2011年5月11日水曜日

TBSの「JIN-仁-第四回(5/8)江戸からきえる」を見ました

 時は過ぎ、龍馬は薩摩藩預かりとなっていました。そして、長州藩にも顔を出し、そこで中岡慎太郎と出会いました。二人は意気投合し、犬猿の仲の薩摩藩と長州藩を和解させる為に、駆けずり回っていました。
 龍馬は、長崎で亀山社中という、日本で初めてのカンパニーを作って商売を始めました。これは、利によって日本の仕組みを変えようという考え方から始めたもので、その先には薩長同盟という、凡人には考えもつかないことを成し遂げる為でした。

 仁と咲は、和宮を助けたことで、町医者でありながら将軍と和宮に拝謁し、褒美をもらいました。恭太郎も出仕が許され、元の地位に戻っていました。
 仁は、江戸の木工製品を利用して、遠心分離機を開発し、血液型の検査が出来る仕組みを江戸の医者たちに教えていました。これは、手術中の出血に対して、輸血をする為でした。また、ペニシリンの粉末化の実験を勢力的に行っていました。これに成功すれば、ペニシリンを爆発的に普及出来るからです。
 ただ、仁は「咲さんは、あれから前にもまして、にこにこと接してくれたが、その笑顔が妙に遠く感じる事がある…」と思っていました。
 こうして仁は、江戸で四度目の正月を迎える事になりました。(1865年)
 龍馬に長州から二人の護衛を付ける事になりました。そのうちの一人が、京で長州が薩摩に負けた時に、龍馬から助けられた東修介でした。

 そんなある日のことです。仁のもとへ、医学館の多紀元琰がやって来ます。
 元琰は「幕府からの依頼で、川越藩主の妻のこぶを治療してほしい。」と言います。
 仁が「こぶを取るんですか…」と聞きます。すると元琰は「奥医師たちが、失敗を恐れて、誰も治療できないでいるそうじゃ…まずは、診るだけ診てくれないか…この手術には、徳川家の由緒ある血筋の存亡がかかっている…」と言います。
 仁は、この依頼を引き受ける事にしました。

 仁は考えていました。「もし、自分の先祖とかかわったらどうなるのだろうか…オレ自身の手でオレ自身が知らない未来を作りだすのでは…しかし、それがこのタイムスリップの目的では…」と
 仁友堂では医師たちが「仁先生が川越藩の奥方の治療をすることを聞いて、医学館からペニシリンの実験に加勢に来ていた連中が来なくなってしまった…」と話していました。
 「上の方では仲良くしても、下の方には話がつながっていない…」
 「ペニシリンの粉末を使えるようになれば、本草でも使える。そうなればいがみ合いも無くなる…」と言います。
 咲は、「私が仁先生の助手として、川越についてまいります。」と言います。
 みんなは驚きます。「えっ、仁先生と咲さんの二人で旅ですか…」
すると咲が「先生方はペニシリンの実験や仁友堂の診察で忙しいので…」と言います。こうして、仁と咲の二人で川越に行くことになりました。

 東修介は、挑むように龍馬に言います。「坂本さんは、志士というよりは商人ですよね…でも長州の見方は、坂本さんと中岡さんだけです…守らなければ…」と
 すると龍馬が「薩摩も長州もお互いに嫌いあっちょる…しかし手を結び合わせる為には利じゃ…それは、倒幕じゃ…」と言います。
 東が「やはり商人の考えですね…」と言うと、龍馬は「いいや、医者の考えよ…」と言います。すると東は「あの方の考えですか…」と言います。

 仁と咲の二人は川越に着きます。そこで、お初という少女と遭遇します。仁がお初の手に触れると、ビビッと電気が走ったような不思議な感覚を覚えます。
 仁がお初に「お譲ちゃん、何か感じなかった…」と聞くと、お初は「何も…」と言います。

 仁と咲が宿に着くと、夫婦に間違えられたのか一つの部屋に案内されます。咲が困った様子で、「部屋は一つですか…」と尋ねます。すると宿の主人が「お殿様の大切なお客様に失礼をいたしました。直ぐにもう一つ部屋を用意いたします…」と言います。しかし使用人が困った表情で「あいにく今日は込み合っているもので…」と言います。
 すると咲が「私は同じ部屋でいいです…罰せられないでしょう…先生さえ嫌でなければ…」と言います。

 恭太郎が仁友堂に来ると、仁と咲が旅をしている事を聞きます。
 「二人で旅へ…母が聞いたら気絶してしまうぞ…」と言います。すると医師の一人が「あのお二人は、どうなっているのでございますか…」と聞きます。
 恭太郎は、咲が抱きつくなり泣き出したことを思い出します。そして、「私にもよう分らぬのだ…咲に何があったのか…」と言います。

 咲は、お初と折り紙をして遊んでいました。そこへ仁が来ると、お初が「先生も折って…」と言います。仁は少しの間困っていましたが、折り紙を折ります。
 するとお初が「それは何じゃ…」と聞きます。すると仁は「いか飛行機…」と言います。お初が「飛行機…」と問いただすと、仁は、この時代に飛行機が無かった事に気づき、困った表情を見せます。そして「飛ぶいかだよ…」と言います。
 咲は仁と二人になると「あれは未来の折り紙ですね…先生のいらした世界は、どれくらい未来なのですか…」と尋ねます。
 仁は「130年~140年位先です。」と答えます。
 咲は思います。「この屏風の向こうは、140年先の未来…」と
 そして、蒲団に横になったまま、川越藩の事情を説明し始めます。
 「血筋を継いでいるのは奥方様の方で…お殿様は御養子で…奥方様のご病気で夫婦仲が悪くなられ、子どもがお出来になられませぬようで…血が絶えると…その上、側室にお子ができられたみたいで…」と言います。
 すると仁が、現代の感覚で「あまり子供、子供というのはどうですかね…」と言います。
 咲は「武家の女子は、子供を持つ事が幸せと教えられています…」と言います。
 仁が「それは、咲さんも同じことですよね…」と聞きますが、咲の返事はありませんでした。仁は「寝ちゃいましたか…」と独り言を言います。しかし、咲は寝ていませんでした。咲は心の中で「私の子は、仁友堂でございます。」と言います。

 仁と咲はお城に行って、奥方様に会います。
 奥方様が「表を上げよ…そなたは江戸の町医者じゃの…治療はいいので金を持って行け…」と言います。そこへ奥女中がやって来て、「先ほどお子が生まれたそうです…」と言います。奥方様は「それでは、贈り物をせねばのう…」と言って、その場を立ち去ります。
 
 咲が奥方様の所へ治療をするように説得に行きます。
 咲は、奥方様の頭巾から髪がはみ出しているのを見て「奥方様、御髪が…どうかこれを…」と言って、菊の御紋と徳川家の葵の御紋が入った拝領の櫛を差し出します。
 奥方様は、拝領の櫛を見て驚きます。「これはどうしたのじゃ…」と咲に聞きます。
 咲は、「南方先生は、町医者ではございますが、将軍様や和宮様からも認められております。奥方様も南方先生を信じられて、先生の診察をお受けになって下さいまし…」と言います。
 奥方は、咲の言葉を信じ、仁の診察を受けることにしました。

 仁は奥方の診察をしていました。首の付け根のこぶを丁寧かつ慎重に触診していました。
 診察が終わると仁は「奥方様、大丈夫でございます。手術で治せます…」と言います。
 咲が「ようございました…」と言うと、奥方様は「そちはなぜ…」と言います。咲は直ぐに「私は、おなごの身ではございますが、南方先生の弟子でございます。」と言います。
 仁がふと奥方様の指先を見て、貧血の持病があることを見つけます。そして、「輸血をしなければいけないかもしれませぬ。」と言います。
 「輸血とはなんじゃ…」と聞かれると「人の血を奥方様の体内に入れるのでございます。」と答えます。
 「血を、血を…」
 「そうでございます。手術の時、出血があるかもしれません。その時、血が必要になるかもしれませぬ…」と答えます。
 奥方様は「招致した…背に腹は代えられぬ…しかし、一つだけ願いがある…」と言います。

 咲は、奥方様の部屋で、輸血の説明をしていました。
 「人の血液には、A型・B型・AB型・O型と四つの型がございます。血液をこの遠心分離機にこうしてかけると…」
 そこへ仁がやって来ます。咲は説明が終わると仁に気づきます。
 仁は「素晴らしい説明に、見入っていました。」と言います。
 咲は仁に「奥方様は、O型でございます。」と言います。咲の知識は、この時代では誰にも引けを取らないものとなっていました。

 この時、龍馬は刺客に追われる生活を続けていました。

 仁と咲は、奥方様の血縁者に集まってもらい、輸血の説明をしていました。
 「血縁のある皆様に、血液検査をしてもらい、型が合ったら血をもらいとうございます。」
 しかし、血縁者たちは、江戸の常識とかけ離れたことを言われ、反発して「そのような事は出来ぬ…」と口々に言いました。
 すると奥方様が、「こぶを取ったあかつきには、わらわは殿と遣りなおして子供を儲けたい…この血はその子にも継がれるであろう…そなたたちの血を混ぜるより…この者の…」といます。
 すると長老格の老女が「この老骨で良ければ、血でも骨でも取って下さいまし…子供を持つはおなごの命…どうか助太刀させて下さいまし…」と言います。他の血縁者たちも老女の言葉に同意します。

 手術が始まります。仁と咲を遠巻きにして、川越藩の奥医師たちが、戦々恐々として、仁と咲を見つめていました。
 「何をやっとるんじゃ…分からん…途方もないということだけしか…」
 手術は、仁と咲の息がぴったりと合い、一つ一つを確実にこなしていました。しかし、手術の山場を終えたところで、仁がほっとした瞬間のことでした。咲の声がしました「先生!出血が…」
 仁は咲に、用意していた輸血を指示します。そして仁は、出血の個所を処置します。こうして手術は大成功に終わります。
 仁は「咲さん、ありがとうございます。完璧な助手でした…」と言います。咲は「これも蘭方と本草をつなぐかけ橋となればいいですね…」と言います。
 仁は、咲のかけ橋という言葉で「架け橋か…坂本さんは…」と言います。

 龍馬は、薩長同盟の調印式の準備をしていました。
 長州藩士が「長州からは言えん…」と言います。すると龍馬が「長州、長州ち…わしは土佐じゃ…」と言います。
 「土佐のあんたが、なぜ長州の為に…」
 「わしは、久坂の最期の言葉を聞いたんじゃ…」と言います。龍馬は、久坂の言葉「道を誤るな…」を思い出していました。

 龍馬は、薩摩藩邸に居ました。
 「あいつらは、めっためったにやられた…あいつらから言えるわけが無かろうが…」
薩摩藩士が「坂本さんは、こっちから頭を下げろと言うのか…それはできん…」と言います。
 龍馬は、西郷ににじり寄って、「腹を見せんかい、西郷さん…この腹には、南方仁先生に手術ばしてもらった傷があろうが…そんとき南方仁は何をした…お願いだから、おまんを助けさせてくれと土下座をして頼んだろうが…そのお主が、どうして長州の気持ちを分かってやらん…」と言います。

 仁と咲は川越藩の奥方様の前に座っていました。
 奥方様が仁に「南方殿、藩医たちに医術を教えてくれたそうじゃのう…」と言います。仁は「大したことではございません…」と言います。
 すると奥方様が、何か含んだものの言い方で「咲殿、意地を張るとロクな事はないのう…」と言います。咲は恐縮して、頭を下げていました。
 仁と咲が二人になると、仁は咲に聞きました。「どのようにして、奥方様を説得したのですか…」と…、すると咲が「上様と和宮様からご拝領したこの櫛を奥方様にお見せしました…」と言いました。仁はなるほどとうなりました。
ただ咲は、もうひとつ言った事を仁にはいいませんでした。それは…
「恐れながらもう一つ申し上げることがございます。私にもお慕いしている人がおりました…消して一緒にはなれませんが…私が意地を張ってしまったから…
時折ふと、その方とその方とよく似た子と一緒に暮らす姿を夢に見る事がございます…奥方様、意地を張ってはロクな事がありませぬ…」

仁は咲に「奥方様に、お子さんが生まれますかね…」と聞きます。すると咲がすかさず「先生に教えて頂いた、荻野式とやらをお教えしておきました…それでお子様が出来るかどうかは分かりませぬが…」と言います。仁は咲の医者としての成長に驚きます…
そして「咲さん、私に気兼ねしないでください…いい人が出来たら幸せになって下さい…きっと医者と両立できますから…」と言います。すると咲は、きりっとした表情で「私の幸せは、仁友堂を残すことです…私の幸せを勝手にお決めにならないで下さいまし…」と言います。
仁は咲に「あの時、結婚は別の人とすると言われたではないですか…」と言います。咲は「先生だけには、そのような事は言われたくございませぬ…」と言います。仁は「私はなぜ断られたのですか…私が何時か居なくなるかもしれないからですか…」と聞きます。咲が「私とて…」と言います。
その時、お初が運ばれて来ます。転んでお腹を強く打って、苦しんでいました。仁はお初を診察します。
「腹腔内出血を起こしています。」
その時お初が「先生…咲様…」と言って、仁に折り紙の飛行機を渡します。
仁がお初の手を握ると電気が走ってしびれます。しかし、仁は考える暇もなく咲に「オペの準備を…輸血の準備も…」と言います。

寺田屋では、龍馬たちが薩長同盟の成功を喜んでいました。
龍馬が「盟約が出来てよかった…」と言います。
「坂本殿と先生はどんな関係で…」と聞かれると、龍馬は「さあ…」と言います。

咲が仁に「先生、脈が…」と言います。仁は「出血が…輸血の用意…」と言います。

寺田屋を取り方が取り巻いていました。それに気づいたおりょうが龍馬に「龍馬様、取り方が…」と知らせに来ます。

仁はお初の手術を懸命にしていました。「助かるぞ…お初…」と言います。こんな時に、仁に発作が起きます。そして、手や体が消え始めます。仁は思います。「何だこれは…どうしてこの子を助けるとオレが消えるのか…この子はオレの先祖か…」

寺田屋では、龍馬たちと取り方の死闘が始まっていました。
「坂本さん…」
ここで次回に続きます。
 
 咲の想いは複雑でした。仁を愛しているのに、野風のことを思い、自ら好きだと言えなくしてしまったからです。そんな想いが、仁友堂をのちの時代へ残そうという想いにつながって行きます。そして、咲の想いは医学へと向かいます。
 咲の医学の知識は、この時代の医師には引けを取らないものとなっていました。奥方様に血液型を説明する姿はなかなかのものでした。また、女医の必要性が説かれることがありますが、奥方様に荻野式を教授するなど、まさに女を武器として使っています。この時代、いくら仁が名医であったとしても、奥方様に直接荻野式を教授することは出来なかったと思います。そういう意味で咲は、したたかに成長していると思います。何よりも、医者として成長することが、愛する仁の側で助手として生きることにつながるからではないでしょうか。
 それから、この物語で一番興味深い事は、幕末から明治維新という、あまりにも有名な史実といかにして整合性を保つかということです。SFといえどもこの整合性を保つ事が出来なければ興味が半減してしまうからです。そういう意味では、今のところ上手くいっているように思います。
 さて、次回はどうなるのでしょうか。楽しみです。

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