼻を押さえながら実験をしていました。原田と良庵が、手で鼻をつまみながら庭に出て来ました。原田が「臭いぞ…何やってんだ…」と聞くと、福沢諭吉が「アンモニアを作ってるんですよ…」と言います。良庵が「アンモニア…」と尋ねると、福沢は「この様に、馬の爪を容器に入れて湯煎する…」と言います。良庵が珍しそうに「馬の爪…」と言いながら容器を覗き込むと、アンモニアが水蒸気となって良庵の鼻を刺激します。良庵は思わず「ゴホン、ゴホン…」と咳き込みました。福沢は、さらに「すると、アンモニアが出来るはずだ…」と説明をしました。その時、縁側を走って来た教官らしき人が福沢達に向かって「こら…何をやっているんだ!…」と怒鳴りつけました。福沢が思わず立ち上がると、その拍子で、馬の爪が入った容器を倒してしまいました。熱湯が良庵の足に掛かります。良庵は驚きながらも「あつい!…臭い!…」と叫びました。
江戸では、竹刀に剣道の防具を掛けて、背中に背負っている姿で自宅に帰って来ました。ここで良庵の声でナレーションが入ります。「数日後、万二郎に思いもよらぬ事態が待ち受けていた…」と…
万二郎は玄関口で「只今戻りました…」と言います。すると奥の部屋から、千三郎とおとねが慌てた様子で出て来ました。千三郎は「おお…万二郎…すぐに支度をせい…御家老様の処へ参るぞ…」と言います。万二郎は、刀を腰から抜き取ると「何事ですか…」と尋ねました。千三郎は鋭い視線で「お前に、登城の御沙汰があったのだ…御家老様と一緒に登城し、御老中阿倍様に御目に掛かる…」と言いました。
千三郎と万二郎は、紋付に裃を付けて、藩邸で家老の佐伯甚七郎に会っていました。
佐伯は千三郎に「伊武谷千三郎、久しぶりじゃのう…」と言います。千三郎は、両手をついて低頭しながら「ははは…御家老様にも御機嫌麗しく…」と言うと、背筋を伸ばして古武士らしくきりっとした表情で座っていた。佐伯は万二郎に視線を移すと「さて万二郎…」と言います。万二郎は、両手をついて深々と低頭したままで威勢よく「はっ…」と答えました。佐伯は「この度の御老中からのお呼び出し、何上かと驚いているだろうな…」と言います。万二郎は、低頭したままで神妙に「はい。」と答えます。佐伯は「地震のおり、そちは大勢の町人らを芝浜へ連れて行き、火から守ったそうだな…さらには、土地のごろつきどもから町人らを救ったとか…それが、御老中のお耳に入ったのだ…そちにおうて見たいと仰せだ…」と言います。千三郎は、初めてそのことを知り、ゆっくりと視線を万二郎に向けました。佐伯はさらに続けて「当藩としても、まことに金塊千晩である…わしが同道して、阿部様に御目通りさせてやろう…」と言います。すると千三郎が万二郎より先んじて「はははあ…」と言いながら低頭しました。
佐伯は登城途中、御濠に架かる橋の上で万二郎に「そちの父、千三郎は、武勇を尊び信義の厚い武士であった…しかし、一徹で直上でのう…当世の武士はそれだけでは出世できん…気お見るに敏にして、時流を巧みに用いる心が無ければ成らぬのだ…」と言います。すると万二郎は、佐伯の言葉にも動ぜずに「私が父から学びました武士の魂は…」と言おうとすると、それを遮るようにして佐伯は「そちの父は古いんじゃ…要領が悪いのじゃ…気真面目なんじゃ…だから出世できんのじゃ…当世はな、古い武士道など通用せんのじゃ…事に城内ではな…」と言います。万二郎は、佐伯から視線を反らして「そんな武士の道ならば、武士を辞めた方がましです…」と、きっぱりと言いました。佐伯は万二郎を諭すように「これ、何を申す…わしの言う事を聞け…そちを無事御老中に引き合わせ、良い役職に着かせたいが為ではないか…良いか…そちの名誉は、常陸府中藩の名誉と心得よ…」と言いました。
老中阿倍正弘は着座すると「佐伯、わざわざの出仕大義であった…」と言います。佐伯は、両手をついて深く低頭しながら「阿部様には、御機嫌麗しく…」と言います。阿部は佐伯に「面を上げよ…」と言います。佐伯は、頭を持ち上げて、少しうつむきかげんの姿勢を取りました。万二郎は、次の間で両手をついて深く低頭したままの姿勢でした。
阿部は佐伯に「でぇ…かの者を連れて来てくれたか…」と聞きます。佐伯は「はっ、ここに控えております…」と答えました。阿部は、万二郎の方に視線を移し「さっ、遠慮はいらぬ…伊武谷と申したな…ちこう寄れ…」と言います。すると佐伯が「伊武谷、お許しじゃ、ここへ…」と言います。万二郎は低頭したまま大きな声で「はっ…」と言うと、躄って前に進み「恐れ入り奉ります…」と言います。
阿部は、扇子を右手に持って膝の上に立てながら「そちの噂を聞いたぞ…剣の流儀は何かな…」と聞きます。万二郎は、低頭したまま「北辰一刀流を三日間学びました…」と答えました。阿部は、「三日…三日とはどういう訳じゃ…」と聞き返しました。万二郎は、どう答えるべきかわからずに「あの…あの…」と言葉が詰まりました。そして正直に「試合で、兄弟子を殺めました…」と答えました。阿部は、表情一つ変えずに、落ち着いた声で「で、道場を辞めたのか…後難を恐れてか…」と聞きます。万二郎は「いえ…また、殺めるかもしれないので…逃げました…」と答えました。それを聞いた阿部は「ふふふふ…」と薄笑いを浮かべます。そして「ところで、そちはこの度の国難をどう見た…」と聞きます。万二郎は、どのように答えるべきかわからずに「はぁ…」と言います。阿部は「黒船が我が国で冒していることをじゃ…さぁ、気兼ね入らん…諸外国にどう対処するべきか、そちの思うておることを腹蔵なく言うて見ろ…」と、さらに質問します。万二郎が「はっ、家中でのもっぱらでの噂では…」と答えようとすると、阿部は遮るようにして「藩の意見などよい…そち自身は、どう思っている…そちがもし、異人に会えば斬るか…」と言います。佐伯は心配そうに上目遣いで阿部の顔を見ます。斜め後ろにいる万二郎の様子をおしはかるようにしていました。
万二郎は「斬りませぬ…」と答えました。阿部はすかさず「なぜじゃ…」と聞きました。万二郎は「斬れば、異国との戦に成りまする…」と答えました。阿部は、万二郎の様子を注意深く見ながら「戦が嫌か…」尋ねます。万二郎は、すぐさま「いや、武士たる者、主君の為に戦など厭いません。しかし、女子供まで戦であやめては、国が滅びます…」と答えました。阿部は「すると、開港を望むのか…」と聞きます。万二郎は、思いつめた表情で「私は…御上の内情を改革すべきだと思います…諸外国に馬鹿にされないように、立て直す事が先です…御上は今、腐れ木のような有様です…城内でも現に賄賂がまかり通って…」と、ここまで言うと、佐伯が何を言い出すのかと驚いて、万二郎の方に向き直って「これ、何を申すか無礼者…ここを何と心得る。次の間に控えておれ…」と怒鳴りつけました。万二郎はすぐに「はっ」と答えると、立ち上がって後すざりして部屋を出て行きました。佐伯は、阿部の方に向き直ると、両手をついて深く低頭して「面目次第もござりませぬ…」と謝りました。しかし阿部は「いや、面白い男よ…気に入ったぞ…」と言いました。
大阪の適塾では、オランダ語の授業が始まっていました。良庵は、朝帰りをして遅刻したらしく、障子の外から覗きこんでいました。そして、腰を屈めて這うようにして、教官に見つからないように教室に入って行きました。
その時、教官が良庵を見つけて「手塚!」と呼びます。良庵は、しまったという表情で「はい」と答えました。教官は、白々とした目つきで「また朝帰りか…いったい何のために大阪に来ているんだ…医者に成る気はあるのか…」と叱りつけました。良庵は、苦しそうな表情と声で「申し訳ありませんでした…」と答えました。するとまた、直ぐに授業が始まりました。良庵がしょんぼりとした表情で俯いていると、隣にいた福沢諭吉が小声で「聞いたか…江戸で大きな地震があったそうだぞ…」と話しかけました。良庵は真顔に成って「えっ…」と言います。
ここで、良庵の声でナレーションが入ります。「大阪の種痘所は、適塾からほど近い、古手町に会った…」と…
緒方洪庵が、子供の患者に「痛くない、痛くない…」と言いながら種痘をしています。隣にいた良庵は「ちちんぷいぷい…」とあやすように言います。すると洪庵が、笑いながら「ほら、もう済んだ…」と言いました。子供の母親が「おおきに…」と言って、子供を連れて帰ります。良庵は、軽い調子で「次の方…」と言いました。すると、患者が並んでいる列の横から、職人らしき男が「すんまへん…すんまへんな…」と言いながら前に進み出て来ました。適塾の塾生らしい若い医者が「おいおいおい、順番やで…順番…」と言うと、男の手を握って割り込みさせないようにしました。男は「いえいえ、わいやおまへん…」と言うと、くるりと体を入れ替えて、洪庵の前に座りました。
男は「先生のお耳に入れたい事がありましてまいりました…」と言います。洪庵は「うん、何かね…」と聞きます。男が「わいは、植木職人だすが、実はある屋敷の庭で、痘瘡の病人を見ましたんや…」と言うと、洪庵の目が鋭く光りました。洪庵は「痘瘡の病人…見間違いではないのかね…」と聞きます。男は真剣な表情で「本町のいな屋さんの奥座敷で、あそこの大旦那が顔中できものだらけで、偉い熱ですねん…」と言いました。
洪庵と良庵は、みま屋に来ていました。洪庵が店先で番頭に「わしは、緒方洪庵と申すものですが、御主人が御重病とか聞き及びましてな…是非、診立てをさせて頂きたくまいりました…」と言うと、番頭は慌てた様子で「しばらくお待ちを…」と言うと立ち上がり、慌てて奥の方へ入って行きました。洪庵と良庵は、思わず顔を見合わせました。
座敷には、顔にできものが出来た主人がいました。主人は熱があるのか、赤ら顔で、手ぬぐいで汗を拭いていました。障子の外の御縁から、番頭の声で「どうぞこちらです…」と言う声がしました。主人は、手ぬぐいを懐に入れて、襟を整えました。洪庵は座敷に入ると上座に座ります。良庵は薬箱を持ってその脇に座りました。主人は両手をついて低頭しながら「ようこそお出でなさいました。主の田衛門でございます。」と挨拶をします。洪庵は「緒方洪庵です…お臥せと承りましたが、御無理をなさらないように…」と言います。田衛門は、背筋を伸ばして「いえいえ…大した病気ではござりません…」と言いました。
洪庵は、腰を上げ、一歩踏み出して田衛門に近づくと田衛門の顔をじっと見ていました。洪庵は田衛門に「最近、何処か遠くへ旅をなさいましたか…」と尋ねます。田衛門は「はい、九州へ行って参りました。別府のお湯に逗留しましてな…」と答えました。洪庵は「確か九州では、痘瘡が発生したと聞いています…いな屋さん、おそらくあなたは、そこで痘瘡を移されたのです。」と言います。田衛門は動揺した表情で「緒方先生、私は、御高名な先生やと思えばこそ、御挨拶申し上げたのです…何も先生に、私の病をあれこれと、診察して頂く気はおまへん…私、漢方の花村先生の御世話に成っていますさかい…」と、語気を強めて言いました。
洪庵は、田衛門の顔を覗き込むように見ながら「いな屋さん、私の目は誤魔化せませんぞ…あなたは痘瘡に掛かっておられる…このまま捨て置いては危ない…御店の方みんなに種痘を致したい…」と言います。田衛門は「何ですと…丑の痘瘡を植えると言うんですか…そないな勝手なことは許しません…帰っておくれやす先生…」と言いました。洪庵は、諦めずにじっと見つめながら「好いですか…いな屋さん、あなたは痘瘡に掛かった事を内密にしておられるが…いずれ世間にもれます…客足は遠のきますし、御店にも傷がつきますよ…」と諭しました。
洪庵は、田衛門と話し終わると、廊下で番頭を捉まえて「御店の人で、休んでいる者はおらんかね…」と聞きます。番頭は「へい…おゆうが風邪で、実家で寝ておりますが…」と答えました。洪庵は「そのおゆうちゅうおなごは、どんな仕事をしとる…」と聞きます。番頭は「洗濯や掃除で…旦那様のお召し物など洗います…」と答えました。洪庵は頷くと、横にいた良庵に「手塚君…そのおなごの実家に行ってみてくれんか…」と言います。良庵は、真剣な表情で洪庵を見つめると「はい」と答えました。
良庵は、おゆうの実家の長屋に来ていました。おゆうは、床に臥せっており、顔にはできものが出来ていました。良庵は診察をしながら、顔を手ぬぐいで拭いてやりました。
良庵は「明らかに発疹の始まりだ…おゆうさん、よく思い出しな…十日前から、あんたの体や着物に触れた人間は、誰と誰だ…」と聞きます。おゆうは「平太さん…」と答えます。良庵は帳面に書きながら「平太…何時だそれは…」と聞きます。おゆうは「昨夜…」と答えました。良庵は「昨夜…」と聞き返します。おゆうは、黙って顔をそむけました。良庵は「まさか体を…」と聞きます。おゆうは、黙って頷きました。良庵は、驚いた表情で「平太の家は何処だ…」と聞きます。
良庵は、慌てた様子で障子戸を開けて、家の外に出て行きました。「えらいこっちゃ…えらいこっちゃ…」と独り言を言いながら、薬箱を手に持って、周りをキョロキョロと見ながら、平太の家を探し始めました。平太の家を見つけると、入口の障子戸お叩きながら「平太さんは居るかい…」と言います。すると平太らしき男が、障子戸を開けて出て来ました。鋭い目つきの男でした。
平太は、良庵を睨みつけるようにして「誰や…」と聞きました。良庵は「あんた昨夜、おゆうという娘に会ったろう…」と聞きます。平太は「おおたんがどないした…」と言いながら、障子戸を閉めました。良庵は、心配な表情で「おゆうは、痘瘡に掛かっているんだ…」と言います。平太は良庵に視線も合わせずに「何…」と言います。良庵は、平太の後ろから「あんたにも痘瘡がうつった疑いがある…」と言います。平太は振り向くと「おんどれ、いったいどこのもんじゃ…」と睨みつけました。良庵は「私は、良庵という医者だ…古手町の種痘所から来た…」と言います。平太は「おゆうが痘瘡やと…笑わせんな…あれは風邪をひいただけじゃ…」と言います。良庵は懸命に「違う…おゆうは二三日で、発疹が体中に出る…あんただって、七日もすれば熱が出て手遅れになるんだ…オレと一緒に種痘所へ来い、種痘をすれば痘瘡に成らずに済むんだ…」と説明します。しかし平太は、良庵の言葉を信用せずに「ふざけるな!」と怒鳴りつけると、歩いて行きました。
良庵は、諦める事が出来ずに「力づくでも連れて行くぞ…」と言うと、後ろから平太の腕を取りますが、平太は「えい!」と言うと、一撃で良庵を払いのけました。良庵は道端に尻もちをつきました。平太は「誰が行くか!」と捨て台詞を言うと、歩いて行きました。良庵は、尻もちをついたまま「待て!」と言うと立ち上がり「お前は発病するぞ…」と言うと、後ろから追いかけました。良庵は、平太の前に回り込むと捉まえて「その上、大阪中に病気をバラ撒くんだ…何百人、何千人という人間が、痘瘡に掛かるかもしれないんだぞ…」と必死で訴えました。しかし平太は、癇に障ったのか、それとも関わりたくないのか「ふざけるな!」と怒鳴りつけると、良庵の顔を殴りつけました。しまいには、足で良庵の腹を蹴って倒しました。良庵の口から血が流れ出ていました。
平太は、居酒屋で一人酒を飲んでいました。そこへ、目の据わった良庵が現われて、平太の横に座りました。良庵は、凄みを利かせた声で「平太…それを飲んだら、一緒に除痘館へ来るんだ…」と言います。平太は「しつこいは!」というと、キレたように立ち上がり、良庵の胸ぐらをつかみ上げます。良庵が「種痘を受けろ…」というと「じゃかましいは…」と言って良庵の顔を殴りつけました。良庵が土間に倒れると良庵を蹴り続けました。それでも良庵は「種痘を受けろ…」と叫び続けました。
平太は、居酒屋を出ると俯きながら早足で歩いていました。橋の上を歩いていると、反対側から歩いて来た町人が平太の前で「わっ…なんやアイツ…」と大声をあげました。平太はゆっくり振り向きました。その視線の先には、口や鼻から血を流し、額をすりむいた良庵の姿がありました。袋叩きに会っても諦めずに、足を引きずりながら歩いてくる良庵の顔は、赤鬼のようでした。そして良庵は「平太、一緒に来い…」と言います。平太は「この野郎!」と叫ぶと、また良庵を殴り始めました。
徐痘館では、洪庵が女の患者に種痘をしていました。女は「ほんまに牛にならへんのですか…」と心配そうに聞きました。洪庵は「心配すな…ならへん…」と言いながら種痘をしました。その顔には笑みがあり、患者に対する優しさが感じられました。女の患者が立ち上がると、助手の適塾の塾生が「次の人…」と言います。その時、入口の戸が開く音がしました。そしてすぐに女の患者の「キャー!」という悲鳴がしました。洪庵が入口を向いて「おおお…」と、驚いた声を出しました。血まみれで物凄い形相をした良庵が、平太の腕を捉まえて入って来ました。
良庵は立ち上がり「手塚君…どうしたんだいったい…」と言います。良庵は、息を切らせながらも、はっきりした声で「伝染者です…種痘をお願いします…」と言いました。平太は良庵の手を払いのけます。洪庵は、平太を見ながら「何時伝染したんだ…」と聞きます。良庵は「昨夜です…」と答えました。洪庵は平太の顔を見るとすぐに「大丈夫だ…」と言って頷きました。良庵は、驚いて洪庵の顔を見ながら「大丈夫って…」と聞き返します。洪庵は、平太の顔を指差しながら「よく見たまえ…目の下と頬…これは痘瘡の後だ…」と言います。良庵は「えっ…」と言うと、さらに驚いた表情に成りました。
洪庵は平太に向かって「何時痘瘡に掛かった…」と聞きます。平太は、横目で心配そうに洪庵を見ながら「去年…」とぶっきら棒に答えました。そして「わしゃどうなるんや…」と聞きました。洪庵は「心配無い…痘瘡は、一度かかったら二度はかからん…」と答えました。平太は、呆れたというか、ホッとしたというか、複雑な表情で「何やて…」と言います。良庵は、苦労してやっと連れてきたのにどうしてくれるんだという表情で「おい…痘瘡に掛かっていたと、なぜ初めに言わなかった…」と、平太を怒鳴りつけました。平太も「おんどれが、聞かんかったからやろが…」と怒鳴り返しました。そして「なんや、あほくさ…」と言うと帰って行きました。良庵は、がっくり来て崩れ落ちるように座り込みました。洪庵は、そんな良庵を見て笑いながら「治療がいるのは、君の方やな…」と言うと、良庵の肩を両手で軽く叩きました。その様子は、弟子に対する愛情が満ち溢れていました。どうやら良庵は、痘瘡に対する免疫の概念をまだよく理解していなかったようでした。洪庵が「あははは…」と笑い出すと、良庵は振り向いて洪庵を見ながら、情け無さそうに「先生…」と言いました。
良庵と諭吉は、塾生の住む部屋で飲んでいました。良庵は酒を飲むと「ああ…傷に染みる…」と言います。その様子を見て諭吉は笑っていました。そして「そいつは災難だったな…」と言います。諭吉は、干物の魚を火鉢の網で焼きながら「手塚君は、父上の後を継ぐんだろう…」と聞きます。良庵は「ああ…江戸に種痘を広めたいんだ…それが、オレと親父の夢だ…」と答えました。諭吉は「オレの夢は、外国へ行く事だ…」と言います。良庵は笑いながら「密航でもする気か…」と聞きます。諭吉は真顔に成って「そんなケチなマネはするか…堂々と役人に金を出させて、外国を見聞して回る…」と言います。
その時、原田ともう一人の塾生が部屋に入って来て二人の横に座りました。もう一人の塾生が「また福沢のほらが始まった…」と言います。良庵が原田に酒をつぐと、原田は「あんまりまともに聞かぬ方がいいぞう…」と言いました。すると諭吉は、真面目腐った顔で「そもそもお主らは、蘭学を学んでなどいるが、いざとなったら何が出来るというのだ…」と言います。すると塾生が、真面目な顔で「何がって…」と言います。諭吉はさらに「国に帰れば、異国嫌いの主君に、左様、御尤もと従わねばならぬ身分だろう…だが、この福沢諭吉は違うぞ…オレは、オレのやりたい事をやる為に蘭学を身につけるんだ…」と突っ込みました。そして「オレは自由だ…」と言いました。良庵は諭吉を真剣な眼差しで見つめて「自由か…」と言います。諭吉も良庵に視線を合わせて「そうだ…おまえ、狭い日本の中でちまちまやっている時ではない…世界に目を向けるんだ…」と言いました。
ここで良庵の声でナレーションが入ります。「安政三年(1856)七月二十一日、アメリカ総領事タウンゼント・ハリスと、通訳のヘンリー・ヒュースケンが下田に到着した。」と…
万二郎は、江戸の市中を裃姿で走っていました。自宅に着くと千三郎が、手桶から柄杓で水を庭の植木にまいていました。千三郎は「何、下田…」と言います。万二郎は「はい…」と答えました。万二郎は、裃姿で縁側に、おとねと並んで座っていました。万二郎は「お城からの直々のお呼び出しで、下田奉行所へ…まだ、何の御用か…下田には今、アメリカの総領事が来ているはずです。」と言います。千三郎は、万二郎に近寄ると、腰を屈めて万二郎の顔を覗き込むようにして「ということは…斬り込むのか…」と尋ねます。万二郎は、落ち着いた声で「そうなるかもしれません…」と答えます。千三郎は、万二郎の目をじっと見つめて頷きながら「うん、でかしたぞ万二郎…後の事は案ずるでない…思う存分戦ってまいれ…」と言いました。万二郎も千三郎の目を見ながら「はい」と答えました。隣に座っているおとねは、心配そうな顔で万二郎を見ながら「くれぐれも気を付けるんですよ…」と言います。万二郎は、おとねの顔を見ながら「はい」と答えました。千三郎は「万二郎…わしは、お前というせがれを持って、誇りに思うぞ…」と言います。万二郎は、千三郎の目を見ながら「行って参ります…」と言いました。しかし、この三人、何か勘違いをしているようでした。確かにこの時代、攘夷論が渦巻いていたので、外国人と言えば斬り込むという事が連想されたのかも知れませんが…
万二郎は、善福寺の山門の前に立っていました。その姿は、紋付を着て、手には編み笠を持つという旅姿でした。
境内の方から、おせきがやって来ました。おせきは「伊武谷様…」と声を掛けます。おせきは、万二郎の旅姿を見て「そのお姿は…」と尋ねました。万二郎は、振り向いておせきに近づくと「お別れに来ました…」と言います。おせきは「どちらに行かれるのです…」と尋ねます。万二郎は、おせきを見つめながら寂しそうな声で「下田です…」と答えました。おせきも寂しそうな声で「下田…」と聞き返しました。万二郎は、俯きかげんで「おせき殿…」と言います。おせきは、心配そうな顔で「はい」と返事をしました。万二郎は「私は、私は、あなたの事を…また人を斬る事に成るでしょう…私は、あなたにふさわしい男ではありません…しかし、武士である以上、主君の為に身命を落とさなければならない時もあるのです…」と言いました。おせきは、思いつめた表情で「何をなさるのです…」と尋ねました。すると万二郎は、少し語気を強めて「良庵が…あなたにふさわしい男です…アイツは、いいかげんなところもありますが、根は優しい男です…きっと、立派な医者に成って戻って来るでしょう…では…これにて…」と言うと、一礼して石段を下りて行きました。おせきは、思いつめた表情で「伊武谷様…お待ちください…伊武谷様…」と呼び掛けたのですが、万二郎は振り向きもせずに、小走りで駆け下りて行きました。おせきは、ただ心配そうな表情で、両手を握り、万二郎の後姿を見つめていました。
万二郎は、下田奉行所で奉行と面会をしていました。
奉行は「下田奉行、井上信濃守じゃ…遠路大義であった…御老中阿部様より御推挙があった、伊武谷万二郎とは、その方か…」と言います。万二郎は、両手をついて低頭しながら、大声で「はっ…」と答えました。井上は「その方に、アメリカ使節の警護を命ずる…」と言います。外国人を斬るものとばかり思っていた万二郎は、驚いた表情で「はあ…」と言います。井上は「アメリカ総領事、タウンゼント・ハリス殿の身辺を守るのが勤めである…」と言います。万二郎は、上目使いに驚いた表情で「アメリカ人を守る…斬り込むのではないのですか…」と尋ねました。井上は、薄らと笑みを浮かべながら「誰がそのような事を申した…」と言います。万二郎は「異人の警護など…それはあまりにも…私にも武士の面目がございます…」と言います。すると井上は、切り返すように「武士だからどうだというのだ…異国の使節団を警護するのも武士の役目だ…しかもこれは、御老中の厳命であるぞ…」と言いました。万二郎は、ただ仕方なくうなだれることしか出来ませんでした。
領事館となっていた玉泉寺の庭には、ハリスが来るのを紋付姿で片膝を付いて待っている万二郎の姿がありました。万二郎の横には、二人の同僚がいました。奉行の井上と通訳の森山多吉郎は、裃姿で万二郎の横に立って待っていました。そこへ、ハリスとヒュースケンが歩いてやって来ました。
ハリスは、井上の前で立ち止まると「グットモーニング、ミスター井上…」と挨拶をしました。井上は、ハリスに一礼をしました。そして井上は「領事殿の身辺を警護する者達です…これは、江戸より使わされた、伊武谷万二郎と申す剣客です…」と言います。通訳の森山がオランダ語で通訳すると、それをヒュースケンが英語で通訳しました。するとハリスが、万二郎に近寄って手を出しながら「グットモーニング、ミスター万二郎…ハウドユドゥー…」と話しかけました。万二郎は、キョトンとした表情で、ハリスの手を見ていました。すると通訳の森山が万二郎の横に膝まづいて「伊武谷殿、手を握りなされ、彼らの挨拶です。」と言います。万二郎は、ハリスの手を見ながら「うん、何の為にこ奴の手を握らなければならぬのです…」と言いました。森山は「西洋人の仕来たりなのです…さあ…」と説明するのですが、万二郎は納得がいかずに「見ず知らずの男の手など握れません…」と拒みました。すると奉行の井上が、低い声で「伊武谷…」と言うと、万二郎を睨みつけるようにして「手を握れ…」と命じます。万二郎は仕方なくハリスの手を握りました。万二郎には、初めての握手でした。ハリスとの握手が終わると、すかさずヒュースケンが歩み寄り、万二郎に手を差し伸べました。万二郎は、仕方なくため息交じりにヒュースケンとも握手をしました。
謁見が終わった後、万二郎は同僚の二人の前で、イラつきながら行ったり来たり歩いていました。万二郎は同僚に「お前たち、よく平気な顔をしていられるな…こんな下田くんだりで、異人のお守を何カ月もさせられるっていうのに…」と言います。すると同僚の犬山惣乃進が笑みを浮かべながら「しかし伊武谷様、物は考えようです。こうすることは、我らは異人から下田の民を守っているのです。」と言うと、もう一人の同僚、猿田菊蔵が「つまり、我々は異人をこの寺へ封じ込め、外から見張っている訳であります。これは、奉行所より我々に対する暗黙の御下命と…」と言いました。万二郎は、気お取り戻したのか腕を組ながら「なるほど、民百姓を守る為か…それなら分かる…ようし…奴らが傍若無人な振る舞いに出る事は断じて許さぬ…叩き斬ってやる…」と言いました。その時、後ろの方からヒュースケンが「万二郎…」と呼ぶ声が聞こえました。万二郎は、腕を組み直しながら苦り切った顔で「なれなれしい…」と言うと、溜息をつきました。
ヒュースケンがやって来ると、二人の同僚は一礼をしますが、万二郎は顔をそむけていました。するとヒュースケンが「プリーズ……」と言うのですが、万二郎は意味が分からずに同僚達に「うん、こいつ何を言っているんだ…」と聞きます。すると犬山が「腰の者を見せてくれと言っているんじゃないですか…」と言います。万二郎は、左手で刀を握ると、何時でも刀を抜ける体制で、ヒュースケンの顔を見ながら「見せろって…ふざけるな…これは武士の魂だ…」と、低くどすの利いた声で言いました。するとヒュースケンが何やら言うのですが、万二郎は大声で「駄目だ駄目だ!…日本の刀はお主たちには触らせん…」と言うと、二・三歩ヒュースケンから離れてそっぽを向きました。すると突然、ヒュースケンが、万二郎の刀の柄に手を掛けようとしました。万二郎は素早く腰を振り、刀をヒュースケンから遠ざけると、右手でヒュースケンの手を払いのけながら「触るな無礼者!」と怒鳴りつけました。その迫力にヒュースケンも反射的にボクシングの防御の構えを取りました。万二郎が「これ以上しつこく迫ると斬って捨てる…」と言って睨みつけると、ヒュースケンはボクシングの防御の姿勢を止めて「ワハッハッハ…」と笑いながら立ち去りました。万二郎は、ヒュースケンの後姿を見ながら「何だ、アイツは…異人というのは、みんなああなのか…」とぼやきました。すると猿田が「我々と考え方が違うのは確かです」と言いました。万二郎は「あんな奴と付き合っていかなければいけないのか…先が思いやられる…」と言いました。
ハリスと下田奉行の井上が会談をしていました。座敷には青い絨毯が敷かれ、ハリスとヒュースケンは椅子に腰かけていました。二人の前にはテーブルが置かれ、テーブルの上には湯呑みがおかれていました。下田奉行は、座敷に畳を二三枚重ねて座布団を敷き、その上に正座していました。三人の周りには、通訳やら書記やらが四・五人正座していました。日本側は、すべてが裃姿でした。ハリスは、ものすごい権幕で喋っていました。
ここで、安政四年(1857)二月の字幕が出ます。そして、良庵の声でナレーションが流れます。「ハリスは苛立っていた。大統領親書を提出する為、江戸出府、将軍謁見を望んでいたのだが、幕閣の攘夷論者らが、強硬にこれに反対し、通商条約に向けての交渉は、死地として進まなかったのだ。さらに、万二郎たちの警護も嫌がった。」と…ハリスは怒り狂った表情で「それから我々をつけ回すのはやめてもらいたい…あれは警護ではなく、監視だ!」と言った…
万二郎と同僚達は、中庭で相談していた。犬山が話した事に対して万二郎は「何、一人で出て言った…」と聞き返します。犬山は「はい、ちょっと目を離したすきに…」と答えました。すると猿田が万二郎に「散歩でしょう…すぐ帰って来ますよ…」と軽い調子で言った。万二郎は、黙って考えていた。
ヒュースケンは、玉泉寺近くの林の中を一人で散歩していた。するとヒュースケンの前に、丑久保陶兵衛が現れました。ヒュースケンは、一度立ち止まるのですが、思い直したように歩きだし、陶兵衛に「ハロー…」と言って通り過ぎて行った。陶兵衛が、足元の小石を通り過ぎて行ったヒュースケンの背中目がけて蹴ると、小石はヒュースケンの背中に当たりました。ヒュースケンは振り向くと陶兵衛に英語で「何をする!」と言って睨みつけます。陶兵衛は、ヒュースケンに視線を合わせると、つばを吐き捨てました。ヒュースケンは英語で「喧嘩を売る気か!」と言うと、足元に落ちていた小枝を拾ってフェンシングの構えをしました。陶兵衛は、無表情でヒュースケンを見ていましたが、いきなり刀を抜いて、ヒュースケンの持っていた小枝を斬り飛ばしました。その切り口があまりにも見事だったので、ヒュースケンは驚きました。そして、ゆっくりと後ろへ下がり始めました。陶兵衛は、ヒュースケンの歩調に合わせて前に進みました。するとヒュースケンは、危険を察知したのか、手に持っていた小枝の残りを捨てて走って逃げだしますが、つまづいて倒れました。陶兵衛が、無表情でヒュースケンに詰め寄り、刀を構えると、ヒュースケンは、倒れたまま振り返り、陶兵衛の顔を見ながら後すざりしました。
陶兵衛が、ヒュースケンを斬りつけようとした時に、後ろの方から万二郎の「ヒュースケン殿!…引け!…刀を引け…」と言う声が聞こえました。万二郎は、陶兵衛に向かって全力で走って来ました。ヒュースケンは、倒れたまま「万二郎!」と叫びました。陶兵衛が振り向くと、万二郎に刀を構えました。そして低い声で「伊武谷万二郎…」と言います。万二郎も「どこかで見た顔だな…」と言います。陶兵衛は「邪魔だてすれば、お主も斬る…」と言いました。万二郎は「ヒュースケン、逃げろ!」と叫ぶと、刀を抜いて応戦し始めました。二人は物凄い迫力で斬り合いをしていました。万二郎が倒れながらも陶兵衛の剣を受けた時に、遠くの方から「伊武谷様!…」と言う声が聞こえて来ました。すると陶兵衛は「決着は、またの日に付けよう…」と言うと、走って逃げて行きました。犬山と猿田が刀を向いて到着しました。二人は陶兵衛を追うのを諦めて、刀を鞘におさめました。猿田が万二郎に「お怪我は…」と聞きます。万二郎は、片膝をついて刀を鞘に収めながら「大丈夫だ…」と答えました。そして立ち上がると「何者だ、アイツ…恐ろしい剣を使いやがる…」と言いました。万二郎は、息を整えながら周りを見渡していると、ヒュースケンが落とした手帳を見つけて拾いました。中を見ると英語で書かれた文章と母親らしき鉛筆で描いた似顔絵がありました。
ヒュースケンは、恐くて堪らないという表情で椅子に座っていました。その時、部屋の外から万二郎の「ごめん…」という声が聞こえて来ました。万二郎が障子を開けて入って来ると、ヒュースケンは立ち上がり大声で「万二郎!」と言いました。ヒュースケンは、万二郎に近ずくと、両手で万二郎の右手を握り占めて、英語で「君は正義の剣士だ!」と言います。万二郎は、懐から手帳を取り出してヒュースケンに差し出すと「落ちていた…」と言います。ヒュースケンは、手帳を受け取ると英語で「ありがとう…これは命の次に大事なものなんだ…」と言います。そして手帳のページをめくり、女性の似顔絵を見つけると万二郎に見せながら英語で「私の母だ…」言いました。気持ちが通じたのか、万二郎は「母上か…」と聞きます。ヒュースケンは、似顔絵を見ながら「私の帰りを待っている…」と答えました。そして、何を思ったのかヒュースケンは「君に好い物を見せてあげよう…」と言うと、床の間に置いていた物を抱えて机の上に載せました。ヒュースケンが被せてあった布を取ると、地球儀が出て来ました。
ヒュースケンが英語で「地球儀だ…」と言います。万二郎は真剣な眼差しで「これは…」と言います。ヒュースケンは、アメリカを指差して「ここがアメリカ…」と言います。万二郎は、睨みつけるように見つめながら「アメリカ…」と言います。ヒュースケンは「イエス、アメリカ…」と答えました。万二郎は「日本は…日本は何処にある…」と聞きます。ヒュースケンは、地球儀を動かしながら日本を指差し「ニッポン…」と答えました。万二郎は、地球儀に近寄って日本を見つめながら「嘘だろう…こんなに小さいのか…」と息を吐き出すように言いました。ヒュースケンは英語で「この広い大海原を私たちは渡って来たんだ…」と言いました。万二郎が、ヒュースケンの英語で言った言葉を、何処まで理解できたかは分かりませんが、少なくとも日本は太平洋の西の端に浮かぶ小さな島国であるという事は理解出来たようでした。
丑久保陶兵衛は、下田奉行、井上信濃守の部屋にいました。井上は陶兵衛に「うつけ者!」と怒鳴りつけました。井上は気が治まらないのか立ち上がり「私は、アメリカ人を脅せと命じたのだ!なぜ、本気で斬りつけた…それも、警護役と派手に渡り合ったというではないか…」と言いました。神妙に聞いていた陶兵衛は、両手を付いて頭を下げ「申し訳ござらぬ…脅すうちに、ついむらむらと腹が立ちました…」と言います。井上は、怒り心頭と言った表情で、懐から紙包みを出し「この金子を持って、とっとと消えろ!」と怒鳴りつけると、紙包みを畳に投げつけました。すると投げつけた拍子に紙包みが破けて、中から小判が十枚ほど飛び出して散らばりました。陶兵衛は、上目使いに井上を睨みつけると小判を拾い集めて袖の中に入れ、一礼しながら「失礼…」と言うと右横に置いていた刀を取って立ち上がり、部屋を出て行きました。その時、通訳の森山とすれ違いました。
森山は部屋に入ると座って「お奉行様、何上あのような狼藉を…」と尋ねます。井上は疲れた表情で「日本は、恐ろしい国だと思わせる為だ…ならず者が跋扈する事が身に染みて分かれば、無暗に出歩かなくなるだろう…アメリカ人どもに、身辺警護の大事さを認めさせるのだ…」と言います。森山は「警護という名の監視でございますね…」と尋ねます。井上は、息を吐き出しながら「奴らの好き勝手にはさせぬ…」と答えました。
万二郎は、散歩をしながらヒュースケンに日本語を教えていました。万二郎は、青く澄み渡った空を指差しながら「ああ…空…」と言います。ヒュースケンはそれに続いて「空」と言いました。万二郎は、畑の横に来ると立ち止り「畑…は・た・け…」と言います。するとヒュースケンが「畑」と言いました。万二郎は、畑に咲いていた花を数本つんでヒュースケンの顔の前まで持っていくと「菜の花…」と言います。ヒュースケンも菜の花と言いました。ヒュースケンの手には、手帳と鉛筆が握りしめられていました。
ヒュースケンの部屋では、今度は逆に万二郎が英語を習っていました。ヒュースケンが「ありがとう…サンキュー…」と言うと、机の前に腰かけていた万二郎が「サンキュー…」と言いました。ヒュースケンは「イエス…」と言います。万二郎は、帳面に日本語で筆記していました。書き終わると万二郎は「今日はは…」と聞きます。ヒュースケンは「ハロー…」と答えました。万二郎が「ハロー…」と言うと、ヒュースケンは「イエス…」と言いました。
万二郎が、地球儀を回して日本を探している映像が流れています。そして、万二郎の声でナレーションが流れます。「良庵、地球儀という物を見た事があるか…日本があんなに小さい国だという事をオレは初めて知った。世界はとてつもなく広い…アメリカなどは、日本が二十もスッポリ入ってしまう大きさだ…驚いたのは広さだけではない…アメリカには、蒸気で走る乗り物があるらしい…船ではなく、陸の上を大勢の客を乗せて走る乗り物が…そんな乗り物が日本にもあったらどんなに旅が楽になるだろう…オレは今、霞が晴れたような気分だ…ただ、かたくなに攘夷と叫んでいることが、果たして正しい事なのだろうか…」と…これは万二郎から、良庵の手紙でした。映像は、ヒュースケンが描いた、蒸気機関車の絵や、手紙を真剣な表情で読んでいる良庵の映像も流れていました。
良庵は、行燈の光の下で、万二郎から来た手紙を真剣な表情で読んでいました。その時、女の声で「先生…」という声が聞こえます。そして障子のあく音がしました。遊女が部屋に入って来ると、障子を閉めながら「おまっとうさん…」と言います。良庵は、今まで読んでいた手紙をたたむといきなり「帰る…」と言って立ち上がりました。そして「オレは心を入れ替えた…大阪には遊びに来たんじゃない…」と言うと、懐に手紙を入れました。良庵はさらに「学問を修める為に来たんだ…こんな事をしている場合じゃない…」というと部屋から出て行こうとしました。遊女はすかさず立ち上がり、良庵の前に立ち塞がって抱きつき「もう夜遅いし…今帰っても、朝帰っても同じやないですか…」と笑みを浮かべて言いました。今まで真剣だった良庵の顔が上目遣いに成り「それもそうだ…」と言います。良庵は遊女を見つめながら「心を入れ替えるのは、明日にしよう…」と言うと遊女に誘われるままに、座りました。やはり良庵の女色という病気は治らないようでした。
良仙が、千三郎の家に遊びに来ていました。おとねは、手料理を良仙の前に持って来て「まあ、何もありませんが…どうぞ召し上がってください…」と言います。千三郎も「どうぞどうぞ…」と言います。膳の上には、つまみが幾皿かと銚子が二本乗っていました。良仙が「ああ、これはうまそうですな…遠慮なく…」というと、千三郎は「うふふ…」と言いながら、手酌で盃に酒をつぎました。するとおとねが良仙に「で、良庵殿から便りは来ますか…」と聞きます。良仙は料理を食べながら「はは、まあ何とか真面目にやっているようです…あの男の事ですから、本当かどうかは分かりませんが…」と言います。すると千三郎は「うんうん、はははは…」と相槌を打ちました。良仙は「いや、これはうまいですな…」と言います。おとねは「ありがとうございます。」と言いました。
良仙は千三郎に「で、万二郎殿は如何な様子で…」と聞きました。千三郎は、酒を飲みながら「はっ、異人の警護に戸惑っている様子でして…私はてっきり黒船に斬り込むものと思っていたのですが…それも御老中の命とあらば致し方ない…」と答えました。良仙は、感心したように「はーん、御老中に目を掛けられておる訳だ…やあ、先が楽しみですな…」と言いました。千三郎は照れくさそうに笑いながら「いやいやいや…万二郎は私に似て、不器用な男ですからな…滞りなくお勤めが果たせるよう毎日祈っております…」と答えました。良仙は千三郎につがれた酒を飲みながら「はあ、私も毎日神仏に祈っておりますわい…」というと、両手を合わせて「良庵が、女でしくじりませんように…」と言うと、「わっはは…」と笑い出しました。すると千三郎も笑いながら「ああ、先生のように…」と言います。良仙は「お互い、心配の種は尽きませんな…」と言います。千三郎は「まあ、それが親というものでしょう…良仙殿、お互い、まだまだ死ねませんぞ…」と言いました。二人は大声で笑い出しました。
万二郎は、海岸の岩山の上から海を見ていました。海には和船の帆かけ船が浮かんでいました。万二郎は心の中で「良庵、この小さな日本を守る為、海の向こうに目を向けるべきだ…新しい知識や技術を取り入れ、国を強くするのが先だ…それが、東湖先生の仰っていた、倒れかかった大樹を支えるという事ではないだろうか…」と言いました。
その時、同僚の声で「渋谷殿…」という声が聞こえました。同僚が駆け寄ると万二郎は振り向いて「どうしました…」と聞きます。同僚は「悪い知らせでござる…貴公の父上が、亡くなられた…」と言います。万二郎は、驚いた表情で「えっ!」と言います。映像は、良仙と笑いながら飲んでいた千三郎の顔が映し出されました。そして、万二郎の驚きと信じられない表情が…
ここで、NHKドラマ「陽だまりの樹」第4回異人との遭遇は終わりました。
日本には、食わず嫌いという言葉があります。食べた事もないのに、初めから嫌いだと思い込むことで、実際食べてみたら美味しかったという事が多々あります。幕末の日本では、西洋の文化や技術が急激に入って来たのですが、この時代の日本人もやはり食わず嫌いで、頭から嫌いだ、恐いと思っていました。そんな中で、攘夷論がはびこって行ったのだと思います。異人や黒船に斬り込むなどと盲目の攘夷論が…
この当時、西洋諸国とわが国には、文化や哲学の違いから摩擦があったように思います。その代表的事件が、生麦事件(文久二年8月21日…西洋暦では1862年9月14日)でした。薩摩藩の大名行列を英国人が邪魔をしたので、薩摩藩士が英国人を斬り殺したという事件です。勿論、当時の国内法では、切り捨て御免は当然の事ですが、日本の文化や法律を知らない英国人にしてみれば、自分達の罪を棚に上げて、何と理不尽な事かと思うでしょう。そして、国際問題へと発展して行きました。
万二郎も、生麦事件のような事件を防ぐために、ハリスやヒュースケンを護衛するように老中から命じられたのだと思います。最初は、自身の意に反するので、不快に思っていたようですが、丑久保陶兵衛からヒュースケンの命を助けた万二郎は、ヒュースケンの落とした手帳に描かれている、ヒュースケンの母親の絵を見て、西洋人も日本人のように親兄弟を大切に思うのだなと分かり、自然と意志の疎通が図れるようになりました。そして、次第に西洋の文化を受け入れるようになると、日本の弱点が見えるようになったのです。ただ攘夷、攘夷と唱えるだけでは、日本は諸外国に勝つ事は出来ないと…攘夷の前に国力をつけなければ、ひとたまりもないと…この頃から二通りの攘夷論(盲目の攘夷論と国力を付けてからの攘夷)に別れて行ったのだと思います。
良庵もまた、「種痘をすれば牛に成る」という迷信の類や噂に捉われている人たちに、種痘を理解普及する仕事をしていました。食わず嫌いに食べさせる難しさを味わっていましたが、それが世の中の為に成ると信じてやっていました。この様な若者達が沢山いて、明治維新へと繋がって言ったのだと思います。
ところで、日本人は道という字をとても好きです。このドラマでも、緒方洪庵が『道の為なら好いけれど、蘭方と漢方が争う為なら許さない』というような趣旨のことを言っていました。この場合の道は、医道を指しているのだと思います。TBSのドラマにJIN-仁-という現代の医者が、幕末にタイムスリップした物語がありましたが、ここでも緒方洪庵は、主人公の仁に同じような趣旨の事を言っています。原作が漫画という共通点もあるのですが、現代では失いかけている「医は仁術なり」という言葉が、日本人には重要なキーワードなのかもしれません。
道の付く言葉は、他にもたくさんあります。武士道・柔道・剣道・茶道・華道・商道・芸道…数え上げればきりがありません。どうやら日本人は、何事においても道徳的観念や哲学を持ちこむのが好きなようです。一つの事に専念し、ただ技術が優れているだけでなく、それに伴って人格も形成されなければならないというような考え方でしょうか。ただ、昭和も過ぎ去り、平成になって二十数年がたち、この様な考え方も消えて行っているような気がします。だからときより、道に触れると、日本人の心に感動を与えるのだと思います。
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